建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年10月号〉

寄稿

国際交流や地域観光の振興に貢献する港湾

国土交通省北海道開発局 網走開発建設部紋別港湾建設事務所長 小山 良明

はじめに
紋別港湾建設事務所は、重要港湾の紋別港と第四種漁港の元稲府漁港を所管しています。
紋別港は、北海道の宗谷岬から知床岬まで弓状に連なるオホーツク沿岸のほぼ中央に位置する人口2万8,000人の紋別市にあります。紋別港の背後圏は、紋別市を核とした網走地域の北部及び上川地域の一部の2市14町2村で形成され、人口は約15万人で全道の2.6%を占めています。本地域は、北海道の中でも屈指の酪農地帯を背景とした畜産業及び水産業とこれら産品を加工する二次産業が基幹産業となっており、内陸部では牧草地を中心とした畑作、海岸部ではホタテ桁網、沖合底引き網漁業等を主体とした水産業を中心に食料製造業が発達しています。

平成13年度の事業概要
紋別港の工事は、現在、第3ふ頭において貨物船の大型化や背後圏の外貿需要の増大に対応するため、水深-12mの大型岸壁の整備を進めており、今年11月には水深-10mで暫定供用を開始し、来年末には水深-12mで本格的な供用開始を目指しています。
紋別港の港南地区は、紋別市が策定した「流氷都市拠点地域整備構想」の海洋レジャーゾーンに位置づけられ、レジャー施設が数多く配置されています。まず、氷海域における海洋科学の観測研究施設として氷海展望塔「オホーツクタワー」があり、海底階からは魚の泳ぐ様子や流氷を下から観察できる構造となっています。「オホーツクタワー」に通じる第3防波堤は、散策や釣り等が楽しめる施設「クリオネプロムナード」として市民に親しまれています。さらに、ビーチバレーのできる人工海水浴場「オホーツクもんべつホワイトビーチ」、傷ついた野生のアザラシを保護、観察をテーマとする「ゴマちゃんランド」、冬だけではなく夏や釣りクルーズなどで通年運行している流氷砕氷船「ガリンコ号A」の発着ステーション「海洋交流館」、イベント・スポーツ等多目的利用のできる緑地が整備され、紋別市民をはじめ道内外の観光客に利用されています。
これからの紋別港は、背後圏の流通拠点港としての役割を担うばかりではなく、国際交流や地域観光の振興に貢献する港湾として、また港を含めた街づくりの再開発など地域社会生活の発展に寄与していくことが期待されます。
元稲府漁港は、紋別市から40kmほど北の雄武町にあります。雄武町は人口5,800人、オホーツクの秋の味覚「サケの中のサケ」と呼ばれている「めじか」の本場として有名です。
避難港である元稲府漁港の工事は、底引き船の減船に伴い既設岸壁の一部を地元漁船に対応すべく岸壁の改良を行うとともに、漁業者の就労環境を改善するため防風雪施設の今年度完成を目指しています。
これからの元稲府漁港は、係留施設の利便性と安全性の向上を図るとともに、資源管理型漁業を推進し、蓄養施設の拠点港として施設の整備に取り組んでいきます。
▲クリオネプロムナード

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