建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

―北海道ならびに市町村における下水道整備の現況とこれからの課題― 下水道普及率全国第4位

212市町村のうち175市町村で下水道事業着手「道民皆下水道化」をめざしてさらに前進

北海道建設部 公園下水道課長 大島 敏雄

大島 敏雄 おおしま・としお
昭和23年11月17日生 札幌出身、札幌南高、北大工卒
昭和59年札幌土現道路建設課主査
昭和61年函館土現都市施設
昭和63年小樽土現都市施設
平成元年公園下水道課下水道第1
平成 3年6月同下水道各係長
平成 5年4月留萌土現事業課長
平成 8年4月公園下水道課長補佐
平成10年4月室蘭土現企画調整室長
平成12年4月網走土現事業部長
平成13年4月現職
北海道の下水道整備の現況
本道の公共下水道事業は、これまでの各市町村の積極的な取り組みにより、着々と整備が進められてきています。平成13年度までに、212市町村のうち175市町村で下水道事業に着手しています。
この他に農業集落排水事業や漁業集落排水事業を23町村で実施していますので、これを合わせると198市町村となり、下水道事業や農業集落排水事業などの集合処理施設事業を全く実施していない町村数は、14町村となります。
下水道事業着手済175市町村のうち本年度までに供用開始する市町村は、155市町村となります。
道が事業主体の流域下水道事業は、石狩川流域下水道、十勝川流域下水道、函館湾流域下水道の3箇所で事業を実施しています。十勝川流域下水道の1市3町、函館湾流域下水道の1市3町については、既に供用を開始しています。
石狩川流域下水道の6市4町のうち6市3町は供用開始しており、残る浦臼町については平成13年度供用開始の予定ですので、流域下水道関連市町村は本年度で全て供用開始することになります。
また、同じく道が事業主体の特定公共下水道は、石狩湾新港地域の工業団地で事業を進めており、昭和58年度に供用を開始しています。このほか、浸水対策の都市下水路事業は三笠市で実施しており、本年度完成の予定です。
本道の下水道普及率は、20年前の昭和56年度末は、39.5%でしたが、平成12年度末は、81.4%と、この20年間に約42ポイント向上しています。全国の平成12年度末の下水道普及率は、62%となっていますので、本道の下水道普及率は全国平均を大きく上回っているといえます。
平成12年度末の北海道の下水道普及率は、東京都、神奈川県、大阪府についで全国第4位となっています。
これからの課題
平成13年6月21日経済財政諮問会議において「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」いわゆる「骨太の方針」が決定され、6月26日に閣議決定されました。
この中で21世紀の日本が目指す社会を示し、日本の経済再生のための色々な分野での構造改革の方向性が示されました。
社会資本整備においても、これまでの公共投資の問題点として、分野別の配分に硬直性をもたらしている特定財源の仕組みの見直しや、公共事業関係の長期計画についても、その必要性そのものを含め見直しを行うこととしています。
また、個性と活力のある「地方」の構築を目指して、国の関与する事業は限定し、地方の主体性を生かした社会資本整備に転換して行き、公共事業については、適正な受益者負担を求めることとされています。
また、厳しい財政状況や日本の場合国民経済に占める公共投資の割合が欧米諸国に比べ非常に高いことから、投資規模も見直しが必要とされています。
このような状況の中でも重点的に推進すべき分野として、(1)環境問題への対応、(2)少子・高齢化への対応、(3)地方の個性ある活性化など、(4)都市の再生、(5)科学技術の振興、(6)人材育成・教育、(7)it国家の実現の7分野について重点的に投資を行うとされています。
また8月10日には、平成14年度概算要求基準が決定され、公共投資関係費については、公共投資重点化措置として重点7分野への重点化を図り、予算規模については、前年度予算の10%減とされました。
このように、公共投資関係費が厳しくなる状況や最近の市町村の厳しい財政状況がありますが、道としては、厳しい市町村財政に配慮しながら、「道民皆下水道化」を目指して、道内全域の整備手法などを定めた「全道みな下水道構想」や過疎町村に対する下水道代行制度などを活用しながら、市部に比べ遅れている町村部の下水道整備の促進を図るとともに、未着手町村の解消に努めたいと考えています。
次に最近話題となっている合流式下水道については、道内で17市町が合流区域を持っていますが、合流改善については、一部の市において実施されているものの、今後の下水道の役割である健全な水環境・良好な水環境の創造などのために、今後取り組む重要な課題であると考えています。
また、下水道の普及が相当進んだことから、既存の下水道施設の改築更新の比重が増大すると考えられるので、改築更新費用の確保が課題となりますが、公共投資が減少する中で効率の良い改築更新行うためには、適正な維持管理を行うことが必要と思います。

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