建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年4月号〉

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【特集 わが国の鉄道整備最前線 PARTT】

既成市街地とを結ぶ「りんかい線」全線開業に向けいよいよ最終調整に突入

目玉となる“品川シーサイドフォレスト”など、駅周辺整備も活発化

りんかい線 東京臨海高速鉄道(株)・日本鉄道建設公団

りんかい線のルート

東京臨海高速鉄道(株)は、今年12月の「臨海副都心線(りんかい線)」全線開業をめざし進めている、第二期区間内の未開発エリアとなる「天王洲アイル〜大崎」間の建設をいよいよ完成目前にまで漕ぎ着けている。
第二期の全体区間は「東京テレポート〜大崎」間の7.3kmで、平成13年3月31日に同区間内である「東京テレポート〜天王洲アイル」間の4.9kmがすでに開業していることから、現在は大崎までの残りの区間を着実に建設しているところである。
りんかい線は、新木場駅を起点として、臨海副都心の東京テレポートタウンを経て大崎駅に至る12.2kmの鉄道新線である。
この路線は、既存の鉄道と接続することにより、東京と千葉、埼玉、神奈川を結ぶ広域的な鉄道ネットワークを形成し、東京圏の鉄道混雑の緩和に寄与するとともに、池袋、新宿、渋谷、大崎と臨海副都心とを結び、これら副都心の育成を図りながら、東京の都市構造を多機能集約型「環状メガロポリス構造」とすることが期待されている。また、旧国鉄時代に着工された京葉貨物線の一部を新たに旅客線として有効活用している。
今回新たに開業する駅は、品川シーサイド、大井町、大崎の3駅で、駅舎ならびに路線建設はもとより、あわせて駅周辺の開発も盛んに行われている。
「品川シーサイド」駅は、京浜運河を挟んで八潮パークタウンが隣接する東品川地区。同駅を中心にオフィスビル、高層住宅、ホテル、ショッピング施設がある“品川シーサイドフォレスト”の建設が進められており、りんかい線の開業と合わせて街びらきを行う予定である。「大井町」駅は、品川区の中心核と位置づけられており、駅周辺地区では、区民の文化・行政・商業の拠点として整備している。りんかい線の開業後は、jr京浜東北線、東急大井町線と連絡し、大井町のターミナル機能を一段とアップさせる。「大崎」駅は、先端技術産業の集積を活かしながら、業務や文化、居住機能など立地における計画的な街づくりを図っている副都心地区。駅東口では87年に「大崎ニューシティ」、99年には「ゲートシティ大崎」がオープンしており、さらに東五反田地区で進められている再開発事業をはじめ、西口でも同じく再開発が計画されている。りんかい線の開業によって、山手線との接続により、池袋・新宿・渋谷・大崎・臨海副都心の5つの副都心をネットワーク化するほか、埼京線との相互運転により、埼玉方面と東京の副都心を結ぶ新しい鉄道ネットワークも構築する。

▲品川シーサイド駅の真上に建設が進められている「品川シーサイドフォレスト」完成予想図

工事としては、駅は「開削工法」、駅と駅の間のトンネルは「シールド工法」でそれぞれに行っており、最新の技術を採用しながら騒音・振動の少ない機械を使用するなど、周辺地域の環境と安全に十分配慮し進めている。特に、ホーム計画部の交通量が多い「大井町」駅は、狭隘な都道鮫洲大山線とjr大井町駅との交差部の直下に位置していることから、地上からの開削工事が出来ないため、拡径や世界初の試みとして注目される異径地中接合(msd)により(右図参照)、シールドトンネル内にホームを構築し、セグメントの一部を解体、駅本体となる各開削部と接続する手法を取っている。

▲天王洲アイル駅地下3Fプラットホーム ▲大井町駅周辺地区


大井町におけるシールド工事

■拡径作業概要

親機組立・待機
子機到達・挿入
拡径作業完了
1.広町立坑にてシールド親機を組み立てる。
2.立坑内空間を確保するためエントランス内に押し入れる。
3.広町立坑にシールド子機が到達する。
4.不要な部分の解体を行い、軸芯を合わせ親機内に挿入。
5.所定の位置まで後退し拡径作業を行う。
6.拡径完了

■世界で初めての異径地中接合(msd)概要

対向シールド到運・接合準備
親子シールド到達・地中接合
親子シールド解体
1.対向シールドが到達点に到達し、スポークの縮小並びにチャンバー内を粒状ベントナイトにて置換する。その後、1次解体を行う。
2.対向シールド側より位置確認の水平調査ボーリングを行う。
3.親子シールドが到達点に到達し、伸縮スポークを縮める。
4.対向シールド側より貫入リングを押し出し両機接合。
5.親子シールド側の機内より止水注入を行う。
6.親子シールド機を解体する。
7.二次覆工を行い接合完了。

■中央開削部断面図

中央開削部は大井町駅の駅舎部分となり、JR大井町駅と東京電鉄大井町駅及びK-1ビル(イトーヨーカドー)に接続。ホーム階は地下3階と地下5階に設置され、シールドトンネルの一部を解体し、駅本体部分と接続させる。

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