建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年11月号〉

寄稿

潤いある穀倉地帯を守る ―雨竜川捷水路事業―

国土交通省北海道開発局 石狩川開発建設部 北空知河川事業所長 中村英二

はじめに
北空知河川事業所は、雨竜川合流点の江竜橋から神居古潭までの石狩川本流と6大支川の中で流域面積が2番目に大きい雨竜川を担当しています。
雨竜川は、幹線流路延長177km、流域面積1,700平方キロメートルで、幌加内町、深川市、沼田町、秩父別町、北竜町、雨竜町及び妹背牛町を流れ、流域は有数な水田地帯です。
流域一帯は、明治の中頃に開拓の鍬が入りましたが、雨竜川及びその支川の大鳳川は非常に蛇行が多く、洪水時には水位のせき上げ及び河岸決壊が発生する状況にあり、そのため広範囲かつ長時間にわたる氾濫が発生し、いままでにも幾度となく多大な被害を受けてきました。
このことから当事業所では、治水安全度の向上を図るため、石狩川、雨竜川及び大鳳川等の治水施設の整備を行っているところです。
雨竜川捷水路事業
雨竜川の下流部には極端な湾曲部があり、洪水が流下しづらい状況であること、また、その湾曲部の直上流に合流している大鳳川は、雨竜川の高い水位に影響され逆流し、堤内外に湛水する状況にありました。
そこで、この地区の抜本的な治水対策として、湾曲部をショートカットする『雨竜川捷水路工事』と大鳳川の合流点を下流へ移す『大鳳川新水路工事』を併せて『雨竜川捷水路事業』として実施しています。
この内、大鳳川新水路工事は慢性的に繰り返される床上浸水被害の早期解消に向けた「直轄床上浸水対策特別緊急事業」として平成7年度に着工、平成13年3月に完成し、旧合流点付近では計画高水で約2.2mの水位低下が見込まれ、雨竜川の背水の影響がほとんど払拭されるとともに内水排除が大幅に改善されているところです。
一方、雨竜川捷水路工事は、平成6年度に着工され、新水路部分の掘削、築堤及び護岸がほぼ完成し、平成13、14年度で現築堤の開削及び旧川の締切り等を行い完了する計画となっています。この捷水路が完成すると洪水時の水位が約60cmの低下が見込まれます。
▲雨竜川捷水路完成予想写真

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