〈建設グラフ2000年5月号〉

寄稿

新潟国道事業概要

W杯サッカーまでに万代橋下流橋が完成

建設省北陸地方建設局 新潟国道工事事務所長 徳山日出男氏 氏

徳山 日出男 とくやま・ひでお
昭和32年1月22日生まれ、本籍岡山県
昭和54年3月東京大学工学部土木工学科卒
昭和54年4月建設省採用
平成 3年1月道路局企画課長補佐
平成 8年4月アメリカ合衆国連邦道路庁国際研究員
平成 9年4月 道路局企画課建設専門官
平成11年4月現職
【著書】「マルチメディア・クライシス」(1994)kkベストセラーズ社
    「知能道路2001」(1998)日本経済新聞紙社(共著)
万代橋下流橋(仮称)完成イメージ
1.はじめに
新潟国道工事事務所は、昭和35年4月に新潟県下越地方の一般国道7・8号の改築を担当する事務所として、新潟市に開設されました。
その後、38年に49号、48年には116号が直轄編入され、さらに50年には113号が羽越工事事務所から管理移管され、現在当事務所では5路線合わせて約295qの幹線国道の調査計画、改築、維持管理を実施しています。
当事務所の管内は、北陸地方建設局管内の最北端に位置し、59市町村(佐渡を含む)約150万人の人口を擁しています。管内の中枢・新潟市は日本海側最大の人口・産業・経済を有する県都で環日本海時代の拠点としての役割が期待されています。新潟市を中心とした通勤圏(約25q圏)には約100万人の人々が生活しています。
2.新潟国道工事事務所がめざすみちづくり
○環日本海広域交流ネットワークづくり
 高規格幹線道路や地域高規格道路の整備や、国際交流を広げる拠点やイベントを支援する道路整備を推進します。

○魅力的な圏域を形成する域内ネットワークづくり
 集積規模拡大を図る地域集積圏を形成するための道路網整備や、交流の拡大を図るため、交通円滑化対策を推進します。

○雪や災害に強く、安全かつ信頼性の高いみちづくり
 雪国での生活の安全性を確保するための道路整備や、自然災害や交通事故に対する安全性や信頼性を確保します。

○人や地球環境に優しく、個性豊かなみちづくり
 高齢者、身体障害者や子供にも配慮した快適なみちづくりや、生態系への配慮や自然環境との調和などに留意した道路整備を推進します。また、よりよい生活環境を築くため、沿道環境にも配慮した道路整備を推進します。
3.万代橋下流橋下部工事
(1)事業概要
 万代橋下流橋は、一般国道7号万代島ルート線(新潟バイパス紫竹山IC〜寄居町日銀前交差点L=5.6q)のうち、万代橋下流橋事業化区間(東堀十番町〜万代島L=1.3q)の信濃川に架かるL=212mの橋梁です。
 同橋梁が有する一般国道7号は、新潟市を起点とし、山形県、秋田県を経て青森市に至る日本海側を縦貫する主要幹線道路です。新潟県内においては、北陸自動車道と連結し、東北方面からの交通を受け持つとともに、新潟市、新発田市、村上市等の諸都市相互の交流を支える幹線道路として重要な役割を果たしています。
<万代島ルート線の概要>
 万代島ルート線は、北陸自動車道及び新潟バイパス等の広域幹線道路と新潟市西港周辺地域を結ぶl=5.6qの地域高規格道路として平成4年9月に都市計画決定されたものです。

(2)景観設計
 万代橋下流橋は、県都新潟市のシンボルとして親しまれている名橋万代橋に並列するとともに、信濃川河口部における新たなウォーターフロントの整備構想のなかに位置する等、豊かな景観の立地条件にあり、万代橋等との整合を図った景観形成を図る必要があります。
 平成9年度に「万代橋下流橋細部デザイン景観検討委員会」(委員長:伊藤學東京大学名誉教授)を設置し、橋上・橋体についての多くの提言を頂いた。
 また、親しまれる橋梁とすべく市民を対象に2回のアンケート調査を実施し、合計2300人の方から回答を得た。
 基本コンセプトとして次の3つのポイントにより、景観整備を進めていくこととしています。
@万代橋を含めた周辺地域との調和を重視。
A信濃川の玄関口としてゲート性をアピールし、新潟の新たなシンボルとなるようなデザイン。
B万代橋の持つ親しみ性を生かしモダンなデザイン。

