建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年7月号〉

寄稿 特集 日本道路公団(JH)四国支社

南予に伸びる高速道路 四国横断自動車道 内海大洲線

大洲工事事務所の概要

日本道路公団 四国支社 大洲工事事務所長 中村 雅彦 氏

中村雅彦 なかむら まさひこ
島根県出身
昭和31年7月18日生
昭和56年 京都大学大学院修了
昭和56年4月 日本道路公団入社
平成 7年7月〜平成9年7月 本社調査情報室副主幹
平成 9年8月〜平成13年1月 四国支社工務課長
平成13年2月〜 四国支社大洲工事事務所長
事務所概要
大洲工事事務所は平成4年7月1日に四国の工事事務所としては最も新しい事務所として開設されました。
担当区間は四国縦貫自動車道の終点部16.3km(愛媛県喜多郡内子町〜大洲市)と四国横断自動車道内海大洲線のうち31.7km(宇和島市高串〜大洲市北只)となっており、四国縦貫道については昨年7月28日に最後の未開通区間の伊予〜大洲間が開通し、全線開通となりました。
現在は一般国道56号大洲道路と四国縦貫道を連結させる高架橋工事を実施しています。
四国横断道については、宇和〜大洲間で工事を実施しており、工事の進捗率は19%(H13.4末)で次期道路整備5ヶ年計画内の早い時期での開通を目指しています。
四国横断自動車道内海大洲線
四国横断自動車道内海大洲線は、愛媛県南宇和郡内海村を起点として大洲市において四国縦貫自動車道と連結する延長約66kmの高速自動車国道で、愛媛県南予地方を縦断する幹線道路として、地方拠点都市地域かつ地方生活圏の中心都市である宇和島市と県都松山市との連携を図り、経済・産業・文化の発展に重要な役割を果たすものと期待されています。
JHが担当している31.7kmを除く約34kmの内、20.3kmについては国土交通省により一般国道56号のバイパスとして自動車専用道路(大洲道路6.3km、宇和島道路14.0km)が建設されており、既に一部区間で供用開始されています。これらの道路は高速自動車国道に並行する自動車専用道路として活用され、高速道路ネットワークの一部を構成することになります。残る約14kmの内海村〜津島町の間については、基本計画区間として国土交通省により調査が行われています。
▲大洲IC
路線概要と現況
路線概要
大洲〜宇和島間は一般国道56号沿いに南下し、宇和海に望む路線で、通過市町村は北から大洲市・宇和町・吉田町・三間町・宇和島市の2市3町です。
大洲市と宇和町の境には延長3.2kmの鳥坂トンネル、宇和町と吉田町の境には法華津カルストと呼ばれる石灰岩帯を通過する延長2.0kmの歯長山トンネルなど大小8本のトンネルがあります。
橋梁高架で特徴的なのは、大洲〜宇和間にある長谷川橋(PRC5径間連続ラーメン箱桁)です。この橋の橋脚は四国内では高知道の曽我部川橋に次ぎ2番目となる64.5mの高さがあります。
全体的に丘陵地及び山地部を通過することからトンネル・橋梁が占める構造物比率が高い路線です。
沿線概要
大洲市は古くから城下町として栄え、愛媛県西南部の政治・経済・文化の中心であり、企業的高生産農業への転換、加工企業の誘致と地場産業の近代化を促進し、田園都市としての基盤を高めつつあります。(観光:うかい、特産品:竹製品)
宇和町は歴史文化博物館、米博物館など宇和文化の里として地域の活性化に取り組んでいます。(観光:開明学校、名物:なまずがゆ)
吉田町は古くから伊達十五万石の陣屋町として栄え、柑橘類の産地として発展しました。(観光:吉田藩陣跡、特産品:温州みかん・ポンカン)
三間町は田園風景と豊かな自然に恵まれ「美沼の里」「秋桜の町」としての町づくりに取り組んでいます。(札所:龍光寺・仏木寺、特産品:三間米・たけのこ)
宇和島市は城下町として伊達藩の歴史とともに歩んできた歴史と文化の町で、海面養殖漁業が盛んで真珠の養殖は全国的にも有数の生産地です。(観光:宇和島城・和霊神社・闘牛、特産品:真珠・海産物)
▲大洲城跡(大洲市)
地質概要
本地域の地質は、仏像構造線が法華津山脈に沿って東西に縦走しており、この北側には秩父古生帯、南側には四万十帯と呼ばれる地質区が分布しています。秩父古生帯は主に古生代の砂岩、頁岩互層及びチャート(堆積岩類)が広く分布し、四万十帯は主に白亜紀の砂岩、泥岩互層及び砂岩が広く分布し、低地部においては全体的に沖積世の砂・泥・榛(未固結堆積物)が分布しています。
気象特性
愛媛県西部から宇和海沿岸地域は太平洋気候区に属し大洲から宇和にかけては、その中でも南予盆地気候区に分類され、気温の日較差が大きく11月頃から3月にかけて霧が多く発生します。
また、冬期は北西の季節風が関門海峡から流れ込むため、県内では積雪の多い地域です。
整備効果
四国西南部に位置する愛媛県宇和島圏域は輸送手段の大部分を道路に依存しているにもかかわらず地理的・地形的な要因により道路の整備が遅れている状況です。
特に鉄道のない宇和島から南の地域においては一般国道56号が交通の生命線となっています。
そのため産業・経済等の面で立ち遅れを余儀なくされており、四国横断自動車道を軸とする高規格幹線道路網の整備は南予地方の活性化に大きく寄与し、四国西南地域の発展に貢献するものと強く期待されています。

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