建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

寄稿

船澗地区の小型船だまり建設で枝幸港の遊漁船・漁船の混雑解消

国土交通省北海道開発局 稚内開発建設部枝幸港湾建設事業所長 澤合 英治

地域の現況
当事業所は、宗谷管内の地方港湾である枝幸港の直轄港湾整備を担当しています。
枝幸港を有する枝幸町は、北海道最北部宗谷支庁管内の最南部に位置しており、オホーツク海に面した人口8,428人(平成7年国勢調査)を有し、町の基幹産業は、漁業・水産加工業次いで広大な土地を有する酪農業です。また、枝幸町の気候は、北海道を囲む海洋に面した地域では最も厳しい条件下にあり、過去十年間の年平均気温は6.3度で北海道道内でも比較的低い地域であり、夏季には30度を越える日もまれにあります。冬季の海象条件も平年1月中旬から3月下旬が流氷の影響を受ける地域です。
港湾の現況
枝幸港における港湾取扱貨物量は、外貿貨物の取り扱いはなく、平成10年の実績は、移出57,000トン、移入38,000トンで合計95,000トンとなっています。品目別に見ると移出は砂・砂利・石材等が4割を占め、次いで重油、石油製品となっています。移入については、水産品が全体の9割を占めています。入港船舶隻数は、平成10年度17,425隻、総トン数の合計は314,336トンとなっており、平成6年から内港商船が入港しているものの横ばい傾向です。
港湾の整備
枝幸港は、漁業資源豊富なオホーツク海沿岸の中心的な港湾を目標に昭和29年、漁港を港湾に変更し、以来種々の計画が実施されています。
枝幸町では漁業や貨物の移出入をはじめ、道北地域経済圏の生産性の合理化及び改善のため、港湾機能の整備拡充、交通緩和さらに生活環境整備等を基本とした町づくり計画に基づく整備を進めています。
現在港は、取り扱い貨物の種類や施設の構造及び利用の形態から商港区と漁港区に区分した利用が図られています。特に漁港区は、町の基幹産業である漁業活動において、漁獲量の7割を扱う拠点基地として利用されています。また、枝幸港周辺海域は、魚釣りが盛んな地域であり、来訪者、遊漁船も増加しています。しかし、遊漁舶対応の施設が不足しており、漁業者とのトラブル防止や安全な漁業活動のための施設整備が求められています。これらの課題の解消を目的に平成11年度から新たに小型船だまりを建設し、漁港区における船外機船及び遊漁船の利用による混雑解消及び安全性の向上を図る整備を促進しています。
平成十三年度工事概要
本年度の事業は、前年度に引き続き、小型船だまりの整備を促進すべく枝幸港南外防波護岸改良工事と枝幸港船澗地区船揚場建設外一連工事の2件を実施しています。
整備の対象施設は、既設南外防波護岸の改良、船揚場、港湾施設用地、道路(南)で平成14年度整備完了を目指しています。
また、その背後では町による緑地公園整備が計画されており、うるおいと安らぎに配慮した施設整備が行われています。

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