建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年3月号〉

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岩手の芸術文化の創造・発信のシンボルに

北上市が新施設の建設に着手 県内唯一の「アートファクトリー」を設置

岩手県北上市・(仮称)文化交流センター

岩手県北上市は、平成13年9月に、「(仮称)文化交流センター」の新築に着手した。
同市には既存の「北上市民会館」があるが、これは昭和39年5月、岩手県内では他の自治体に先駆けて開館。岩手県民の芸術文化活動の拠点としての役割を担ってきたが、近年、都市・地域間の交流が進み、情報化・国際化が現代社会の大きな課題となってくる中、この種の施設に対する市民ニーズはより一層高度化・多様化してきた。
新たに着手された交流センターは、これらの要望に応え、市民会館に代わる新たな施設として計画されたものだ。
プロポーザルにより設計者を選定
同センターの建設基本計画は平成11年10月に策定され、設計者の選定には、提出された設計対象に対する発想・解決方法等の提案を審査し、設計者を選定する「設計プロポーザル」を導入。当選案には「創造の丘・アートファクトリー」を基本コンセプトに、(1)秋・冬の文化活動の魅力を創出、(2)ホール間に市民活動空間を配置、(3)アートの創り込みを表出、(4)大・中ホールのバックヤードを共有、(5)アートファクトリーを楽屋に転用する点などで特に高い評価を受けた(株)久米設計の案が採用された。
当選案採用後は、建設懇話会、市民意見交換会、北上市芸術文化協会設計内容説明会などの意見交換会を開いたほか、この間、昨年6月まで14回のワーキンググループ会議を開催して詳細について検討。
また、昨年7月からは、管理運営計画案を作るためのワーキンググループ会議・PARTU、市民との意見交流会を開催し、同年11月29日、市長に対し、管理運営計画案を提出した。今後、北上市では、この管理運営計画案を基に庁内協議を重ね、正式な管理運営計画を策定する。
アートファクトリー
新施設の大きな特徴は、岩手県内の施設としては唯一となる「アートファクトリー」の設置だ。アートファクトリー・“芸術工場”とは、文字通り舞台芸術(アート)を製造する工場(ファクトリー)であり、演劇等上演団体の日常的な稽古、その他舞台に携わるワークショップ等市民の舞台創造の拠点たる機能を意味する。具体的には、ホールでの上演を支援するリハーサル室、練習室、会議室、美術・衣装の作業室、スタジオなどを設置し、市民の芸術文化活動を支える。
建設地は北上市町分・黒沢尻西部土地区画整理事業区域内。鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)、地下1階・地上3階・塔屋1階建で建設され、メインとなる大ホールには、オーケストラビット・座席着脱式の118席を含む最大1,503席を配置。駐車スペースも現在のほぼ2倍の680台分を確保する。
現在、平成15年9月の完成を目指し工事が進められているが、完成後は、北上市のみならず、岩手県の新しい芸術文化の創造・発信のシンボルとして、大きな期待が寄せられる。
▲大ホール ▲アートファクトリー
施工にあたって

鹿島建設(株)・高弥建設(株)・千田工業(株)特定共同企業体
所長 遠藤雅俊
 当工事は、モニュメント性の高い施設のため、設計コンセプトをしっかり把握して施工にあたりたい。
特にSRCの建物なので、6月からスタートする予定の鉄骨建て方の精度に留意する。又地域住民の方と和を保つこと、を基本姿勢に施工を進めていき、市民のための文化センターとして大いに活用してもらえるような、使いやすい建物を高品質で造り込みたいと職員一同努力しております。

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