建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年10月号〉

寄稿

浦河港防波堤(西島)の着工に向けて

国土交通省北海道開発局 室蘭開発建設部浦河港湾建設事務所長 松川 忠

はじめに
浦河港湾建設事務所では、日高管内に点在する漁港及び港湾のうち、漁港については第3種と第4種漁港の3港(三石漁港・様似漁港・庶野漁港)を直轄事業として受け持ち、港湾事業については、地方港湾浦河港及びえりも港の2港を日高管内での中核の漁港、地方港湾として整備を進めております。
平成13年度の事業
平成13年度の港湾整備事業について簡単にご紹介すると、浦河港については、平成12年度に問題となっていた漁業補償が解決し、港内の静穏度確保のため防波堤(南)の延伸、護岸(防波)(改良)の整備を実施しています。又静穏度確保の最も重要な防波堤(西島)の調査も実施し、次年度の整備に向け準備を進めている段階です。
港湾計画に係る漁業補償の問題は、浦河港の港湾整備上の大きな問題として関係者と長期にわたり話し合いを進めてきたものであり、この度漁業組合の了解が得られ着工に踏み切ることができて、懸案だった港内静穏度確保に向け整備することが出来るようになり大変喜んでいる次第です。
これらの整備を進めることにより本港地区、岸壁(-7.5m)の利用促進が一段と進み港内での漁船等の輻輳が解消され、利用船舶の安全確保が図られると共に港内での漁船と貨物船の分離が図られます。又防波堤(西島)については、防波堤の多目的な利用を目指し、水産協調型の構造物を整備すべく関係各方面との検討委員会を発足させ鋭意検討を図っており、関係漁組等から強い要望があったこともあり実施に向け準備中であります。
その他今後の継続的な事業として、港湾周辺での円滑な交通を図るため臨港道路の整備は防災上の観点からも欠かせないものであります。
えりも港水中荷捌き施設供用開始
えりも港については避難港として整備が進められ、平成13年度事業として港内静穏度確保に向け防波堤(南)(改良)、物揚場施設の老朽化に対する整備として物揚場(-3m)(改良)、その他港湾施設用地(水中)、港湾施設用地及び物揚場(-2.5m)、護岸(防波)(北)の各施設の完成を目指し鋭意工事が行われています。
本年度の完成を目指している港湾施設用地(水中)が出来上がると、活魚及び水産物の需要の高まりに対応するため、コンブの一時付け置き、その他水産物の一時貯蔵、更には養殖事業へと多方面にわたり展開が図られ、管理者より完成を心待ちにされている現状であります。
今後の事業展開
現在の公共事業抑制の渦の中で、地方港湾・漁港については決して追い風が吹いているわけではありません。しかしながら、それぞれの地域の中で港の占めてる割合は大きなものがあり、港湾・漁港は産業の基盤で、地域開発になくてはならないものです。今後は港湾・漁港の必要性と役割を理解していただいて、地域にとって真に必要となる港づくりのための事業展開をはかっていくことを考えていきたいと思います。

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