建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年5月号〉

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【特集:日本の空港整備】

護岸が概成し、埋立工事が本格化 ─関西国際空港2期事業─

2007年の供用開始に向け、工事は新たなステップへ

関西国際空港株式会社 関西国際空港用地造成株式会社

▲イメージ図

1999年の7月に着手された関西国際空港の2期工事が順調に進行している。昨年11月には事業の重要な節目である護岸が概成され、空港島の輪郭も海上に現れてきた。現在、次のステップとしての埋立工事が本格化しており、現場海域では、1日延べ約70隻に及ぶ土運搬船が土砂の直接投入を行っている。

▲昨年11月19日には、護岸締め切りのための最終ケーソンを
 据え付け、護岸が概成。(写真は記念行事の様子)
2007年の供用開始を目指して
関西国際空港は、国際交流の活発化、グローバル化の進展に伴い、国際的なハブ空港としての期待を背負い、1994年9月4日に開港。今日では、年間利用者が2000万人を超えるほどにまで発展してきた。しかし、同空港はこれまで、A滑走路(3,500m)1本で運用されてきており、航空機の発着処理能力が近い将来限界に達すると予想されている。
このため、2期事業として4,000mの平行B滑走路等の整備を推進することが第7次空港整備7箇年計画(1996〜2002年度)に位置づけられ、1996年度から実施設計調査等に着手。1999年に工事着工した。
関空の全体構想では、現在の空港島の沖合に新たにB、C滑走路2本と関係施設等を整備することとしているが、2期事業ではこのうちのb滑走路と関連施設の整備を行う。2007年には、B滑走路4,000m、南側連絡誘導路、エプロンの一部等の施設供用を、2007年以降に、旅客取扱施設、エプロン等を段階的に整備・供用を図る。
上下主体分離方式を導入
2期事業で造成工事の主体となるのは、関空(株)(関西国際空港株式会社)や大阪府、和歌山県などの出資で平成8年に設立された関西国際空港用地造成株式会社。一方、空港施設等の整備は関空(株)が主体となる。
2期事業は、1期に比べより深い海域での埋立となり、多額の建設費を要し、投資の回収期間が長くなるため、用地(下物)造成の整備主体と空港施設(上物)の整備主体を分離した事業手法(上下主体分離方式)を新たに導入し、これにより事業経営の健全化と円滑な実施を図る。完成後は、用地を関空(株)へ一定期間貸し付け、貸付期間終了後は同社へ用地を譲渡する。
なお、昨年8月には、関空事業の安定的な実施、収支採算性の確保を図るため、2007年の供用開始時に必要となる事業の絞り込み、コスト縮減の成果を見込んで事業費を見直すなど、事業スキームの見直しを行った。
より早く、より安く、より良い用地造成を
2期工事が進められている海域は、1期に比べて水深が深く、海底面下には厚い軟弱な地盤が横たわり、埋立による沈下は1期に比べて大きくなることが予測されている。こうした厳しい条件の中、用地造成にあたっては、「より早く、より安く、より良い」用地造成を目指し、先進技術の導入を進めている。
主な取り組みとしては、GPS等音響測深機を搭載した測量船を導入し、面的に投入された土砂の堆積形状を把握し、次の土砂投入計画が作成され、計画に従って土砂運搬船を予定の投入位置へgpsで誘導される。このような施工管理により、薄く均一な層圧の埋め立てを実現している。また、地盤改良用のサンドドレーン船や土運搬船の大型化、デジタルデータ処理によるスピーディな管理を実現するなど、工期短縮、コスト縮減に努めている。
▲大型化されたサンドドレーン船で
地盤改良の杭打ち作業もスピードアップ
▲リクレーマー船による揚土(1期工事)
工事は新たなステップへ
工事は、概ね地盤改良→護岸築造→埋立造成、という流れで行われるが、昨年11月19日には護岸が概成し、同月30日より埋立部への土砂の直接投入を開始。今年1月7日には地盤改良工事の最終段階である二次敷砂施工も完了した。
また、今春からは、土砂の投入により水深が浅くなった場所を揚土船により埋め立てる揚土工事も開始される予定で、西側の護岸と南側の連絡誘導路からは、次第に陸地が海上に顔を覗かせるようになる。
▲関西国際空港「全体構想」イメージ図

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