建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

流域下水道整備から開設 県と地域住民の協力によりこれからも

―県・市町村の事業推進への強力な支援・協力組織を目指して―

日本下水道事業団東京支社 千葉工事事務所長 田山 武夫

田山 武夫 たやま・たけお
昭和18年5月23日生まれ東京都出身、千葉工業大学卒業
昭和42年 千葉県採用
千葉県印旛沼下水道事務所次長
県下水道公社管理部長
都市部下水道計画課主幹
江戸川下水道事務所長
平成13年4月 現職

当事務所が所管する千葉県は、関東平野の東に位置し、県の東と南は太平洋岸、西と北は江戸川・利根川に面しており、四方を水に囲まれた変化に富んだ美しい海岸と緑が多い丘陵、四季折々の彩りも美しい渓谷など、豊かな自然に恵まれた地域です。
このような環境のもとで、千葉県の下水道整備は、昭和11年に千葉市が最初に着手しました。
昭和30年代から40年代にかけての高度成長期には、急激な都市化と人口増加により、河川や沼地などの水質汚濁が急速に進んできたため、近接する東京都近郊の江戸川流域等で下水道施設が逐次整備されてきました。
千葉県が下水道事業を重要な施策の一環として位置づけ、事業を本格的に開始したのは昭和40年代に広域的な水質保全を確保する観点から、流域下水道に着手したことによります。
これにより、昭和43年度に印旛沼、46年度に手賀沼、47年度に江戸川左岸の三流域の整備が進められてきました。
このような中で、当事務所は、昭和50年5月に江戸川工事事務所として開設され、千葉県からの要請を受けて、江戸川左岸流域下水道の第二終末処理場の建設に関わって参りました。
当時は、国家事業である成田国際空港の建設反対闘争が激しい時期で、当処理場の建設も周辺地域住民から反対運動が起こり、一時は処理場内での座り込みや工事差し止め請求が裁判所に出され、建設工事に着手できないなど大変な時期もありました。
以上のような、周辺環境の厳しい場所での処理場建設のスタートでしたが、県のお力添えや周辺地域住民のご理解を得、現在では、計画処理施設8系列(464千立方メートル/日最大)の施設が平成13年度末に完成する予定です。
また、同処理場では平成11年度から、東京湾富栄養化対策として、高度処理施設(110千立方メートル/日最大)の1/2系列の土木工事に着手し現在鋭意建設中です。
その他、県内船橋市の単独公共下水道(計画量202千立方メートル/日最大)の処理場建設工事を始めとして、千葉市の雨水ポンプ場(能力11立方メートル/秒)などを含め、現在8自治体からの委託を受け、職員11名で県下の下水道建設工事の監督業務や、既受託団体へのアフターケアなどに一丸となって頑張っております。
ちなみに、千葉県の下水道普及率は、平成12年度末で57%と全国では15位です。全国平均の62%を下回っており、これからも県の下水道整備促進に向けて協力していかなければならないと思っています。
とりわけ、県下80市町村の内、半分となる40市町村の下水道施設などが未着手であり、この多くは、房総半島の太平洋岸に位置し、近年これら地域の中小河川の汚濁が憂慮されています。
これらの地域は、夏場は海水浴場として賑わい、多くの観光客が集まる場所でもあり、下水道施設の普及が急務な場所と考えられますが、現下の厳しい財政状況のもとでの多くの中小市町村では下水道の整備が遅れているのが現状です。
現在、特殊法人等改革が進められておりますが、このような中小市町村の下水道整備促進のため、下水道事業団が求められている役割は、今後益々重要になると考えております。
当事務所は、今後とも県と協力し、県下の下水道整備の普及促進に向け、尚一層の努力をし、地域住民の福祉向上と環境対策等の解決に寄与して参ります。


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