〈建設グラフ1997年10月号〉

展 望 〈千葉市〉

『21世紀に向けた都市づくり』

千葉市長 松井 旭 氏

松井 旭 まつい・あさひ
昭和 2年11月24日生まれ、北海道旭川市出身
昭和26年中央大学専門部経済学科卒
昭和27年自治省選挙部勤務
昭和33年自治省財政局財政課勤務
昭和39年山口県下関市財政部長
昭和42年千葉県衛生部主幹
昭和44年千葉市財政部長
昭和49年千葉市第二助役
昭和52年千葉市長初就任
現在六期目
限りない発展の可能性
千葉市は、東京都心と成田空港とのほぼ中間に位置し、また、国内有数の国際港「千葉港」を擁する立地特性に加え、緑と水辺に恵まれた広大な市域を有するなど、将来に向け限りない発展の可能性を秘めた都市です。
現在、この"可能性"を十分生かしながら、政令指定都市として、また首都機能の一翼を担う業務核都市として確がな歩みを続け、市政ほ順調に進展しています。
第6次5か年計画の着実な推進
21世紀を目前に、わが国の社会経済情勢ほ大きく変容しており、とりわけ地方自治を取り巻く状況の変化は誠に著しいものがあります。加えて、少子・高齢化、国際化、高度情報化なと、新しい時代の潮流や、多様化する市民ニーズに対する的確な対応など、極めて幅広い分野での施策展開が求められています。
昨年4月にスタートした「第6次5か年計画」は、これらの施策を積極的に盛り込んだものとなっており、「市民生活の質的な向上」と「大都市にふさわしいまちづくり」を目標として、今世紀における千葉市づくりの総仕上げと21世紀にさらに成熟した大都市に成長するための基礎固めを図るもので、現在、その着実な推進に向け、全庁一丸となって取り組んでいます。
なかでも、「大都市としての都市水準の向上」を重要な課題として位置付け、公共下水道や幹線道路網の整備などの都市基盤整備、都市再開発や区画整理事業の推進など、大都市としての機能の充実に積極的に取り組んでいます。
特に公共下水道についてほ、平成7年度末時点で73%の普及率を、12年度末までに86%へと13ポイントの大幅なアップを目指します。
21世紀を展望して
(1)都市機能の充実・強化  さて、来るべき21世紀に、成熟した大都市として、また首都圏全体の発展を支える中枢都市として着実に発展を続けるためには、社会資本の充実や産業の振興、商業・業務機能の集積など、それにふさわしい都市機能の充実・強化を図ることが重要な課題であると認識しています。 A.千葉都心地区の活性化  まず、本市の"顔づくり"の観点から、千葉都心地区の活性化が挙げられます。地盤沈下の傾向にある中央地区の再開発手法による再生や、モノレール栄町駅の開設を契機に栄町方面の活性化の誘導、さらには、"にぎわいの創出"のための千葉駅前大通りの地下街構想なとを推進することにより,現在進められている千葉駅西口再開発や中央港区画整理事業と相まって、都心地区全体の回遊性が飛躍的に高まり、大都市にふさわしい魅力ある千葉都心が形成されるものと確信します。 B.第3の都心づくり  次に、蘇我臨海部の川崎製鉄の遊休地(約300ha)と、jr線の結節点として高いポテンシャルを持つ蘇我駅周辺地区を一体的に捉らえ、長期的な視点から地域特性を踏まえた機能集積を図り、千葉都心、幕張新都心に次ぐ「第3の都心づくり」を考えています。
 将来、3つの都心の有機的な連携により,大都市としての機能がさらに高められることでしょう。
(2)交通体系の整備  また、大都市における快適な居住環境の形成を図るためにほ、交通体系の整備が不可欠です。
 千葉都心と地区拠点相互の連携強化を図るための放射状道路や、都心部の通過交通を排除するための環状道路の整備促進については、現在、鋭意取り組んでいるところですが、早期完成に向け、さらに積極的に取り組んでいかなければなりません。
 また、都市モノレールの環状ルートの整備や、足の便の悪い北部方面などの交通体系についても、検討を進めていく必要があるものと考えています。
(3)文化芸術・スポーツ面の充実  また、21世紀には、『ゆとり』や『豊かさ』の視点からの都市づくりがポイントになってくるものと思います。
 そこで、文化芸術やスポーツ面の充実は、その重要な要素のひとつです。
 まず、文化芸術の分野では,市民が身近なところで、世界的にも優れた音楽や舞台芸術を堪能いただけるよう、大都市にふさわしい中核的文化芸術ホールの整備を進めたいと考えています。スポーツの分野では、国際的スポーツ大会の開催は、広島市の「アジア大会」や福岡市の「ユニバーシアード大会」に例をみるように、国際都市を目指す本市にとって意義のあることであり、国際的総合スポーツイベントが開催可能な高水準の「総合スポーツセンターの整備」なども、ぜひ進めてまいりたいと考えています。
(4)ソフト施策の充実  もちろん、時代の変化を的確に捉え、市民ニーズを十分反映した施策、とりわけ、少子・高齢化に対応した福祉施策の充実や、市民生活に密着した保健・医療・生涯学習の向上なと、いわゆるソフト施策についても、併せて取り組んでいかなければならない重要な課題であると認識しています。
わが国を代表する国際都市を目指して
現在進めている「第6次5か年計画事業」の中には、中長期的事業が多く含まれており、これらの事業は、計画期間中にしっかりと足固めをし、来るべき21世紀に実を結ばせようとするものであり、"21世紀への懸け橋"となるものです。
近い将来、この架け橋事業が完成し、また、前述のいわゆる"ゆめ事業"などが具体化してまいりますと、本市は大きく変貌し、我が国を代表する"国際都市・千葉市"へと成長を遂げるものと確信します。
申すまでもなく、都市づくりは、一朝一夕に成し得るものではありません。しっかりとした計画を立て、その計画に沿って市民と行政がお互いに手を携えて行っていくことが必要です。
今後とも、「人間尊重・市民生活優先」の基本理念の下、"国際都市・千葉市"を心に描きながら、市民参加による都市づくりを積極的に進めてまいりたいと考えています。

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