建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年7月号〉

寄稿 特集 日本道路公団(JH)四国支社

四国横断自動車道の早期ネットワーク完成を目指して

徳島工事事務所の事業概要

日本道路公団 四国支社 徳島工事事務所長 浅野 利一 氏

浅野 利一 あさの としかず
昭和52年 4月 日本道路公団入社
平成 4年 2月 東京第一建設局厚木工事事務所工事長
平成 5年11月 保全交通部交通対策課長代理
平成 7年 8月 名古屋管理局保全企画課長
平成10年11月 四国支社徳島工事事務所長
はじめに
四国横断自動車道は、徳島県阿南市を起点に徳島市、香川県高松市を経て愛媛県川之江市において四国縦貫自動車道と交差・接続、四国山脈を横断し高知県高知市を経て愛媛県大洲市に至る441kmの路線である。
徳島工事事務所ではこのうち、第12次区間の鳴門〜津田間(36.2km)のうち鳴門〜県境間(16.3km)と、第13次区間の小松島〜鳴門間(23.3km)の建設及び阿南〜小松島間(10km)の調査を担当している。
なお、第12次区間36.2kmのうち板野IC〜津田東IC間(25.7km)については、平成13年3月29日に開通した。(徳島工事分は、板野IC〜県境間5.8km)
第12次区間 鳴門IC〜板野IC間
路線は神戸淡路鳴門自動車道と国道11号線に連絡する鳴門ICを起点として、阿讃山麓南斜面を西進し現在供用中である板野ICに連絡する。
路線の特色としては阿讃山麓の山裾を通過しており、尾根づたいには多くの埋蔵文化財(36箇所−182千平方メートル)が存在し、なかでも県内最大級の全長約54mの前方後円墳の出土により、現地保存するために当初計画である切土構造からトンネル構造(l=77m)に変更した。このトンネルは、鳴門ICと鳴門JCT(13次区間)間に位置しているため、補助車線を含む片側3車線の大断面(内空140*2=280平方メートル)の双設(メガネ)トンネルとなっており、現在、3本の導坑が貫通し今後上半掘削にかかる予定である。
また、当地区は四国霊場八十八箇所巡りの出発点である「霊山寺(一番札所)」を始め、阿波一の宮「大麻比古神社」、また第一次世界大戦において俘虜となったドイツ兵の収容所跡地を中心に国際的友好を目的とした「ドイツ村公園」など、県内有数の歴史・観光の施設に近接しているため、高速道路と周辺景観に対して十分な配慮をした設計を実施している。公園に隣接する鳴門PAでは、現風景を保全するため切土のり面形状の配慮、公園への連絡道及び県道交差部にはアーチカルバ−トの採用、さらには霊山寺と神社の参道を結ぶ連絡道には大鳥居をモチーフとした日本的な空間を表現、橋梁は2径間連続RC充腹アーチを採用している。
道路規格は第1種2級b、工事は暫定2車線施工(用地4車線)で、延長10.5kmのうちトンネルが0.5km(2本)、橋梁が1.0km(10橋)と比較的構造物比率(14%)が低い区間である。
事業の進捗状況は、現在、用地買収率99%、土工及び橋梁上部工工事の発注をすべて完了し、進捗率は25%(h13.4末現在)となっており、平成14年度のなるべく早い時期の完成を目指している。
▲四国霊場88ヶ所一番札所霊山寺 大代トンネル
史跡価値の高い大代古墳を現地保存するために、当初計画である切土構造からトンネル構造に変更した。
第13次区間 小松島IC〜鳴門JCT間
路線は、小松島市、徳島市、板野郡北島町、板野郡松茂町及び鳴門市の3市2町を通過する。
小松島市では、一般国道55号と接続、JR牟岐線、一般国道55号を橋梁で横過、二級河川勝浦川沿いに北進し徳島市に入る。徳島市では、大神子地区をトンネルで通過した後、小松島港湾区域の二級河川勝浦川、津田木材団地、一級河川新町川、沖州地区を橋梁で通過し、県道徳島東IC線と接続する。その後、一級河川吉野川の河ロ部を橋梁で横過、四国縦貫道とジャンクションで接続、一般国道11号に並行して一級河川今切川を橋梁で通過して板野郡北島町、板野郡松茂町に入り、一級河川旧吉野川を橋梁で通過、鳴門市に至り、JR鳴門線を橋梁で横過して四国横断自動車道鳴門市から津田町間とジャンクションで接続する。
当路線の特徴としては、中央構造線と交差、一級河川吉野川下流の徳島平野三角州低地の軟弱地盤地帯を主に盛土で通過、吉野川河ロ部はラムサール条約会議で提唱された「シギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」に指定された干潟領域を橋梁で横過する為に、工事中を含め、周辺との環境保全が必要である。
さらに、県が実施する港湾埋立事業、港湾区域の渡過、併設する臨港道路との長大橋の施工調整等図る必要がある。
道路規格は第1種2級B、工事は暫定2車線施工(用地4車線)で、延長23.3kmのうちトンネルが0.9km(2本)、橋梁が8.4km(23橋)で、構造物比率は40%となっている。事業の進捗状況は、平成11年3月に事業説明を行い、現在、四国縦貫自動車道徳島ICから鳴門JCT(仮称)間約11kmを先行して測量・土質調査を終了し、協議用図面を作成しており、今後、設計協議に入る予定。
残る区間については県が実施する港湾埋立て事業等との調整を図りながら、順次進めていく予定である。
阿南IC〜小松島IC間
当区間は、平成8年12月25日に都市計画が決定し、平成10年12月15日に整備計画が策定された。
現在、調査報告に向けて関係機関と事業調整を実施中である。
おわりに
四国横断自動車道鳴門〜板野間及び高松西〜高松中央間(高松工事事務所担当区間)が開通することにより、本四連絡橋の神戸淡路鳴門道と瀬戸中央道が結ばれることになり、京阪神、中国、四国を結ぶ一大道路網が完成する。さらに、鳴門から南へ延伸することで横断道、縦貫道、本四連絡橋の3本が直結することになり、道路ネットワークの充実を図るうえで非常に重要な区間であり、今後も早期ネットワークの完成を目指し、一丸となって頑張っていきたい。

HOME