建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年3月号〉

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大阪港  ─port of osaka─

▲大阪港全景(平成13年5月撮影)

徳川時代の長い鎖国が終わりを告げた後、慶応4年の1868年に開港した「大阪港」は、開港以前までも豊臣、徳川時代に渡り、朝鮮、中国をつなぐ“大陸間の海運交通”の要衝であった潜在能力を存分に開花させ、“今日の大阪”を築き上げるための確固たる基盤づくりに貢献し続け、130余年の濃厚な歳月を積み重ねて来た。波静かな大阪湾の中心に位置し、気象・海象に好条件を及ぼしたことも、古くから良好な港湾として発展してきた地理的な強みがあり、現在では、大阪市を核とする人口約1,700万人にも及ぶ「大阪都市圏」の経済活動や市民生活を支えると共に、我が国の国際平和貿易港として有数で欠かせないライフラインとなっている。今後とも、物流の合理化・高度化に応える国際交易施設を拡充し、国際化・情報化社会に対応した新都心を臨海部に形成するほか、在来臨海部の港湾施設の再編や、災害に強い港づくりも進めている。また、「中枢国際港湾」としての機能強化に努めながらも、“市民に親しまれる港づくり”として、人々にぬくもりや憩いの場を提供する緑地やレクリエーション施設を随時、臨海部に積極的に整備拡充するよう進めている。

■コンテナ埠頭
北米・欧州・地中海・豪州・東南アジアなどの航路により、世界の主要港と結ばれている。平成12年は年間約4,100隻のコンテナ船が寄港し、2,200万tの貨物を取扱う。専用コンテナターミナルはC−1〜4、C−8の計5バース、公共コンテナターミナルはR−2〜4、C−6、C−7、C−9の計6バースが稼働しており、C−8は水深を14m確保し、C−9は将来、水深14mに増深する計画があるほか、夢洲地区ではコンテナ船の大型化に対応するため、新たに岸壁延長350m、水深15mのコンテナターミナル3バース(C−10、11、12)を整備する。


■舞洲埠頭
今後伸びが予想される輸入青果物に対応するため、青果物センターが整備されている。また、自動車や建設機械などの輸出入拠点といった外貿多目的ターミナルとして利用されている。
■食品埠頭/製材品埠頭/化学品埠頭
合理的で迅速な貨物の取扱いを図るため、各種の専門埠頭を整備。食品埠頭と製材品埠頭は、それぞれ食品や製材品の流通の効率化と保管・品質管理を図るため、大型冷蔵倉庫や製材品センターが整備されており、化学品埠頭は、我が国で初めて整備された本格的な化学品専用埠頭で、コンテナ化に対応した高床式上屋と完璧な防災設備により、多品種の化学品を安全かつ効率的に取り扱うことができる。
■天保山客船ターミナル
国際客船都市「大阪」の海の玄関口で、毎年多くの豪華客船が内外から寄港している。隣接して、世界最大級の水族館「海遊館」を中心とする「天保山ハーバービレッジ」や天保山公園があり、特に豪華客船が寄港した際には乗客や乗員、客船ファンなど多くの人出で賑わう。
■ライナー埠頭
外航定期航路の貨物船のために整備されたもので、現在7バースを供用。平成12年は約900隻510万総tの貨物船が入港し、約180万tの貨物を取扱う。
■国際フェリーターミナル
国際交易や国際交流の拠点として開発が進む咲洲コスモスクエア地区に本格的なターミナルとして平成8年5月にオープン。現在では友好港・友好都市である上海を結ぶ定期外航フェリー2隻がそれぞれ週1回就航しており、平成12年は年間約8,600人の旅客と47万tの貨物を取扱う。
■フェリーターミナル
内航は、咲洲(南港)の「大阪南港フェリーターミナル」、「大阪南港かもめフェリーターミナル」から西日本各地を結ぶ大型フェリーが1日約10便就航し、モーダルシフトを推進する海陸一貫輸送の拠点となっている。
■内貿埠頭
西日本における内貿航路の中心で、国内物資の流通基地として咲洲(南港)や大正内港に航路別ターミナルを整備。
■南港航空貨物ターミナル
関西国際空港と背後地との良好のアクセスを生かして空港とターミナル間の集中輸送を行うことにより、陸上部分における輸送コストの削減を実現。また、同ターミナル内に大阪税関の大阪航空貨物出張所庁舎が立地しているほか、2007年の関西国際空港2期事業の供用開始による取扱量の増加に対応するため、ターミナル用地の拡張を計画している。
■トラックターミナル
中・長距離フェリーと連携した西日本有数のトラック輸送の拠点として貨物輸送の合理化に寄与し、南港航空貨物ターミナルと共に次代の物流システムに即応できる態勢を整えている。

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