〈建設グラフ1999年8月号〉

寄稿

常陸那珂港−本年12月 外貿コンテナターミナル供用開始

茨城県土木部港湾課長 難波 喬司 氏

難波 喬司 なんば・たかし
昭和31年7月岡山県生まれ
昭和56年運輸省入省
運輸政策局、港湾局等を経て
平成10年4月より現職
1998年12月内貿ターミナル一部供用開始
(中核国際港湾としてスタート)

常陸那珂港は、北関東自動車道と相まって、混雑の激しい京浜港への一極集中を是正し、首都圏に新しい物流ルートを開くことを目的に平成元年に着工。昨年12月に、内貿埠頭を供用開始しました。
常陸那珂港は、我が国の中核国際港湾に位置付けられており、将来は5つの水深14〜15mのコンテナ専用岸壁など42の公共岸壁で年間2,600万トン(内外貿コンテナ1,300万トン)の貨物を取り扱う計画です。
今年5月、大阪(泉大津)と北海道(苫小牧)とを結ぶ貨物船が、常陸那珂港初の国内定期航路として週6回寄港を開始しました。大阪からは九州、沖縄までの接続航路があり、太平洋沿岸に常陸那珂港を中心とした新たな海上輸送ネットワークが形成されました。

▲内貿ふ頭供用開始(平成10年12月21日)
1999年12月
水深15mコンテナターミナル
供用開始予定

今年12月にオープンする予定の北埠頭コンテナターミナルは、世界最大級のコンテナ船も接岸できる水深15メートル岸壁を含む延長700メートルの連続岸壁や、最新鋭のスーパーガントリークレーン、トランスファークレーンなど高規格・高能率のターミナル施設の整備が順調に進んでいます。北米、東南アジア、中国などの国際定期コンテナ航路の開設が期待されています。

港のポテンシャルの高さに集まる注目

現在、北関東地域の輸出入貨物のほとんどは、東京湾(東京港、横浜港等)を利用しており、東京湾の取扱貨物の約20%が北関東地域発着の貨物です。
これらの貨物については、常陸那珂港を利用することにより陸上輸送距離が短縮し、物流コストを削減できるため、荷主にとって大きなメリットがあります。また、常陸那珂港は、港湾内に高速道路のインターチェンジを備えており、北関東自動車道により常磐道、東北道、関越道とも連結するため(2000年3月予定)、北関東地域はもとより、北日本各地へのアクセスの点で非常に有利な港です。
さらに、外洋に面しているので船の入出港に時間がかからず、特に北米に対してはファースト・ラストポート(日本発北米向最終港・北米発日本向最初港)となるため、輸送時間を短縮でき、荷主の大きなメリットとなります。このように常陸那珂港は、北関東にとどまらず、北日本を代表する港湾となる可能性を持っています。

新しい港にふさわしいソフト面の様々な取り組み

港の使いやすさは、地理的優位性、アクセス道路や港湾施設の水準などのハード面、そして、利用コストやサービス水準などのソフト面の両方で決まります。
常陸那珂港は、ハード面はもとよりソフト面も、関係者に高い評価を受けているところです。
すべては紙幅の都合でご紹介できませんが、我が国で最も低コストで質の高いサービスを提供できるよう利用者のニーズに応じた我が国で初めての港湾の管理・運営体制、港湾手続きのEDI化、PFI制度の活用など、新しいシステムを導入しています。

物流事業者の進出も順調

このように魅力に富んだ常陸那珂港は、物流事業者の方々から大いに注目されています。
昨年、港湾関連用地の第一期募集を行ったところ、2001年4月の引き渡しにもかかわらず、貸付地9区画、分譲地10区画の計19区画約19haについて16社から予約をいただきました。
最近の日本経済の低迷にもかかわらず、日本有数の物流事業者が進出を決定したことは、常陸那珂港に対する強い関心と期待の高さを示すものと言えます。

環境負荷の低減に貢献

地球温暖化の主たる原因となっている二酸化炭素は、その20パーセントが輸送部門から放出されています。
常陸那珂港は、その優れた海陸交通アクセスによって、北関東や東北南部などに立地する企業に対し、陸上輸送距離や輸送時間の短縮をもたらすとともに、陸上輸送から海上輸送への転換(モーダルシフト)を促します。これによって二酸化炭素排出量は大きく削減され、環境負荷の低減により、地球温暖化の防止に貢献します。

利用者の生産・物流の合理化に
積極的に貢献するための港づくり

常陸那珂港の港づくりの特徴は、単に「使いやすい港を造ったので使って下さい」にとどまりません。港湾管理者や第三セクターの常陸那珂埠頭(株)が、常陸那珂港の利用者の生産・流通の合理化に積極的に貢献できるよう、事業や物流の共同化・情報化などについて様々なコーディネート・サポートを行います。
これにより常陸那珂港を使うことによってメリットを感じていただける利用者が益々拡大し、それによって物流・流通機能の集積を高め、より魅力のある港にしていきたいと考えています。
どうぞ、常陸那珂港にご期待下さい。また実際にご利用下さい。

▲北埠頭国際海上コンテナターミナル完成予想図

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