建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年5月号〉

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【特集:日本道路公団東京事務所】

木更津工事事務所の事業概要

館山自動車道・木更津南JCT〜君津IC間工事が全面展開中

木更津工事事務所は昭和61年7月、東京湾アクアライン建設のため市原工事事務所の木更津事業所として開設。翌62年8月には、工事事務所として東京湾横断道路漁業補償及び陸上部、並びに東京湾横断道路連絡道を、平成4年2月からは館山自動車道の建設、平成9年10月からは富津館山道路を担当し、現在に至っている。

路線の概要
当工事事務所が建設工事を所管する館山自動車道・木更津南JCT〜富津竹岡IC間は延長約21.6kmで、途中、君津IC、君津pa、浅間山IC(何れも仮称)が設けられる。平成3年12月3日の整備計画決定、平成5年11月19日の建設大臣の施工命令、平成7年7月3日の路線発表を受け、事業着手した。
平成14年3月末現在の工事進捗状況は、用地買収が全体の84.3%(木更津市は完了、君津市は91.4%、富津市は72.3%)、工事発注率は土工工事が全体の48.4%、橋梁工事が32.6%、舗装工事は0%。特に、木更津南JCT〜君津IC間約4.8kmについては、工事が全面的に展開されている。
一方、富津館山道路は、富津竹岡IC〜富浦IC間の延長約19.2km。うち、富津竹岡IC〜鋸南富山IC間約11.0kmについては、平成11年3月27日に部分供用を開始した。現在工事が進められている延伸区間は、鋸南富山IC〜富浦IC間の8.2km。一般道路事業と有料道路事業の合併施行方式が採用され、平成14年2月末現在の進捗状況は、用地買収が全体の97%を完了し、土工工事・橋梁工事も鋭意進行中で、これらは何れも国土交通省が施行している。
なお、現在工事事務所周辺で供用中の自動車道は、館山自動車道・千葉〜木更津南IC間約35.0km、東京湾アクアライン・木更津金田IC〜浮島IC間約15.1km、東京湾アクアライン連絡道・木更津JCT〜木更津金田IC間約7.1kmの3路線である。
▲木更津南JCTの完成予想図
主要工事概要
○木更津南JCT工事
南房総への新たな玄関口となるJCTで、現在は連結部分のランプ工事を行っている。本線とランプが交差する箇所が3階建てとなり、供用中の道路に連結することから、詳細な工程計画のもと、下地となる橋脚や橋台など下側の工事から順次行っていく。なお、工事に当たっては、切盛土工を主体とした形式を採用し、周囲の景観との調和を図っている。

○烏田川橋工事
烏田川橋は、木更津南JCTから約1kmの地点に位置する。今年1月に橋脚、橋台が完成し、この春からは上部工工事も開始された。橋全体の景観を考慮し、コンクリート表面に陰影を付けるため、縦方向スリットを施していることが本橋の特徴となっている。

○君津IC工事
この近辺は河川の氾濫原のため、地層は堆積した土砂で、軟弱な地盤となっている。このまま地盤の上に道路を建設した場合、橋梁などのコンクリート構造物だけでなく、盛土構造でも土の重さによって路面が沈んだり、周辺地盤が浮き上がったりなどの症状が出てくる。そこで本工事では、軟弱地盤対策として、土中の水分排出を促進したり、あらかじめ土を盛って沈下を完了させてしまう工法で作業を行ってきた。現在は、この作業もほぼ終わり、今後はインターチェンジの造成に入る。
インターチェンジの中に位置する中郷橋は、烏田川橋工事と同様、陰影を考慮したスリットを施し、上部工は中心部を薄くした構造を採用し、景観にも配慮している。

○天羽トンネル工事
富津市相川から南に向かうルートは、地形が比較的急峻な山地部を形成しており、数多くのトンネルが必要となる。そのうち、富津市相川〜竹岡間で標高約190mの山々を貫くため、延長1,255mのトンネルが計画された。なお、房総地域にある有料道路のトンネルとしては、既に開通している富津館山道路の鋸山トンネル(延長1,551m)、現在施工中の高崎トンネル(延長1,446m)に次ぐ3番目に長いトンネルで、館山自動車道では唯一のトンネルとなる。
トンネルは房総半島の南西部にあたり、周辺の地質は新第三世紀(200万〜2,500万年前)に堆積してできた砂岩や泥岩で、三浦半島東海岸にみられる三浦層群に属する地層で構成されている。泥岩は軟らかく、風化の進行も早いという地質の特性を十分考慮し、NATM工法により施工する予定である。
南房総の自然を守る取り組み
南房総の豊かな自然を守るため、館山自動車道の工事にあたっては、建設によって変容した自然をできるだけ元の状態に修復する、また、建設のために伐採した樹木をリサイクルして有効利用するなどの取り組みも行っている。例えば、路線沿いにある樹木の種を採取して育て、のり面に移植する試みもそのひとつだ。
工事にあたり、河道の変更を余儀なくされた富津市の二級河川・相川については、瀬・淵、木工沈床、魚巣ブロック等を配置し、魚類などの生息環境の保全、生態系の維持に配慮しつつ付け替えを行う。また、雨天時の走行性や安全性を高め、走行騒音の低減も期待できる高機能舗装を全面採用。PAの駐車場に緑陰を設け、安らぎの空間を作るなど、周辺地域と調和した、快適で安全な道づくりを目指す。
相川整備のイメージ図

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