建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年4月号〉

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開院後40年

市立病院初となる最先端の機能も満載に備えた港湾病院を確立

免震構造や備蓄を完備し、大地震の災害時にも最大限に活躍する強固な地域施設に

横浜市・市立港湾病院再整備事業

▲完成予想パース図

横浜市は、平成15年度末の開院をめどに、地域における中核を担う病院とするべく「横浜市立港湾病院」の再整備に取り組んでいる。 同病院は、横浜開港百年記念事業の一環として昭和37年に開院し、築後40年近くが経過したことから、建物の老朽化、狭隘化が著しく進んでいるほか、時代の変化に対応した医療機能の充実や患者サービスの向上を図ることが難しくなっていたため今回の再整備を実施している。
建設地は、横浜市中区新山下三丁目6番2号外の現病院正面向かい側の用地。敷地面積28,613m2。構造・規模は、鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上8階建で、地下駐車場を含めた延床面積は74,342m2となる。建物高さは8階屋上で38m、最高高さ47m。駐車場は、地下に約200台、地上に約100台をそれぞれに収容可能のほか、現病院の敷地側に200台程度の駐車場も整備する予定となっている。
新病院の病床数は、現病院が300床なのに対し、一般584床、精神50床の計634床と大幅の増加となる。診療科目についても、現病院が14科なのに対し、22科と増え、特に呼吸器科・消化器科・循環器科・神経内科・形成外科・呼吸器外科・心臓血管外科・精神科が追加されたことにより、多角的かつ多様的に求められている人々への医療サービスを最大限に提供できる最先端の体制が整うこととなる。

一方、新病院の特徴は、日頃の医療業務を行うために必要な最重要機能として、次の7つの柱を掲げている。
(1)「医療機能の充実」−(ア)心疾患・がん・脳血管疾患の三大生活習慣病に対する診断・治療機能の充実、(イ)icu(集中治療室)・ccu(心疾患集中治療室)・nicu(新生児集中治療室)などの集中治療機能を確保、(ウ)バイオクリーン室の整備など手術機能の充実、(エ)リハビリテーション機能の充実、(オ)高度医療機器の整備。(2)「外来患者のサービスの向上」−(ア)診療室の個室化や中待合室の廃止など、プライバシーの配慮、(イ)医療情報システムを導入し、待ち時間の短縮を図る、(ウ)総合相談室を設置し、医療相談などの相談機能を充実すると共に、地域の医療機関との密接な連携を推進。(3)「入院患者の療養環境の向上」−個室の割合を高くすると共に、4床室は廊下側ベッドにも窓を設けるなどプライバシーに配慮したレイアウト。(4)「精神科医療の実施」−精神科救急や老人痴呆疾患の合併症治療に取り組む。(5)「救急医療の充実」−内科・小児科・外科などで24時間365日体制の救急医療を実施。(6)「緩和ケア病棟の設置」−横浜市立病院としては初めて、緩和ケア病棟を設置。(7)「災害対策」−大地震の災害時にも病院の機能を維持できるように、免震構造の採用や医薬品・食料・水・燃料の備蓄を行う。

昭和37年から使われている既存病院外観

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