〈建設グラフ2000年1月号〉

寄稿 新潟県の出先事務所長  ●事務所リストへ

地域の夢のせて「地域高規格道路」本格的着手

新潟県安塚土木事務所長 山賀好郎 氏

山賀好郎 やまが・よしろう
昭和22年1月14日生まれ、新潟県東頸城郡出身、新潟大学農学部農業工学科卒業
昭和 44年 新潟県庁入庁
平成 6年 新発田土木事務所治水課長
8年 監理課企画主幹
11年 現職

管内は新潟県の南西部に位置し、長野県と境を接する東頸城郡一円の安塚町、松代町、松之山町、浦川原村、牧村及び大島村の3町3村よりなる面積約430q2、人口約2万2,000人で、県全体の面積で3.4%、人口で0.9%を占めている。
地域は全域が中山間地であるが比較的なだらかで、新第三紀層の地質に覆われ、管内面積の約5割が地滑り防止区域に指定されている。また、このことが逆に肥沃な土壌を形成し、全域が居住可能地となり、古来、各地に集落が散在している。このため、道路網が各地に張り巡らされ道路延長が非常に多くなっている。しかしその整備は一部を除き未改良区間が多く、県平均を大きく下回っており、更に冬季の豪雪による交通不能箇所等によりその格差はより大きいものとなっている。
このため、道路の整備は当所や地域の最重要課題となっており、当所の事業費の約7割を占めている。
次に管内の主要な事業であるが北陸道、上信越道、関越道及び直江津港と連結し首都圏と直結する地域高規格道路「上越魚沼地域振興快速道路(全長60q)」は当管内の三和安塚間がいち早く整備区間に指定され地元の厚い期待と全面的な協力を得て昨年度末に本線のトンネル工事とアクセス道路の着手し、工事がいよいよ本格化し、一昨年に開通し地域の活性化に予想を超える大きな効果をもたらしている「ほくほく線」と並び二本の大動脈として一日も早い供用開始が待たれている。このほか道路関係では国道253線の未改良区間である松代、大平、虫川工区や平成9年に着手した国道353号線の松之山バイパスの高館トンネル(延長1,120m)等の骨格道路の整備により物流と交流人口の拡大を図るとともにこれらを補完する生活道路の整備を各地で実施中である。またこの地が名だたる豪雪地であることから雪崩防止柵の設置等による冬季交通の確保も重要な事業となっている。
治水関係では地形、地質の面から砂防、地すべり事業が主体で管内の全域で大変多くの事業を実施中で地域の人命、財産を守るとともに棚田に象徴される貴重な日本の原風景や水源地の保全等、国土保全に大きな役割を果たしている。
当管内の人口はいずれも最盛期の3割から5割程度と過疎化が深刻な地域であるが近年各町村とも恵まれた自然、温泉、歴史や伝統文化更に雪にまつわるイベント等、各々の個性と特徴を活かした地域づくりを展開しており、来る21世紀に向け明るい兆しが見えている。当事務所も典型的な多自然居住区域である当地の活性化に向けて産業の発達や生活基盤の基である社会資本の整備を通して支援を行って行きたい。


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