建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年1月号〉

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既存住宅の建替えにより、地域と一体となった高齢者の自立を促す“やさしい住環境”を実現

キーワードは、住戸供給・福祉政策の「連携システム構築」と都心居住による「中心市街地の活性化」

新潟県土木部都市局建築住宅課・県営住宅(長岡地区)稽古町住宅建替事業

平成9年度から既存住宅の建替事業を進めていた長岡市稽古町にある「県営稽古町住宅」は、今年の春に無事竣工を迎え、入居者が希望新たに生活を送っているところである。
同住宅は、「公営住宅法」が施行された昭和26年に建設されたもので、その規模は鉄筋コンクリート造4階建24戸2棟の計48戸。当時は食寝分離、就寝分離の2k、まさに最先端の文化住宅であったが、建設後約50年を経たことにより、(1)全住戸が最低居住水準未満であること、(2)老朽化が著しいこと、(3)耐震安全性に大きな問題があることなどの課題を受け、平成9年から12年度に掛けて建替事業を行ったものである。

所在地は新潟県長岡市稽古町で、長岡市屈指の総合病院に隣接した交通等の利便性の高い中心市街地に立地しており、長岡駅から約1km、徒歩15分のところ。敷地面積2,895.95平方メートル、建築面積806.17平方メートル。規模・構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造9階建延床面積4,740.33平方メートル、最高高さ32.95mとなる。住宅戸数は、3ldk・18戸、2dk・22戸、シルバーハウジング2dk・20戸の計60戸。このほかの付帯施設は、だんらん室、生活相談室(lsa執務室)、集会室を設けた。
建替えにあたっては、立地が密集市街地における狭小敷地であることから、(1)従前入居者の移転、(2)仮住居の確保、(3)延べ床面積の大幅な増加、(4)工事中の騒音対策等、困難な課題があったが、地元長岡市をはじめ、入居者、近隣住民、施工業者等の協力により無事竣工し、今年の4月に供用開始を行うことができたものである。

設計の理念は、本格的な高齢社会に対応した“住戸の供給”と“福祉政策”を連携した「システムの構築」、そして都心居住による「中心市街地の活性化」にある。とりわけ前者は、同住宅の大きな特徴で、旧建設省・厚生省共管の“シルバーハウジング制度”を導入し、高齢者ができるだけ住み慣れた地域で自立した生活を営めるよう、全住戸のバリアフリー化とともに、日常の生活相談等を行うライフサポートアドバイザー(lsa)が常勤。また緊急時にはlsaはもとより、連携している社会福祉施設に通報が届く「緊急通報システム」が整備されている。幸い入居後、半年経った現在まで、緊急通報システムの作動実績はゼ口であることなど、高齢者の意欲的な自立心を促す“やさしい環境”が徐々に根付き始めている。
今後は、入居者間の豊かなコミュニティーの形成や、同住宅ができるだけ長く地域に親しまれ良質な水準が維持できるようきめの細かい管理に努める予定である。

▲ダイニングキッチン・玄関( 畳和室から見る) ▲6畳和室(ダイニングキッチンから見る)

施設の概要
施設名称 県営稽古町住宅
所在地 新潟県長岡市稽古町
構造階数 鉄骨鉄筋コンクリート造9階建
住宅戸数 60戸(うち、シルバーハウジング20戸)
(3LDK18戸、2DK22戸、シルバー2DK20戸)
敷地面積 2,895.95平方メートル
建築面積 806.17平方メートル
延床面積 4,740.33平方メートル
最高高さ 32.95m
付帯施設 だんらん室、生活相談室(LSA執務室)、集会室
工事期間 平成11年7月9日〜平成13年3月15日

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