建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年12月号〉

寄稿

洪水被害の軽減に向けて

国土交通省北海道開発局 石狩川開発建設部 千歳川河川事務所長 鎌田 照章

千歳川河川事務所の概要
千歳川は、支笏湖フレ岳を源流とし、千歳市内を流下し、江別市で石狩川に合流する幹川流路延長108km、流域面積1,246平方キロメートルの一級河川です。
千歳川流域の地盤は、透水性の高い火山灰層及び軟弱な泥炭や粘土層からなっているため、洪水に弱い特徴を持っています。また、千歳川の勾配が七千分の一と極めて緩く、かつ石狩川の洪水の影響を受けるため洪水継続時間が長くなっています。加えて、流域内には低地が多いため、内水氾濫による洪水被害が絶えません。
千歳川河川事務所は、千歳川下流部6qから上流千歳橋までと漁川、輪厚川、島松川、嶮淵川、旧夕張川、祝梅川の各支川を加え総延長87.8qを管轄しています。行政区域は、千歳市、恵庭市、北広島市、江別市、長沼町、南幌町の4市2町となっています。
平成13年度の主要事業
平成13年度の主な事業としては、低平地で水害常襲地帯である千歳川流域の当面の治水対策として、河道を拡幅する浚渫、掘削工事の促進、排水機場の改築増強、堤防の漏水対策を行っています。また、河川水位の低下に対応する揚水機場、樋門の改築工事や河川災害に備えた河川防災ステーションの建設、光ファイバー網の整備も行っています。
河道の浚渫、掘削は下流部から実施していますが、今年度は、南幌で掘削、江別太で浚渫を実施しています。南6号川の内水氾濫防止のため排水ポンプの能力を増強する南6号排水機場を概成させ、台風期に備えます。また当排水機場は、直轄第1号の排水機場であることから周辺一帯を長沼町とともにメモリアルパークとして地域に開かれた機場として整備する考えです。
堤防漏水対策は、漁川左右岸、嶮淵川で実施しています。洪水継続時間の長い千歳川の洪水に対応するため堤防強化を図っています。
浚渫等による河川水位の低下に対応するための揚水機場の整備として、今年度より長都揚水機場の改築に取りかかります。また、幌向運河樋門、登万別樋門の改築工事は今年度完成予定で、新たに大学排水樋門の改築に着手します。
河川情報通信光ファイバーネットワークは、防災情報の関係機関への伝達や排水機場等の管理、河川監視等の迅速化のために整備しています。合わせて監視カメラの設置も計画しています。
河川防災ステーションは、千歳市と北広島市の2力所で工事中です。水防センター(水防団の待機、情報収集、一般住民の避難場所として)、ヘリポート(緊急物資輸送や水害状況調査のため)の整備や、水防資材の備蓄を行うほか、日常は地域のオープンスペースとして河川の啓発活動や水防訓練に利用することとしています。

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