(3)事業PR
 施工場所が、市民の憩いの場として信濃川堤防上に設置された緑道に近いことや市街地に隣接していることから一般市民の方に事業を理解して頂くために工事・工法の説明パネルや、模型・ビデオ等を中心としたインフォメーションセンターを設置し、事業prを行っています。

(4)無人化によるケーソン掘削の施行
 本橋梁のニューマヱックケーソン基礎は、作業室面積が約720m2と大規模で且つ掘削深度が刃口据え付け-26mと深いことから、
○作業効率の向上によるコスト削減。
○函内作業員の安全性の向上を目的として遠隔操作による無人化施行を採用しています。
 万代橋下流橋の完成予定は、平成14年のワールドカップの開催までに暫定供用を目指して施工中です。
4.新潟国道工事事務所の代表的な継続事業
●新新バイパス
新新バイパスは、新潟市から新発田市間の増加する交通量を支えるために、新潟市街部の主要幹線である新潟バイパスと連結し、北陸自動車道、日本海沿岸東北自動
車道、新潟西バイパスとつながる新潟都市圏の骨格道路として計画され、安全かつ円滑な交通を確保するとともに、沿線地域の振興、活性化を図ることを目的としています。
蓮野IC〜新発田ICは、平成14年日本海沿岸東北自動東道の中条ICまでの供用に合わせ4車線供用を目指し施工中です。
●新潟西バイパス
新潟西地区は、近年の市街化の進展、交通需要の増加に伴って慢性的な交通渋滞が生じています。
この交通渋滞に対処するためには、これまで新潟中心部を通過していた、柏崎方面と新発田及び新津方面を結ぶ交通を新潟市中心部から迂回させることが必要です。
新潟西バイパスで一般国道116号と新潟バイパスを連結し、交通渋滞を緩和することを目的としています。
小新IC〜高山IC間の4東化を目指し施工中です。
新新バイパス施工中の4車線化工事 新潟西IC
5.情報ハイウェイ
(1)情報ハイウェイの構築
21世紀の高度情報通信社会構築のために、高度な情報通信インフラの早急な整備が必要です。
このため、公共施設の管理を目的とした情報通信インフラの整備にあたっても、地域における民間事業者の事業展開状況等に配慮した、戦略的、段階的な取り組みの内容を明らかにすることを目的に策定しています。
構成は、「施設管理用の情報通信ネットワークの整備計画」「公共収容空間の整備計画」から成ります
情報BOXは、わが国の情報通信基盤を早急に整備するという基本方針に基づき、一般道路従来の複数管方式を改めてトラフ構造や単管方式の単空間方式を採用することにし、空間内を民間に開放して民間の光ケーブル、同軸のケーブルの施設を可能にした構造となっています。
情報BOXは、CAB、C・C・BOXの計画区画以外の管内全線において順次整備を進めていきます。
(2) 道路管理用情報通信ネットワークの整備
地震等の大規模災害時における即応体制の確保など、公共施設の管理の高度化による道路の安全性・信頼性の向上を図るため、道路管理用の情報通信ネットワークを整備します。
6.情報発信
(1) ホームページ
インターネットを利用して新潟国道工事事務所の事業内容をご覧頂けます。パソコン等を使って新潟国道のホームページにアクセスして下さい。
ホームページ
http://www.hr.moc.go.jp/nikoku/
e-mail nikok467@ms.hr.moc.go.jp

(2) インフォメーションセンター「万代橋下流橋建設館」
万代橋下流橋(仮称)は、公共事業への関心が高まる中、事業規模が大きいこと、信濃川右岸と左岸を結ぶ新たな主要動線となること、また、現万代橋から眺望できる地点の架橋することなどから、市民の皆様の関心が高くなっております。
インフォメーションセンター「万代橋下流橋建設館」は、一般市民の皆様から建設関係者まで、幅広い方々へのご理解を深めて頂くことを目的として設置いたしました。

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