建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

世界に繋がるコンテナ基地と「ふるさと海岸」を創造

国土交通省中部地方整備局 四日市港湾工事事務所長 澤 覚

澤 覚 さわ・さとる
昭和19年 愛知県西尾市生まれ
運輸省第五港湾建設局工事課長
名古屋港湾空港工事事務所次長を経て
平成13年4月より現職
▲四日市港の全景
はじめに
中部地方整備局四日市港湾工事事務所では、近年増加の著しいコンテナ貨物に対して、我が国の国際競争力の強化と物流コストの縮減に向けた施設機能の強化を図るため、国際海上コンテナターミナルのプロジェクトを進めています。また、津松阪港においては直轄海岸整備事業として、海岸背後のまちづくりと一体となった機能的で親しみのある海岸整備を進めています。
四日市港
伊勢湾の湾奥部に位置する四日市港は、明治32年の開港以来、主に羊毛、綿花等の輸入港として栄え、昭和27年には特定重要港湾に指定され、平成11年には開港100周年を迎えました。
四日市港は中部圈における代表的な国際貿易港であり、我が国有数の石油化学コンビナートを擁するエネルギー供給基地として、また北米・欧州に向けた自動車輸出基地として我が国の経済活動にとって重要な役割を担っています。
さらに、昭和44年から取り扱いが始まったコンテナ貨物についても、豪州・東南アジアをはじめとするコンテナ定期航路を年々拡充させ、平成12年には9航路13サービスの定期航路を開設しており、コンテナ取扱量も10年前の約8倍となる180万トンを取り扱っており、中枢国際港湾としての発展を続けています。
四日市港における主要施設である霞ヶ浦南埠頭地区岸壁(-12m)(東)は、平成5年度に着工した四日市港で初の耐震強化岸壁であり、今年10月の完成により震災時における緊急物資等の輸送等、港湾の危機管理体制の強化に貢献できるものと期待されています。
更に、急増するコンテナ貨物と船舶の大型化に対応するため、平成13年度より霞ヶ浦北埠頭地区において国際海上コンテナターミナルのプロジェクトに着手しており、岸壁(-14m)、泊地(-14m)の整備に続き、防波堤の整備や臨港地区と第二名神高速道路とを結ぶ臨港道路等の施設整備が計画されています。
▲国際海上コンテナターミナルのイメージパース ▲耐震強化岸壁の整備状況
津松阪港
津松阪港海岸は昭和28年の台風13号と未曾有の災害をもたらした昭和34年の伊勢湾台風により壊滅的な打撃を受け、昭和34年から38年にかけて災害復旧事業として海岸護岸が整備されました。
その後、40年近くが経過し、施設の老朽化や海岸侵食の対策並びに地震時の液状化対策を実施するため、平成4年度より直轄海岸整備事業として、老朽化が著しい一志郡香良洲町〜三雲町〜松阪市にかけての約8.6qの護岸改良を実施しています。
海岸整備に当たっては、背後の街づくりと一体となった良質で多面的な海岸整備を実施するため「ふるさと海岸整備事業」として取り組んでいます。
さらに、平成11年の海岸法改正に伴い、景観面への配慮やバリアフリー対策も導入され、今年度迄の進捗率は香良洲地区56%、三雲地区41%、松阪地区50%となっており、早期整備に向けて鋭意事業を実施中です。
▲改修前の香良洲地区護岸 ▲改良後の香良洲地区護岸

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