〈建設グラフ2000年3月号〉

寄稿　新潟県の出先事務所長　　●事務所リストへ●

離島、佐渡島における公共事業

新潟県相川土木事務所長　植木�c郎 氏

植木�c郎　うえき・いくろう 昭和16年11月13日生まれ 昭和40年新潟大卒 平成 8年安塚土木事務所長 平成 9年柏崎土木事務所長 平成11年現職

佐渡島は、新潟港より67�qの日本海に位置し、沖縄本島に次ぐ日本で二番目に大きな島である。
1市7町2村からなり、人口は約7万5,000人である。地形は、民謡の佐渡おけさにも「北は大佐渡（山脈）南は小佐渡（山脈）中の国仲（平野）米どころ」と唄われているとおりである。さらに最近は、「トキ二世」の誕生により全国的に注目されている観光地である。
佐渡島は、昭和28年離島振興法の適用を受け、島内の道路や河川施設の整備に努めてきたが今後一層の社会資本の充実により離島のハンディキャップ解消の必要がある。
佐渡の地質は大変悪く年間200回に近い落石及び土砂崩れが記録される。佐渡一周線（168�q）の全線改良は、災害に強い道路造りと共に、長年の島民の願いである。

残された未改良区間（51�q）小木町の小木地区及び両津市の鷲崎地区は一周線の最後の難工事区間である。現在この間で深浦大橋、鹿ノ浦大橋、及び願大橋（いずれも仮称、長大橋）などの大型工事を鋭意施工中であり未改良の解消に努めている。
国道350号線は両津市から小木町に至る重要路線である。ほぼ二車線で改良済みであるが、18,000台／日を上回る交通量と観光シーズン期間は大型バスが多いので慢性的な交通渋滞を来たしている。
両津市の佐渡汽船ターミナルから市街地を抜ける国道350号線は分かりにくく、以前から両津バイパス（2,800m）の必要が検討されてきたが、現在国仲バイパス（8,700m）と同時に調査・設計を実施している。
国府川は国仲平野を東西19�qに及ぶ島内最大の二級河川である。年間の降水量が少なく（1,739�o）、流域が小さいので常に水不足に悩まされてきた。しかし、ひとたび雨が降ると急流河川のため被害が大きい。一昨年8月佐渡地方は記録的な集中豪雨に見舞われ、島内到る処で溢水による田畑の流失や浸水被害が発生し甚大な被害を受けた。国府川の支川藤津川改修は災害を契機に工事が再開された。
佐和田町の窪田海岸は真野湾に面した砂丘の美しい海岸で、トライアスロンの会場にも成っている。環境整備事業で人工リーフ、傾斜護岸及び石張り護岸を実施している。

砂防関係事業は災害関連と通常砂防を抱き合わせ災害フォローとして離島特有の土砂災害に対応している。昨年両津市の河崎地区で発生した地滑りは規模も大きく本格的な対策が望まれている。
一昨年の災害で国府川災害復旧助成事業で2,000ｍを事業区間として流路の是正と河積の拡大に着手した。
佐和町の石田川、山田川は災害復旧助成事業として流路の是正と河岸の強化を図った。相川町の達者川は、佐渡弥彦米山国定公園内にある観光名所、尖閣湾に注いでいる。
護岸の決壊、流失及び土石流による河床の異常埋塞のため、河崎川と共に災害関連事業を導入した。
いずれにしても災害に強い地域づくりを進めて行くため水害対策事業を積極的に導入して、再度災害を防止し民生の安定を図りたい。