〈建設グラフ1998年12月号〉

寄稿

SMP(札幌メディアパーク)の事業展開について

札幌テレビ放送株式会社(STV)SMP事業推進室長 山崎甲子男 氏

衛星放送、デジタル化など放送業界も、大ビッグバン時代を迎えています。これまでのような健全経営は望むべくもないメディア状況下で、STV(札幌テレビ放送株式会社)はイベントに事業性を見いだし、21世紀への生き残りを賭けてSMP(札幌メディアパーク)を立ち上げようとしています。
「芸術と自然の共生」「半野外」といったコンセプトは、ドームの形状と開閉式のガラス屋根という独創的、画期的なデザインを生み出しました。しかし、この二つの要素はSMPが“多目的ホール”をめざす反面『音楽的に高いレベルを求められない』『完全暗転ができない』といったイベントのジャンルを限定せざるを得ない点も事実として存在します。

そこで私たちは、『既存のイベントからの脱却』『付加価値の高いイベントの創出』を指向することにしています。
例えば、狂言師の野村萬斎氏には、大型画面の映像を使った新しい狂言をこけら落とし公演してもらう話を進めています。
また、札幌市内で5,000人規模の集客力を持つ演劇集団「team nacks」には、センターステージで映像を使ったSMPバージョンの芝居を考えてもらっています。この映像は、250インチ「縦4m、横7m」の発光ダイオードを使った大型映像システムのことで、北海道では初めてのパソコンと直結できる高画質のものです。インターネットや衛星放送の送・受信も可能なSMPの目玉設備となります。

大型映像を利用してワールドカップサッカーの有料の「クローズドサーキット」やコンピューターメーカーのイベント展開なども期待できるでしょう。また、SMPがアクセスに恵まれ、ロイトン札幌や札幌グランドホテルなど多数の国際観光ホテルに囲まれていることから、コンベンション会場としても注目されており、すでに2001年に開催される国際学会のメイン会場として決定しています。
STVでは、このSMPを21世紀の「スーパーローカルステーションをめざす拠点」と位置づけ、SMPバージョンの公開放送、文化講演会、即売展示会、ライヴコンサート、販促イベントなどあらゆるジャンルのオリジナルなイベント空間として活用したいと考えています。


HOME