〈建設グラフ1999年7月号〉

寄稿

「千葉市版PFI」について

千葉市企画調整局政策調整課長 篠原重雄 氏

篠原 重雄 しのはら・しげお
昭和43年 3月 明治大学卒業
昭和43年 4月 千葉市役所入所
都市局、建設局を経て、平成9年より現職
1.千葉市版PFIの取り組みの背景
本市は、人口87万人を越え、政令指定都市として、また、首都圏機能の一翼を担う業務核都市として着実に発展を続けている。
しかし、昭和40年代から50年代にかけ急激な人口増加の経験から、生活関連施設をはじめ、社会資本の整備という面では他の政令指定都市に比べやや立ち遅れているのが実状である。
本市では、都市基盤整備を市政の重要課題として位置づけ、その推進に努力を続けてきたが、バブル崩壊以来、低迷する経済社会情勢の中で、地方自治体も例外なく財政状況が悪化し、整備計画の達成に支障をきたす状況となっている。こうした中で、民間の資金や経営ノウハウを導入することにより民間主導で整備を進めるPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)という新たな手法に注目した。
このため、国の動向を踏まえ、PFIについての調査研究を進めることとした。
図1
図2
2.取り組み
本市では、平成10年6月、PFIに関する調査研究をすべく、各局主管課長をメンバーとする「新社会資本整備研究会」を立ち上げた。
研究会では、同時に設置したワーキンググループにより英国におけるPFI本来の考え方(図-1)や海外事例、日本版PFIなどと併せて、本市で行われた民活事例について調査研究を行ってきた。(図-2)
結果、千葉市版PFIモデル事業として、「消費生活センター・計量検査所」事業に取り組むこととした。
【消費生活センター・計量検査所】
@位置:千葉市中央区弁天町332番地A敷地面積:3,293.38m2
B用途地域:第1種住居地域  C高度地区:第1種高度地区
E建蔽率:70%(60%+角地10%)E容積率:200%
F施設内容:公共施設及び民間施設
3.まとめ
社会経済情勢の変化の中で、社会資本に期待される役割は高まっていることから複雑高度化する市民ニーズに対応するため、多様な手法によって支えていくものに変わる必要がある。
千葉市版PFIは、本市が進める行政改革の一環として、民間活力の導入実績を活用するなど、各種検討を加え、新たな取り組みを進めるにあたり、現行法令下では、官民のリスク分担、土地の扱いなど、多くの課題はあるものの、民間と連携しながら必要な社会資本整備を進めることにおいて検討を深め、市民サービス向上を視点においた整備手法として確立したい。

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