建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年10月号〉

寄稿

特集・日本道路公団(JH) 中部支社

共生と調和の道づくり 「第二名神」と「亀山直結線」

日本道路公団 中部支社 亀山工事事務所長 建部 俊典

建部 俊典 たてべ・としのり
昭和48年4月1日日本道路公団入社
平成7年7月本社 建設第三課長 代理
平成9年5月大阪建設局 工務第一課長
平成10年11月名古屋建設局 亀山工事事務所所長
現在に至る

亀山工事事務所が所掌するのは、第二名神高速道路の供用中の東名阪自動車道に接続する亀山東JCTから鈴鹿トンネル西坑口までの約11.8km(本線5.6km、連絡路:亀山東JCT〜亀山JCT6.2km)の建設と、さらに平成10年12月に整備計画区間となった菰野ICから亀山JCT間約18kmを調査区間として担当している。
また、東名阪自動車道と伊勢自動車道を連結する近畿自動車道名古屋関線(亀山直結線)の約5.5kmの建設も担当している。

第二名神高速道路
鈴鹿山脈の南東部に位置し大規模な橋梁・トンネルの構造物が連続する典型的な山岳道路であり、全体の7割が構造物である。このうち、三重県・滋賀県にわたって鈴鹿国定公園が広がり、当公園内を橋梁とトンネルで約5km通過する。
橋梁は池山高架橋・錐ヶ瀧橋に代表される1,000mを越える連続高架橋、さらには70mを越える高橋脚になる区間がある。
トンネルは、本線の鈴鹿トンネル(約3.9km)と連絡路の安坂山トンネル(約1.5km)の2本がある。
東名阪自動車道亀山直結線
亀山直結線事業は名阪国道(R25号)を介して連結している東名阪自動車道と伊勢自動車道をダイレクトに結ぶ高速自動車国道で、これまで渋滞の一因となっていた鈴鹿・関の本線料金所でのストップを、本線料金所をなくすことで、車の流れをスムーズにし、併せて、亀山IC付近の名阪国道をはじめ、周辺道路の適切な交通の流れに寄与するものである。
また、関連事業として東名阪自動車道の亀山PAの改築工事を行なっている。これは、三重県の公園事業と一体となり三重県初のハイウェイオアシスとしての、ゆとりあるドライプ環境を図るものである。
▲建設中の第二名神高速道路
(写真は池山高架橋)
新工法、新技術等の導入
第二名神高速道路
1.TBM(トンネルボーリングマシーン)の採用

 鈴鹿トンネルは、三重県と滋賀県境の急峻な鈴鹿山脈の南端に位置する、かつて「坂は照る照る鈴鹿は曇る」と鈴鹿馬子唄にも唄われた鈴鹿峠の近傍を貫く、3車線の大断面・長大トンネルである。
 本トンネル工事は、安全かつ効率的な施工を目指し、最新技術を駆使したTBMを用い「TBM導坑先進拡幅掘削工法」を採用している。これは、TBMであらかじめ小さなトンネル(導坑20平方メートル)を掘り、その後、完成に向けて大断面(200平方メートル)に切り拡げる施工法である。
 なお、上り線工事において今年6月、TBM掘削、月進886mの日本新記録を達成した。
2.鋼管・コンクリート複合構造橋脚(ハイブリット橋脚)
 高い橋脚が連なる「錐ヶ瀧橋」「池山高架橋」は、その橋脚の強度を確保するため、鋼管とコンクリートを一体化した鋼管・コンクリート複合(SRC)構造によるハイブリット工法を採用。橋脚の中には鋼管が埋め込まれ、耐震性をさらに高め、また、施工の機械化と自動化を合理的に組み合わせ省力化を図り、安全で精度の高い施工を確保している。
3.プレキャストセグメント工法
 西平尾高架橋の上部工は、多径間のPC箱桁橋を採用しており、工期短縮・品質向上・合理化等を図る目的でプレキャストセグメント工法を採用。これは、橋桁を輪切りにしたブロック桁(セグメント)をあらかじめ工場で製作し、現場運搬・架設する工法である。
4.自然環境保全対策
 管内は一部、鈴鹿国定公園内を通ることから自然環境保全を最重視し、「生き物にやさしい道づくり」「自然環境と調和した景観」「資源の有効利用」の三つを中心に、できるだけ自然環境に配慮した保全対策を実施し工事を進めている。具体的には、河川付け替え工事において、護岸部・河床部に現地から発生する自然石を使用するなど、多自然型で自然景観に融和する構造とする、また道路内の伐採木をチップ化・堆肥化して樹木植栽に有効利用するなどの取り組みを行っている。
▲鈴鹿トンネル掘削にはTBMを採用 ▲チップ材の醗酵(堆肥)化〜
資源を有効利用する道づくりに貢献

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