建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年12月号〉

寄稿

「クリーンライフ100構想」策定で、岡山県下の下水処理100%をめざす

日本下水道事業団 大阪支社 岡山工事事務所長 藤本 裕之

藤本 裕之 ふじもと・ひろゆき
昭和55年3月京都大学工学部衛生工学科卒業
同年4月日本下水道事業団採用、東京支社設計第2課
昭和57年9月東京支社福島工事事務所
昭和61年4月建設省都市局下水道部公共下水道課係長
昭和63年4月東京支社工事課
平成 2年1月イリノイ大学大学院環境工学科修士課程
平成 3年6月東京支社長野工事事務所
平成 5年4月東京支社工事課
平成 6年4月タイ国内務省公共事業局(JICA専門家)
平成 8年4月計画部設計課長代理
平成11年4月岡山工事事務所長

岡山県には10市56町12村の78市町村があり、このうち54市町村が下水道事業を進めています。
岡山県の下水道普及率は平成12年度末で約39%と全国平均を下回っており、下水道整備が急がれている状況にあります。この状況に対処するため、岡山県では平成7年度に、県下全域において均衡ある下水処理施設整備を図るための指針として「クリーンライフ100構想」を策定し、長期的に下水道等による下水処理を100%とすることを目指しています。
JS岡山工事事務所では、平成12年度末までに岡山県を含め36の自治体から委託された69施設の建設に携わっています。この内、下水処理場は43ヵ所となっており、32ヵ所が供用を開始しています。平成13年度の受託状況としては、23の自治体から30ヵ所(25処理場)の建設工事を受託しています。受託箇所は全県に渡っており、町村部のいわゆる小規模処理場の建設が主流になって来ています。また、25処理場の内、新設の処理場は13ヵ所、増設が12ヵ所と、増設箇所の受託が増加しています。
閉鎖性水域である児島湖の富栄養化を防止するため、児島湖流域下水道浄化センターの放流水質については、窒素・リンに関する排水基準が設定されています。
この基準を達成するため、児島湖流域下水道浄化センターでは、凝集剤添加・活性汚泥循環変法(循環式硝化脱窒法)+砂ろ過を採用しています。また、平成11年に供用を開始した増設施設においては、ステップ流入式多段(3段)硝化脱窒法が採用されています。
このステップ流入式多段硝化脱窒法はJS技術開発部において開発された高度処理法で、3段式を採用した施設としては第1号です。
窒素・リンに関する排水基準は現在児島湖流域のみに適用されていますが、瀬戸内海における窒素・リン規制に対応するため、県下全域の下水処理場に対して適用されることが現在検討されています。このため、現在建設・設計中の処理場については、高度処理対応の施設となっています。
例えば、岡山市岡東浄化センターは嫌気・好気活性汚泥法、岡山市吉井川浄化センターは嫌気・無酸素・好気活性汚泥法(a2o法)、倉敷市玉島下水処理場、児島下水処理場、水島下水処理場はステップ流入式多段(3段)硝化脱窒法を採用しています。
今後は、新設・増設のみならず改築・更新にあわせた高度処理への機能向上、高度処理施設への改造の需要も急増するものと考えられます。これらの要求に的確に対応し、下水道事業推進のための全面的な支援を行う所存です。


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