〈建設グラフ2000年1月号〉

寄稿 新潟県の出先事務所長  ●事務所リストへ

21世紀の「良寛の里づくり」をめざして

新潟県与板土木事務所長 市橋拓三 氏

市橋拓三 いちはし・たくぞう
昭和19年10月4日生まれ、新潟県両津市出身、日本大学理工学部土木工学科卒業
昭和43年 4月 新潟県入庁十日町土木事務所
昭和61年 4月 土木部河川課企画調査係長
昭和63年 4月 土木部都市整備局下水道課副参事計画係長
平成 3年 4月 新潟東港開発局企画管理室副参事
平成 4年 4月 相川土木事務所両津分所長
平成 5年 4月 新潟土木事務所道路課長
平成 6年 4月 土本部都市整備局下水道課課長補佐
平成 7年 4月 村上土木事務所次長
平成10年 4月 小千谷土木事務所小出分所長
平成11年 4月 現職

管内は本県の中央海岸部に位置し、三島郡の三島町・与板町・和島村・出雲崎町・寺泊町の4町1村、人口約39,000人、面積190.92q2で自然に恵まれ、良寛ゆかりの史跡や資料館も多く、歴史と文化的香のする地域です。
道路は、国直轄の116号を中心に、海岸無雪道路の国道402号、内陸部の国道403号を縦軸に、国道352号、主要地方道長岡和島練、県道長岡寺泊線を横軸とする構造となっています。この縦軸が概ね1次改築済みなのに比べ、長岡や三条、高速交通体系からのアクセスである西山丘陵を横過する横軸の整備が大きな課題です。
主要地方道長岡和島線の、与板町堤下と和島村阿弥陀瀬間2.9qのバイパスは、県内で初めて建設省の「交流ふれあいトンネル事業」として10月29日に供用開始をしました。また、国道352号の三島町中永と出雲崎町小釜谷間3.8qのバイパスは、この7月8日に中永トンネルが貫通、2年後の供用開始を目指しています。
河川は、信濃川に沿って三島町・与板町を流下する1級河川黒川と、国道116号に沿って、出雲崎町・和島村・寺泊町を流下し各放水路で日本海に注ぐ2級河川島崎川水系に大別されます。
広域基幹河川黒川の三島町中心部の河積拡大と、郷本川の下流郎の拡幅が主要事業ですが、超軟弱地盤対策等で費用が増加、早期事業効果発現に工夫が必要と考えています。この他、海岸郎丘陵の急崖、西山丘陵裾の急傾斜崩壊対策や地滑り対策も重要な災害対策です。
地方港湾寺泊港は佐渡への玄関口、漁業基地、県央地域の物流基地、そして海洋性レクリエーション等地域活性化の核としての整備を、県営出雲崎漁港や建設海岸は、傾斜堤、釣り防波堤、離岸堤や学習広場、多目的デッキなど海と親しむ為の事業を実施しています。
「塩の入りの 坂は名のみになりにけり ゆく人しぬべ 万代までに」
この良寛の新道開通の喜びを詠った200年前の歌は、今でも公共社会資本整備の真実ではないでしょうか。厳しい行財政状況の中、投資事業の厳選は必要ですが、この地域の人々が喜んでこの地で生活するための公共土本施設の全体構想「21世紀の良寛の里づくり」を地域の皆様と検討中です。
利用し易さや、ライフサイクルコスト、地域産業のインセンテイプとなるような施設整備と、きめ細やかで迅速な土木行政を心がけたいと考えております。


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