建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年7月号〉

寄稿 特集 日本道路公団(JH)四国支社

池田工事事務所の事業

四国横断自動車道(高知自動車道)の四車線化事業

日本道路公団 四国支社 池田工事事務所長 岡田 典久

岡田 典久 おかだ のりひさ
昭和 41年 4月 日本道路公団入社
平成 5年 7月 広島建設局技術第一課長
平成 9年 7月 四国支社脇町工事事務所長
平成 11年 7月 四国支社池田工事事務所長
四国横断自動車道(高知自動車道)の概要
四国横断自動車道は、徳島県阿南市を起点に徳島市より瀬戸内海沿いを通り、高松市を経て川之江市において四国縦貫自動車道と交差し、高知市を経て大洲市に至る全長約463kmの高速道路です。
瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋)とは坂出ICで、神戸淡路鳴門自動車道とは鳴門ICで連結しており、四国山脈によって分断されている四国四県の結びつきを強めるとともに文化、産業、観光等地域発展の礎となる高遠道路です。
このうち川之江東JCT〜伊野ICまでの区間を高知自動車道と呼んでいます。
池田工事事務所では現在、既に高知自動車道として供用している川之江JCTから大豊IC間、約29.1km(平成4年1月供用)の円滑な交通を図るための四車線化事業を担当しています。
なお、新設工事を進めてまいりました四国縦貫自動車道(徳島自動車道)井川池田IC〜川之江東JCT間(21.5km)につきましては、平成12年3月11日に開通し、これにより徳島自動車道が全線開通したことにより、エックスハイウェイが完成し四国の4県都が高速道路で結ばれ、活性化が期待されると供に本州四国連絡道路と一体となり四国と関西圏等との広域ネットワークが形成されました。
▲上空から見たエックスハイウェイのクロス地点
(平成11年5月29日撮影)
川之江〜大豊間の地形・地質
地形の概要
川之江東JCT〜大豊IC間は、川之江市にある四国縦貫自動車道川之江JCTで分岐し、同市柴生町の川之江東JCTを過ぎ、法皇山脈をトンネルで通過し、四国山地にある宇摩郡新宮村に入り、その山間部を南下し、高知、愛媛両県の県境にある笹ヶ峰(標高1,027m)をトンネルで抜け狭隘なv字谷を形成している立川川沿を更に南下して大豊町の大豊ICに至る29.1kmの山岳高速道路です。
本線の通過する地域は、愛媛県の東端から高知県の北部に位置しており、その大半は四国山地を通過しています。
川之江市は南側に法皇山脈が、又東側には阿讃山脈が連なっており、北側は瀬戸内海の燧灘に面した狭い地域となっております。
新宮村は、法皇山脈と四国山地の急峻な山々に囲まれた地域であり、非常に地すべりの多い地域です。
水系を見ると、四国山地より馬立川が北流して新宮村中心部で東流してきた銅山川と合流して伊予川となり徳島県で吉野川に流入しています。
大豊町は、四国山地の南側に位置した急峻な山岳に囲まれた地域であります。
水系は、四国山地より立川川が南流し、大豊町の中心部を東西流れる吉野川に流入する。路線はこのような地形に合わせるように南北方向に流れる立川川沿いの急峻な山腹斜面を通過しています。
地質の概要
本地域は、法皇山脈の北側山麓部にほぼ東西方向に中央構造線が走っており、地質は中央構造線以北の領家帯と以南の三波川帯とに大別することが出来る。
領家帯の和泉層郡は砂岩、頁岩の互層よりなり表層は崖錘堆積物に覆われている。また、法皇山脈北側山麓部の緩斜面は、三波川結晶片岩を起源とする新規崖錘堆積物に覆われた地すべり地帯であります。
三波川帯の三波川結晶片岩類は、黒色片岩が分布し馬立川沿いは泥質片岩が多く分布し、馬立川にせまる山地部では泥質片岩、砂質片岩、緑色片岩が帯状に分布しています。地すべり地域では主として多く泥質片岩が分布しています。
笹ヶ峰より吉野川付近までは主として泥質片岩が占めており、立川川沿いの山麓斜面では砂質片岩、珪質片岩が帯状に分布しています。
道路の概要(川之江JCT〜大豊IC間)
当該区間は平成4年1月30日に下り線を暫定二車線で供用しており今回上り線側を施工するものです。
当区間29.1kmのうち、当初はトンネル・橋梁の連続で四車線区間(付加車線)は1箇所(1.2km)しかありませんでした。そこで、徳島自動車道が接続される川之江JCT〜法皇tn間(延長約3.8km)を平成9年7月31日新宮IC〜馬立pa間(延長約2.6km)を平成10年6月22日、大豊IC付近(延長約1.4km既付加車線を含め2.6km)を平成11年7月2日に付加車線として部分的に供用しております。現在は平成11年1月8日に国の緊急経済対策に沿い実施計画変更が認可され全線の四車線化工事を進めております。
本区間は四国のほぼ中央に位置し、急峻な四国山地を通過することから、笹ヶ峰トンネル(4,307m)、法皇トンネル(3,113m)等、長大トンネルに代表されるトンネル(14本延長約14,444m),橋梁(34橋約7,498m)が計画され区間延長29.1kmのうち全体の約76%(約22km)が構造物に占められ日本屈指の山岳道路であります。また構造物比率が高いため、捨土量160万立方メートルが生じています。
●高知道4車線化

HOME