建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年10月号〉

寄稿

特集・日本道路公団(JH) 中部支社

水郷の街を結ぶ第二名神高速道路 木曽川橋・揖斐川橋が完成

日本道路公団 中部支社 四日市工事事務所長 中村 州章 氏

中村 州章 なかむら・くにあき
昭和54年4月日本道路公団入社 本社維持企画課
昭和 7月東京第一建設局 日立工事事務所
昭和57年12月試験所 舗装試験室
昭和61年11月本社 道路技術課
平成元年 9月JICA専門家としてフィリピン公共事業道路省派遣
平成 4年11月高松建設局 脇町工事事務所工事長
平成 7年 5月(財)高速道路調査会 研究第二課長
平成10年 7月東京第二建設局 工務課長
平成11年 8月東京建設局 工務第一課長
平成12年 4月JICA専門家としてニカラグア運輸インフラ省派遣
平成 7月名古屋建設局 四日市工事事務所長
現在に至る
四日市工事事務所は、第二名神高速道路の愛知・三重県境から東名阪自動車道と接続する四日市JCTを経由して菰野ICまでの建設(25.9q)、および東名阪自動車道の環境整備事業として四日市JCTから四日市市・鈴鹿市境までの付加車線設置などを担当している。第二名神高速道路県境〜四日市JCT間の建設区間は、一部連絡等施設を除いてほとんどが橋梁構造物となっている。
このうち、来年春には第二名神高速道路の湾岸弥富IC〜みえ川越IC間が開通する予定で、これにより、この間のアクセスが大幅に向上し、名古屋市内の国道23号の渋滞緩和に寄与するものと考えられる。桑名市や長島町などへのアクセスも便利になり、レジャー・ドライブに、より一層楽しんでいただけるようになる。
沿線概要〜“水郷の街”を走る
今年は東海道宿駅・伝馬制制定400周年にあたるが、東海道の内熱田宮の宿(愛知県)から桑名の宿(三重県)間の七里(約28q)は、「七里の渡し」として東海道で唯一、舟で渡る海上路だった。
現在ここは三重県の北部にあたり、長島町や桑名市など“水郷の街”がある地域である。木曽、長良、揖斐の三大河川に囲まれ、「全国水の郷百選」に認定された長島町には、日本一の規模を誇る「国営木曽三川公園」など水の郷ならではの施設や、長島温泉、「なばなの里」などファミリーで楽しめる観光資源も豊富にある。
一方桑名市は、「時雨蛤」に代表される特産品や、300年以上の歴史を誇る鋳物や鉄工業の盛んな街。観光では昔の面影を今に残す「七里の渡し」、宝暦治水で有名な薩摩義士の眠る「海藏寺」、青銅の鳥居で有名な春日神社など歴史を偲ぶ神社仏閣があるほか、桑名城址の「九華公園」は桜、つつじ、花菖蒲が咲き乱れる名所として知られ、多くの人の憩いの場となっている。さらに夏には二大イベントである「水郷花火大会」や天下の奇祭「石取祭」が盛大に催される。
木曽川・揖斐川に世界初のPC・鋼複合エクストラドーズド橋
来春開通区間のちょうど「七里の渡し」にあたる箇所に完成するのが「木曽川橋」と「揖斐川橋」の2つの橋梁だが、この2橋には、世界で初めての「PC・鋼複合エクストラドーズド橋」を採用している。
エクストラドーズド橋とは、従来の桁橋において桁内に配置されたpc鋼材を、より効率的に用いるために桁外に配置し、大きい偏心量でプレストレス力を主桁に作用させた新しい橋梁形式。荷重のほとんどを斜ケーブルで吊っている斜張橋と比較して、同一規模の橋梁においては一般的に建設コストが低減される。コンクリート桁部分は、海上運搬された大型セグメント(6車線一体、最大約400t)によるキャンチレバー架設を行っている。
この2つの橋梁の完成により、木曽岬干拓地から桑名市域までが橋梁と高架橋で結ばれる。風を受け帆を張って滑るように進む七里の渡し船をイメージした橋のデザインは美しく優雅。地域の新しいランドマークとして、多くの人に親しまれるだろう。

▲世界初のPC・鋼複合連続エクストラドーズド橋
(写真上方が揖斐川橋、下方が木曽川橋)
▲四日市JCT

HOME