建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年12月号〉

寄稿

南魚沼地域の活性化のために

新潟県六日町土木事務所長 小林 賢市

当土木事務所の所管区域は、新潟県の最南端にあたる南魚沼郡の湯沢町、塩沢町、六日町、大和町の四町であり、面積約942平方キロメートル、人口7万4千人余りを擁し、ノーベル賞作家、川端康成の「雪国」で全国的に知られている地域であります。地域のほぼ中央を魚野川が北流し、東側は関東圏との境をなす急峻な山岳地帯、西側は信濃川流域に接する丘陵地帯に挟まれた小盆地を形成しており、雪をいただく上越国境の山々、丘陵から眺める魚野川の流れと全国的ブランド「魚沼コシヒカリ」の稲穂の海はこの地域の景観を代表するものです。
管内は、最も高速交通体系の整備された環日本海・関越ベルト地帯に位置し、上越新幹線、関越自動車道が縦貫しており、まさに首都圏からの玄関口となっています。
また、平成9年に開業した「ほくほく線」や、新たに地域高規格道路(上越魚沼振興快速道路/八箇峠道路)の着工により、十日町、上越圏域や北陸方面との広域的交流の基地として、その発展が期待されている。
高度経済成長期には、全国有数のスキー場を中心とする観光リゾート施設が建設され、近年その数は微減ながらも年間一千万以上の観光客が当地域を訪れている。また、当地域は歴史的にも古くから関東と越後を結ぶ交通の要路として栄え、戦国時代の名将上杉謙信、雪国文化を紹介した「北越雪譜」の著者・鈴木牧之に代表される豊かな史跡、文化遺産、自然に恵まれており、総合保養地域整備法に基づく「マイ・ライフ・リゾート新潟」に指定されるとともに、奥只見レクリェーション都市地域整備事業など、自然豊かで景観に優れ人情味あふれた地域のネットワーク計画を策定し、広域的通年観光への脱皮を目指し各種計画が進められている。
一方、克雪対策としての消雪用地下水汲み上げによる水源の枯渇や地盤沈下、冬季における休日の交通渋滞、中山間地の道路をはじめとする生活環境の整備など課題が山積みしており、快適な地域社会の形成と圏域外との連携、交流拡大による地域振興を積極的に進める必要がある。
このことから、管内社会資本の重点的整備として、当間高原リゾート関連で県施工としては、最長規模(2,698m)の大沢山トンネルを含む主要地方道十日町当間塩沢線道路改築、魚野川に架かる老朽化の激しい城巻橋(一般県道城内焼野線)、姥島橋(主要地方道塩沢大和線)、東橋(一般県道越後湯沢停車場岩原線)などの橋梁架替、浦佐地区の奥只見レクリェーション都市公園の整備や隣接する十日町市との重要な幹線道路である国道253号の防雪対策事業を実施している。このほか、市街地の活性化に繋がる街路事業(六日町大橋の新設、塩沢町中通り線拡幅など)や渋滞対策道路事業、交通安全対策事業、土砂災害防止のための砂防事業、雪崩防止対策、河川改修事業など生活関連基盤整備にも積極的に取り込んでいる。
今後、地方分権の流れが本格化し、公共事業をめぐる環境が大変厳しいなか当所では、多様化、高度化した住民ニーズを十分把握し、的確に反映するために、地域住民と一緒に地域づくりに参加するとともに、少子、高齢化の時代に向け豊かで活力のある地域環境を形成するため、地域連携や交流拡大に繋がる施策を着実に効果的に進めていくこととしている。


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