建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

寄稿

「ぐんま」発展と地域づくりの原動力

国土交通省 関東地方整備局 高崎工事事務所長 冨田 耕司

昭和36年5月 生
昭和62年4月建設省 入省
平成 5年4月近畿地方建設局姫路工事事務所調査第1課長
平成 8年7月近畿地方建設局 企画部企画課長
平成10年4月財団法人国土開発技術研究センター、調査第二部 上席主任研究員
平成12年4月 より、高崎工事事務所長 (現職)
はじめに
高崎工事事務所では県内の一般国道のうち、国道17、18、50号の3路線、総延長185.2kmを管理しています。また、群馬県と新潟県の県境にある大水上山の水源に発し、大小の河川を合わせながら流れる大河利根川、その支川である烏川、神流川、鏑川、碓氷川の一部34.4km、ダム区間を63.39kmの計97.79kmを担当しています。 道路を利用するすべての人にやさしい道づくり、安全で安心できる川づくりを進めています。 
国道17号
本州のほぼ中央を縦断する国道17号は、江戸と越後を結ぶ要路・三国街道であり、文字どおりぐんまの大動脈です。
21世紀も、ひと・モノ・文化のスムーズな交流を実現する、ゆとりある道づくりをめざして、渋滞解消のための拡幅事業・大規模バイパス整備や山岳地帯の防災対策といった改築事業に取り組んでいきます。 
上武道路
一般国道17号上武道路は、東京〜前橋間の大規模バイパスの一環として、現国道17号の渋滞解消と地域の活性化を図るために計画された、埼玉県熊谷市西別府から群馬県前橋市田口町に至る延長40.5kmの大規模バイパスです。
平成4年に深谷バイパスから国道50号までの延長27.4kmを供用し、平成12年3月には尾島・境立体の2.2kmと伊勢崎ic前後の5.2km区間の4車線化を供用しました。また、50号タッチから前橋市荻窪町までの延長4.9kmについて、用地取得並びに文化財調査が進んでおり、荒砥川橋下部工事や文化財調査完了区間の整備も進行しています。なお、平成13年度に前橋市荻窪町から前橋市田口町までの8.2kmが新規事業化となり、路線測量に着手します。 
高松立体
一般国道17号の高崎市内においては、朝夕のラッシュ時をピークに渋滞が激しい状態です。特に高松町交差点は、主要渋滞ポイントに位置付けられており、ピーク時の渋滞長1,900mは県内ワースト1です。
こうした中で、高松立体は、一般国道17号と主要地方道藤木高崎線とを立体化する計画であり、慢性的な渋滞の解消・河川整備・烏川緑地整備を一体的に進めています。 
前橋渋川バイパス
前橋渋川バイパスは、交通渋滞の解消、及び県中央部における道路ネットワークの強化を目的として計画されました。特に、利根川を渡河する交通容量が不足していることから早期整備が望まれており、平成13年度は、用地買収に着手するとともに、桃の木橋の架替工事を促進します。 
漣橋の架替
新治村布施地先において須川川を渡河する漣橋は老朽化が進んだため、平成12年度より橋梁架替工事(下部工)に着手しました。 
国道18号
江戸と京を結ぶ五街道・中山道として生まれ、現在も地域活性の鍵を握る大動脈であり、長野・軽井沢方面への観光ルートとして、大切な役割を担ってきました。
今後は、上信越自動車道や新幹線といった高速交通ネットワークヘのアクセスを向上させつつ、広域的な視野にたった道路整備を進めていきます。 
国道50号
国道50号は、北関東の内陸部から太平洋岸へ通じる東西方向の唯一の主要幹線道路であり、地域が変貌を遂げた今も、東毛地域の重要路線としての役割を担っています。地域活性化のためにも北関東自動車道、東北自動車道をはじめとする高速道路やjr線、上毛電鉄を中心とした骨格的な交通網の形成に、期待が高まっています。 
赤堀橋
粕川の赤堀橋は、昭和30年に架設され、前橋市域と桐生市域の主要都市間を結ぶ重要な橋梁です。これまでさまざまな補強・補修を行ってきましたが、交通量の増加や車両の大型化に伴い老朽化が進んだため、架替することとなりました。平成13年度は、橋梁下部工事に着手します。 
前橋笠懸道路
一般国道50号では、群馬県内で唯一の2車線区間である前橋市二之宮町〜笠懸町鹿区間において、交通渋滞の解消と生活環境の改善を図るために、新たな4車線道路の「前橋笠懸道路」を計画しています。
平成13年度に新規着工準備となり今後は都市計画決定に向けて調査を実施します。
この道路の計画にあたっては、平成11年度からPI(パブリックインボルブメント)方式による計画段階からの住民参加を群馬県で初めて導入しています。
PI方式とは、施策の立案や事業の計画・実施等の過程で、関係する住民や国民一般に情報を公開した上で、広く意見を聴取し、それに反映することです。
ぐんまの川
近年、身近な安らぎの水辺空間としての川、また、子供たちの“学び”のステージとしての川の存在が、クローズアップされています。21世紀の川づくりは、災害から暮らしを守る治水事業に力を注ぐことはもちろん、ふるさとの豊かな自然と調和した川らしい川を目指して、うるおいとやすらぎの水辺空間を創出していきます。
流域の概要
大河利根川は、群馬県最北端の大水上山に端を発し、県央を貫いて東南に抜けていきます。高崎工事事務所では、その支川である烏川、神流川、鏑川、碓氷川の一部34.4km、その他にダム区間を63.39kmの計97.79kmを担当しています。 
改修計画の経緯
烏・神流川の改修は昭和8年より進められ、昭和24年に改修計画を改訂、昭和38年には直轄河川となりました。
その後、昭和40年の一級水系指定により利根川水系工事実施基本計画が策定され、新改修計画に基づき、無堤部区間での築堤、水衝部対策の護岸、床固め(根固フロック)等が施工されています。
昭和55年には、利根川水系工事実施基本計画の流量改定が行われ、岩鼻地点の計画流量を6,900立方メートル/sに改めるとともに、利根川への流大量を8,100立方メートル/s から8,800立方メートル/sへと変更しました。
工事の概要
烏・神流川では、洪水時においても流水を安全に流下させるため、中・長期的な視点から河川整備を実施しています。無堤防部箇所への堤防設置、法面の崩落や漏水の恐れのある既設堤防への補強対策工事と合わせて、流水による河岸の洗掘防止のための対策工事等を実施していきます。
また、環境整備として、高崎市高松町地先において一般国道17号の高松立体化に合わせた河川環境整備に着手しています。

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