〈建設グラフ2000年3月号〉

寄稿 新潟県の出先事務所長  ●事務所リストへ

環日本海交流圈の拠点づくり

新潟県新潟土木事務所長 大塚正恒 氏

大塚正恒 おおつか・まさつね
昭和17年3月17日生まれ、明治大学農学部卒
昭和39年柏崎土木事務所
平成 6年新発田土木事務所長
平成 8年上越土木事務所長
平成10年現職

当事務所は、県都新潟市をはじめとした3市3町を擁し、県内最高の人口集積をなす圏域を所管区域としており、管内全域が環日本海交流圏の拠点を目指す新潟地域に入っている。
地勢は日本海に面した海岸砂丘を分水嶺として内陸側に湖沼が残存する平坦な地形を呈しており日本の大河川である信濃川と阿賀野川が南北方向に貫流している。
管内には特定重要港湾及び国際空港があるほか高速交通体系の整備が進み、日本海沿岸諸国及び首都圏と直結していることから交通の拠点性が高く、都市化現象が著しい状況にある。
こうした自然的社会的条件のもと、冬期風波、豪雨などの厳しい自然現象から県土を保全し、住民の生命財産を護る必要性を常に内在するとともに、地方中核都市に相応しい都市政策を推進していく必要があり、社会資本整備を担う土木行政が果たす役割は一層多様で重要になっている。
当管内は重要幹線道路が新潟市の中心街に集中し慢性的な交通混雑をきたしているため、流入する通過交通の分散と円滑な交通の確保を目指した事業が実施または計画されており、新潟港や新潟空港などの物流拠点にアクセスする道路網についても一体的・効率的な整備を進めることにより港湾、空港の機能強化を図るなど、国際交流インフラ推進事業の積極的な展開により環日本海交流圏の拠点形成を目指すこととしているほか、新潟県福祉のまちづくり条例の制定により、公共性の高い施設が所在する地域や歩行者数の多い地域について、歩道のバリヤフリー化を進め歩行者空間の確保を図ることとしている。
道路関係では、新潟大外環状線が新潟東港から巻町角田浜に至る、総延長約45qの半環状道路として計画されており、より事業効果の高い箇所から事業化している。また、2002年のワールドカップサッカー新潟大会の開催にあわせて、新潟空港アクセス道路の整備を進めているほか、新潟西港と国道49号との有機的な結合を図るため、新潟港横越線の整備を進めている。
河川関係については、低平地と地盤沈下の影響による、いわゆるゼロメートル地帯であるため、内水排除を主体とした事業を進めていたところであるが、平成10年8月の異常豪雨では、新潟市を中心に約11000戸を起える家屋に浸水被害が生じたほか、道路・農地等広範囲に湛水被害が発生した。
当事務所では、この災害対策にあたり、通船川、鳥屋野潟、福島潟の各河川において河川激甚災害対策特別緊急事業及び河川災害復旧等関連緊急事業を導入し、再度災害の防止を図ることとしている。
海岸関係では、新潟海岸において大規模な砂丘を復元するため、ヘッドランドの建設及びサンドバイパスを実施しており、昨年秋には一号ヘッドランドを完成させたところである。
当事務所は、今後とも安全で活力に満ちた社会・経済・生活の実現とともに、環日本海交流圈の拠点を目指した社会資本の整備に努めてまいりたい。


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