建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

昭和24年高岡市に始まった下水道整備の実施率は実質100%

日本下水道事業団 東京支社 北陸工事事務所 荒船 明久

荒船 明久 あらふね・あきひさ
昭和55年日本下水道事業団入社
平成 7年北海道総合事務所工事第三課長
平成10年工務部建築課長代理
平成13年北陸工事事務所長
■はじめに
北陸工事事務所の所管する富山県及び石川県の下水道整備の歴史は古く、昭和24年の高岡市に始まり、昭和27年富山市、昭和34年新湊市、昭和37年に金沢市で着手され、現在では、実施率は実質100%であります。
富山県では、小矢部川、神通川等、白岩川・上市川において流域別下水道整備総合計画を策定し、他の汚水施設との合理的な整備を図るため、下水道整備区域の設定及び適正な整備手法の選定等を行う全県域汚水適正処理構想として、「全県域下水道化新世紀構想」が策定され、1.集合処理区域・個別処理区域の設定、2.集合処理区域における整備手法の選定、3.整備構想の検討を実施し、事業を推進しております。
石川県では、「石川県下水道整備構想エリアマップ」を策定し、効率的な事業の執行を図りつつ、社会情勢の変化に伴うニーズの変更などもあり、改めて「石川県汚水適正処理構想エリアマップ」を策定し、1.下水道等の整備を計画的かつ効率的に整備できる、2.下水道等に関する長期目標を把握できる、3.下水道等の事業の実施の際に事業間の調整を容易に図ることができる、4.広域的な視点に立った事業の推進が図れる、などの効果をあげ、事業を推進しております。
平成12年度末の下水道整備状況を見ますと、富山県の処理人口普及率は59%、石川県では57%であり、全国の処理人口普及率の62%には若干届かないものの、都道府県別順位は上位につけております。
■事務所の概要
北陸工事事務所は、昭和54年8月に水見市浄化センターの建設工事の委託を受け「富山工事事務所」を開設し、その後、平成2年4月に、昭和56年11月から石川県松任市に開設していた「石川工事事務所」と合併し、現在の「北陸工事事務所」として高岡市二上浄化センター内に平成9年4月に常設し、平成13年3月に高岡市駅南に事務所を移し、現在に至っております。
■平成13事業年度の事業概要
平成13事業年度の事業は、富山県(小矢部川流域下水道二上浄化センター、神通川左岸流域下水道神通川左岸浄化センター)、魚津市(魚津市浄化センター)、滑川市(滑川市浄化センター、第二中継ポンプ場、第三中継ポンプ場)、黒部市(黒部浄化センター)、大沢野町(大沢野浄化センター)、宇奈月町(内山浄化センター)、入善町(入善浄化センター)、細入村(楡原浄化センター)、中新川広域行政事務組合(中新川浄化センター)、輪島市(輪島市浄化センター)、松任市(西南部浄化センター、千代野処理場)、志雄町(志雄浄化センター)、鹿島町(東部クリーンセンター)、穴水町(穴水浄化センター)、能都町(水質浄化センター)、内浦町(小木浄化センター)の1県、5市、8町、1村、1組合の16団体20箇所の受託工事であり、この内新規の処理場建設工事は下線を引いた4箇所で他は増設工事であります。
また、この他完成引渡しをした施設の事後点検、初期運転指導、さらに施設の不具合箇所の調査改善、維持管理面の技術的な相談、及び増設計画や改築計画などの相談も行っております。
■事務所の概要
北陸工事事務所は、昭和54年8月に水見市浄化センターの建設工事の委託を受け「富山工事事務所」を開設し、その後、平成2年4月に、昭和56年11月から石川県松任市に開設していた「石川工事事務所」と合併し、現在の「北陸工事事務所」として高岡市二上浄化センター内に平成9年4月に常設し、平成13年3月に高岡市駅南に事務所を移し、現在に至っております。
■主な工事の紹介
(1)神通川左岸流域下水道神通川左岸浄化センター
神通川左岸浄化センターの全体計画は、計画処理人口207,960人、計画日最大処理水量131,000立方メートル/日で、処理方式は標準活性汚泥法です。第1期工事は全体計画の1/16系列に対応する処理水量8,200立方メートル/日を平成9年12月から一部供用開始しており、現在、第2期工事として、ポンプ設備の増設、水処理設備の増設2〜4/16系列、汚泥溶融炉設備工事を施工しています。
その中の汚泥溶融炉設備工事は、処理能力は乾燥汚泥を9tds/日+し渣の汚泥を溶融焼却しスラグ化する処理設備であり、主要な機器は汚泥の乾燥を目的とした汚泥乾燥設備と汚泥の焼却溶融を行って無害なスラグ化を行う溶融設備、焼却排ガスから熱回収を行う熱回収設備、排ガスの有害物質を無害化する排ガス処理設備、プラントから発生する汚泥臭気を生物脱臭、その他給排水設備、空気設備、蒸気設備、薬品燃料設備等から構成され、現在は、平成13年12月の工期に向け「墜落、転落災害の防止」を安全目標として、工事を進めております。
(2)輪島市浄化センター
輪島市浄化センターの全体計画は、計画処理人口25,000人、計画日最大処理水量16,000立方メートル/日で、処理方式はオキシデーションディッチ法です。平成9年より着工し、平成12年6月より第1期工事の2,000立方メートル/日(1/8系列)を供用開始しており、現在、第2期工事として水処理施設の増設工事(2/8系列)及び汚泥処理設備工事を施工しています。
供用開始をしている施設での工事であるため、稼動している設備との取合い、処理場の維持管理者との協議・調整を図りながら工事を進めております。
(3)鹿島町東部クリーンセンター
鹿島町東部クリーンセンターは、能登半島入り口の羽咋市と七尾市との中間の鹿島町に位置し、全体計画は、計画処理人口2,800人、計画日最大処理水量1,500立方メートル/日で、処理方式は長時間エアレーション法(単層式無酸素好気運転)で、処理水は渇水時期に農業用水として再利用を考えています。
現在施工している工事は、水処理施設と管理棟の工事であり、掘削工事においては特に水処理施設の躯体底部までの地層が緩い砂礫層と粘土層とが重なった地下水位の高い崩れやすい層で、安全面において注意を図りました。
安全面では他に、現場の横を七尾線が走っているので、列車の安全運行確保のため地盤を安定処理しての杭打機械の転倒防止に努めたこと、重機及び作業員が営業線近接工事適用範囲に入らないようにロープで立ち入り禁止区域を明示したことなどに努めています。
今後の工事においても、JRと密接に協議を行い、調整を行いながら進めていきたいと思っております。
■おわりに
北陸工事事務所は、過去22年間に34の委託団体(富山県内20、石川県内13、岐阜県内1)の終末処理場、ポンプ場、幹線管渠の施設の工事を施工してきましたが、今後は、建設工事の監督業務だけでなく、北陸工事務所管内の地方公共団体のために、jsの設置目的である地方公共団体の代行業務としての役割として、事務的な手続きや供用開始後の維持管理の助言、新技術の情報を提供し、人の水のかかわりを考え、健康で快適な街づくりに貢献していきたいと考えております。

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