建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年12月号〉

寄稿

昭和56年洪水以降の対策と今後の方向

国土交通省北海道開発局

石狩川開発建設部 札幌河川事務所長 高橋 公浩

札幌河川事務所は、石狩川開発建設部の最下流部に位置し、札幌市、江別市、石狩市、当別町、厚田村を流れる、石狩川、豊平川、茨戸川等の14河川、約108kmを管理するとともに、豊平川上流の砂防事業を実施しています。

昭和56年洪水以降の対策

石狩川をはじめとして、道内各地で大きな被害をもたらした昭和56年8月洪水以降、札幌河川事務所でも、再度災害を防止するために様々な事業を行ってきました。
特に広い浸水があった札幌北部の低平地では、北海道、札幌市と協力して伏龍川総合治水対策特定河川事業を実施し、石狩放水路等の施設整備を進めました。また、河川の流下能力を増加させるために石狩川本川の浚渫等川の断面を大きくする工事を進めているとともに、昭和56年当時は1ヵ所、15F/sの能力であった排水機場を増設し、現在は、9ヵ所、135F/sと箇所数、能力ともに9倍まで整備しました。
当時、豊平峡ダムだけだった豊平川の洪水調節施設も、定山渓ダムが完成し、洪水調節のための容量がおよそ2倍となりました。
さらに、豊平川に上流から洪水時に大量の土砂が流れ込む恐れがあることから、砂防事業を進めています。


今後の対策の方向

昭和56年洪水以降の20年間でかなりの整備を行いました。しかし、計画に比べ、整備は未だ途上であり、今後とも着実に安全性を向上させていくこととしています。しかし、想定を越える洪水も起こり得ます。このような時に、少しでも被害を軽減させるためには、的確な情報収集と情報伝達が重要です。このため、大量の情報を素早く収集・伝達できるよう、光ファイバーの敷設を行っています。特に、人口や地下街等の施設も集中している札幌都市域においては、危機管理が一層重要であり、学識経験者と自治体、関係機関等で構成する豊平川洪水危機管理検討委員会から昨年12月11日に提言を頂きました。
また、環境に対する配慮や計画に対する住民参加も重要です。ホロヒラタイ(豊平川左岸緑地)では、住民参加によって土地利用計画を検討し、これが発展して「ホロビラみどりづくりの会」が活動しています。
このように、これからは、基幹的な治水対策に加えて、危機管理、環境、住民参加をキーワードに事業を進めていきます。

▲ホロヒラタイ
(H12.11.12)
住民参加型河川事業
生態学的混播法による20サークル200本の植樹

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