建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

「幾春別川総合開発事業」を推進

国土交通省北海道開発局 石狩川開発建設部 幾春別川ダム建設事業所長 新目 竜一

幾春別川総合開発事業の概要
幾春別川総合開発事業は、完成後44年を経過した、北海道で最初の多目的ダムである桂沢ダムを嵩上げする再開発事業(新桂沢ダム)と幾春別川の支流奔別川に新設する三笠ぽんぺつダムからなる2ダム1事業のプロジェクトです。
幾春別川流域では、昭和32年に完成した現桂沢ダム完成後も幾度となく大きな洪水被害を受けています。特に昭和50年と昭和56年にはかつて経験しなかった大洪水に見舞われました。幾春別川総合開発事業を早期完成させることによって、洪水調節のための容量がl,040万立方メートルから4,550万立方メートルと約4.4倍に増加するとともに、これまで6/5〜10/31までであった洪水調節可能な期間が融雪出水を含め1年を通して可能となるなど、流域の治水安全度を大幅に向上させることができます。
また、幾春別川では「魚がのぽりやすい川づくり推進モデル事業」が行われており、平成3年には、百年振りにサケの遡上が確認され、河川愛護団体がサケ稚魚を放流するなど、地元住民の河川環境への関心は非常に高いものがあります。一方、現桂沢ダムには河川環境保全のための容量がないため、ダム下流ではほとんど水が流れていない状態です。さらにかんがい期には農業用水の取水を行う頭首工の下流では、水の流れが無くなるなど望ましい河川環境とは言えません。これらに対しても、幾春別川総合開発事業を早期に完成させることで、河川の流況改善に大きく寄与するものです。
利水面からは、既得のかんがい用水の安定供給や三笠市、岩見沢市、美唄市、北村、栗沢町への水道用水の供給、石狩湾新港地域への工業用水の供給、貯留水を有効利用したクリーンエネルギーである水力発電が行われます。
このように、幾春別川総合開発事業は、流域の安全を守り、広い地域に水を供給することで豊かな明日を築いていきます。
平成13年度の工事概要
本年度の事業は、前年度に引き続き、ダム本体着手に向けて、両ダムで共有する原石山の工事用道路、三笠ぽんぺつダムの工事用道路、市道付替工事などの道路整備や、転流のための三笠ぼんぺつダム仮排水路工事等の整備を促進していきます。
▲三笠ぽんべつダムイメージパース ▲新桂沢ダムイメージパース

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