〈建設グラフ2000年1月号〉

寄稿 新潟県の出先事務所長  ●事務所リストへ

安全・安心で、活力ある地域づくりをめざして

新潟県糸魚川土木事務所長 監物清一郎 氏

監物清一郎 けんもつ・せいいちろう
昭和17年11月17日生まれ、長岡市出身、芝浦工業大学工学部土木工学科卒業
昭和40年 4月 新潟県庁入庁
平成 5年 4月 三条土木事務所次長
平成 6年 11月 土木工事検査監
平成 8年 4月 十日町土木事務所長
平成10年 4月 糸魚川土木事務所長
現在に至る

糸魚川土木事務所は、新潟県の西南端を管轄区域とし、北は日本海に面し、南は妙高山系・北アルプス山系を望み、長野県と富山県に境を接している。
構成市町村は、糸魚川市、名立町、能生町及び青海町の1市3町で、面積は812.1q2、人口は約58,000人である。
主要交通体系は、日本海側を縦貫する一般国道8号、北陸自動車道、及びJR北陸本線が海岸線と並行して走っている。
一方、管内を南北に流れる一級河川姫川沿いには、一般国道148号及びJR大糸線が長野県松本市等の中信地方とを結んでいる。
またこの姫川沿いには、日本列島を東北日本と西南日本に分断する糸魚川〜静岡構造線が通っており、これを境にして地質構造が変化している。

この構造線は、大地溝帯フォッサマグナの西縁に当たり、東部一帯は第三紀層で泥岩や頁岩を基盤とし、地滑りが発生しやすい地形、地質となっている。一方、西部は中生紀層の石灰岩塊、蛇紋岩地帯で国指定天然記念物“ひすい”の産地としても知られ、また石灰石を利用したセメント関連産業の重要な役割を果たしている。
管内の主な事業のうち、平成7年7月11日〜12日の梅雨前線豪雨により被災した姫川の災害復旧助成事業は、今年度、最終年度を迎え、助成区間9.5qのうち、護岸の復旧等はほぼ概成し、スリットダム(h=11.5m)の完成を待つのみとなっている。
管内の道路は、県管理国道148号を基幹に主要地方道及び一般県道の24路線で構成されているが、谷ごとに形成する集落を横断して結ぶ道路がなく地域活性化の隘路となっており、谷々を結ぶ道路整備が課題となっている。

砂防事業では、当管内は急峻な地形と複雑で脆弱な地質からなっており、新潟焼山(2,400m)火山砂防事業での砂防ダムの整備を始め、地すべり対策、急傾斜地崩壊対策及び雪崩対策等の各事業を全面的に展開し促進している。
港湾、漁港関係では、地方港湾姫川港は、昨年2月の港湾計画の改訂に伴い1万トン級耐震強化岸壁1バースの改修に本年度、本格的に着手した。県営漁港5港についても、修築事業等を進めている。
地域高規格道路「松本・糸魚川連絡道路」は、昨年6月に計画路線の指定を受け、さらに調査区間への指定に向け沿線市町と連携して要望を強めて行きたい。
今後とも、活力ある地域づくりを支援し、安全で安心してくらせるための社会基盤整備に努めて行きたい。


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