〈建設グラフ1999年9月号〉

寄稿

首都圏中央連絡自動車道(茨城県内)について

建設省関東地方建設局 常総国道工事事務所長 鈴木 昌信 氏

鈴木昌信 すずき・まさのぶ
昭和19年11月14日生まれ、茨城県出身
昭和38年4月 建設省採用
平成 2年7月 甲府工事事務所 調査第二課長
平成 5年3月 横浜国道工事事務所 工務課長
平成 7年7月 千葉国道工事事務所 副所長
平成 9年7月 関東地方建設局 企画部 事業調整官
平成11年7月 常総国道工事事務所 所長
1.はじめに
建設省常総国道工事事務所は、茨城県内における、一般国道468号首都圏中央連絡自動車道などの整備を本格的に進めるため、平成6年7月1日に関東地方建設局の第48番目の事務所として土浦市川口に設置され、今年で満5年を迎えた新しい事務所です。
当事務所の名称となっている「常総」という地域名は、「常」陸国の南部と下「総」国の北部、西部、を指しており、筑波山の南西地域を総称して使われている名称から付けられたもので、まさに、茨城県の南西地域を結び繋げる、圏央道を担当する事務所にふさわしい名称となっています。
次に、常総国道工事事務所が担当する首都圏中央連絡自動車道(茨城県内)について紹介させていただくことといたします。

2.首都圏中央連絡自動車道の全体概要
一般国道468号、首都圏中央連絡自動車道(以下「圏央道」という)は、都心からおよそ半径40〜60kmの位置に計画されている総延長約300kmの高規格幹線道路(自動車専用道路)です。
横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田および木更津などの中核都市を相互に結ぶことにより、首都圏に地域の核となる都市群を形成します。
さらに、これらの地域における交通の円滑化と、交流・連携が強化されることにより、地域の自立性を高める拠点となる都市の育成が促進され、地域発展の基盤としての役割を果たします。また、東名、中央、関越、東北、常磐、東関道などの放射幹線道路と接続することで交通の分散化が図られ、首都圏の交通混雑が緩和されるほか、環境改善、経済効率の向上など、多くの整備効果が期待されます。

計画概要

土工部

高架・橋梁部

[区間]  茨城県猿島郡五霞町〜茨城県稲敷郡河内町
[延長]  約71km
[構造規格] 常磐道JCT以西 常磐道JCT以東
規格 第1種第2級
設計速度 100m/h
標準幅員 25m 23.5m
車線数 4車線
[経過する市町名] 五霞町、境町、猿島町、岩井市、水海道市、つくば市、茎崎町、牛久市、阿見町、江戸崎町、東町、河内町

[連結位置及び連絡予定施設]
IC、JCT名称 連結位置 連絡予定施設
五霞IC(仮称) 五霞町 一般国道4号バイパス
境IC(仮称) 境町 一般国道354号バイパス
猿島岩井IC(仮称) 岩井市 主要地方道結城岩井線バイパス
水海道IC(仮称) 水海道市 一般国道294号
つくばIC(仮称) つくば市 主要地方道取手つくば線
つくばJCT(仮称) つくば市 常磐自動車道
牛久IC(仮称) つくば市 一般国道6号牛久土浦バイパス
阿見IC(仮称) 阿見町 主要地方道土浦竜ヶ崎線バイパス
阿見東IC(仮称) 阿見町 主要地方道竜ヶ崎阿見線バイパス
江戸崎IC(仮称) 江戸崎町 主要地方道江戸崎新利根線バイパス
東IC(仮称) 東町 県道江戸崎下総線
IC(インターチェンジ):自動車専用道路と一般道路を連結する施設
JCT(ジャンクション):自動車専用道路を相互に連結する施設
3.首都圏中央連絡自動車道(茨城県内)について
圏央道の全体計画延長300kmのうち、茨城県内は、その内の約4分の1にあたる71kmであり、常総国道工事事務所が事業を担当している区間となっております。
茨城県内における圏央道の計画は、常磐自動車道より東側について平成元年8月に基本計画が決定され、平成6年4月に都市計画決定しました。また、常磐自動車道より西側については、平成2年11月に基本計画が決定され、平成7年3月に都市計画決定しました。圏央道の通過する県南、県西地域は、国際研究学園都市“つくば”を中心に、首都機能の一翼を担う地域として現在多くのプロジェクトが進められており、圏央道の建設がこれらの地域の発展に大きく貢献することが期待されています。
また、自然豊かな地域を通過することから、周辺環境等に充分配慮しながら道づくりを行っていきます。
4.圈央道事業の実施状況
当事務所が所掌する茨城県区間は、埼玉県境の猿島郡五霞町から千葉県境の稲敷郡河内町の延長約71kmです。
このうち、常磐自動車道から千葉県境間の約29kmについては、平成3年度及び平成4年度に事業化され、埼玉県境から常磐自動車道間の約42kmについては、平成6年度にそれぞれ事業化しています。
このような状況を踏まえながら、当面の事業は、首都圏の骨格となる自動車専用道路の整備状況や地域性などを考慮し、常磐自動車道から東側については、「つくば研究学園都市」と「成田国際空港」とを結び国際交流活動の連携を図ることを目的として、つくば市から江戸崎町間の延長約24kmを先行して事業を進めているところです。
このうち、常磐自動車道ジャンクション(以下「常磐道JCT」という)から(仮)牛久IC(F・IC)間の延長1.6kmについては、新道路整備五ヵ年計画(平成10年度〜平成14年度)内での供用を目指して事業を実施しております。平成11年度は、この内の一部区間において工事に着手することとしております。
5.今後の進め方
常磐道JCTから千葉県境側の東側区間については、引き続き用地の促進及び工事を計画的に進め、東関東自動車道への早期の接続を図るべく事業を進めるとともに、常磐道JCTから埼玉県境側の西側区間についても東側区間と同様調査設計の促進を図り、用地取得に向けての準備を進め、早期に工事着手が出来るよう事業の進捗を図っていく予定です。
なお、圏央道茨城県内の全区間71qについて、事業化はされているものの全面的な事業展開は、財政上からも困難であることから、既設の道路網計画との整合を図りつつ、地域の状況や関連事業との調整を図りながら効果的・効率的に事業を進めていく必要があるものと考えています。
6.おわりに
21世紀への橋渡し役となる新道路整備5ヵ年計画が策定されて今年度で2ヵ年目を向かえています。新計画では「人中心の安全で活力に満ちた社会・経済・生活の実現に向けて」を基本コンセプトとして、各種の道路施策の方向性が示されています。
圏央道は、首都圏の道路交通の円滑化を図り、首都圏全体のバランスある発展を促進することにより、社会生活、経済活動が人を中心として効率的効果的に展開されることが期待されます。
しかし一方では、地球環境への負荷の軽減や自然環境との調和も求められており、圏央道(茨城県内)においても、貴重な鳥類なども周辺に見受けられます。
今後事業を進めるに当たっては、これらの状況を充分に把握し人と自然が共存する道づくりを地域の皆さんと一緒になって、積極的に進めてまいりたいと考えております。

HOME