〈建設グラフ2000年6月号〉

寄稿

高田工事事務所の事業

新潟県・上越地方の発展に貢献する社会基盤整備

建設省 北陸地方建設局 高田工事事務所長 大林松雄 氏

大林 松雄 おおばやし・まつお
富山県出身
昭和39年 4月 建設省入省
平成 5年 4月 利賀ダム工事事務所 工務課長
平成 6年 6月 富山工事事務所 道路管理第二課長
平成 7年 4月 富山工事事務所 工務第二課長
平成 9年 4月 新潟国道工事事務所 副所長
平成10年 4月 北陸地方建設局 河川部 河川工事課長
平成11年 4月 高田工事事務所長
事務所の概要
高田工事事務所は、昭和33年6月に「高田国道工事事務所」として設置され、一般国道8号及び18号の改築及び維持修繕工事を担当していました。
昭和44年4月に関川及び姫川が一級河川に指定され、当事務所で所管することとなり高田工事事務所に名称を変更しました。
現在、高田工事事務所は、河川では関川及び姫川の改修事業、管理事業、道路では一般国道8号、18号の改築事業、管理事業、上越魚沼地域振興快速道路(上越三和道路)事業、一般国道148号の改築(権限代行)事業を担当しています。
以下に主な河川事業、道路事業を紹介します。
河川事業
(1)関川改修
昭和44年に一級水系に指定されて以来、度重なる水害に対応し「河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業・関川s57〜s62、保倉川s60〜h1)」などで大幅な河道拡幅を含む河道整備が集中的に進められてきました。これにより関川本川の河川整備は大きく進捗し、平成11年度までに県管理区間も含め平成7年7月水害対応の河道整備が概成しました。
今年度は、拡幅に伴い架け替えた今池橋の旧橋脚撤去などを実施する予定です。

(2)保倉川マリーナ整備
関川水系にはプレジャーボート等の不法係留が487隻(平成10年6月時点)あり、洪水時に流水を阻害したり護岸や橋脚を破損させることが懸念されています。このため、不法係留の防止と船舶の利便性を図る目的として平成14年の開港を目指し保倉川マリーナの整備を行っています。[図-マリーナ上越イメージ図]

(3)上越消流雪用水導入事業(関川)
豪雪時に大量の雪が捨てられる高田公園外堀の投雪対策として、関川から消流雪用水を導水する『上越消流雪用水導入事業』を平成10年度より工事を進めています。平成12年は揚水機場整備や電気設備を完成させ、事業を完了する予定です。

(4)水辺プラザ整備事業(関川)
地域交流の拠点として、親水、自然学習、交流・連携、情報発信等の多様な水辺利用を目的とした「水辺プラザ」を関川と矢代川の合流点近辺に整備しています。平成12年度は高水敷の整成や護岸工等を行う予定で、平成13年度完成を目指しています。

(5)姫川河川整備
姫川では明治45年7月の大出水による災害復旧を契機に改修工事を実施し、昭和44年の一級水系指定以降、直轄改修を行っています。平成7年出水で堤防の局所洗堀により破堤したことから、護岸前面の局所洗堀や高水敷浸食への対策として、水衝突部危険個所の根継ぎ護岸を引き続き行います。

(6)光ファイバー網整備(姫川)
姫川は日本有赦の急流河川であり河床洗堀や堆砂、流砂など砂の移動が激しい河川です。平成7年7月水害では大量の土砂が流出し甚大な被害が発生しました。このことから姫川は流域全体で総合的な土砂管理を目指す「総合土砂管理」のモデル河川に指定されているため、上石流の監視や各種観測機器のデータ管理のため、光ファイバーを設置します。
道路事業
(1)上越魚沼地域振興快速道路 「上越三和道路」
上越魚沼地域振興快速道路は、上越地域と魚沼地域の交流促進、高規格幹線道路とあわせて信頼性の高い循環型広域ネットワークを形成する総延長約60kmの地域高規格道路です。このうち当事務所では、平成10年12月に整備区間指定を受けた上越市〜中頚城郡三和村間の約7qを上越三和道路として権限代行で担当しています。
現在は着工に向けて測量、設計等を進めています。
(2)一般国道8号
一般国道8号は、新潟県新潟市を起点に富山県、石川県等を経由して京都府京都市に至る総延長約593kmの日本海沿岸地域を縦貫する主要幹線道路です、このうち当事務所では、中頚城郡柿崎町〜西頚城郡青海町間の約87kmを担当しています。

1)直江津バイパス
直江津バイパスは、交通の円滑化を目的とした中頚城郡大潟町犀潟〜上越市虫生岩戸に至る延長約12qのバイバスで、昭和49年に全線が暫定供用されていますが、その後の交通量の増加等に伴いこれまでに約5qの4車線化が図られ、現在は上越市黒井(延長約1.6q)と石橋〜五智間(延長約1.1q)で4車線化を進めています。

2)糸魚川東バイパス
糸魚川東バイパスは、交通渋滞の解消と沿道環境の改善を目的とした糸魚川市間脇〜同市押上に至る延長約7kmのバイパスで、平成元年度に事業化し平成4年度から用地取得に着手してその推進を図っているところです。
[写真−糸魚川東バイパス]
3)親不知防災
交通の難所として知られる親不知は、新潟県の最西端に位置した西頚城郡青海町青海〜同町市振間の延長約14kmの総称です。この地は日本の屋根である北アルプスの北端が断崖をなして日本海に没ずる海岸線にあり、しかもフォッサマグナ(糸魚川−静岡構造線)に近接した非常に複雑で脆弱な地質構造となっています。
現道はその大半を斜面の切り取りによって海岸線に沿うように走っているため、土砂崩壊や落石などによる度重なる災害に見舞われ、連続雨量による通行規制が実施されていることから、その規制緩和や解除に向けた災害に強い道路整備を進めています。

[写真−親不知洞門群]
(3)一般国道18号
一般国道18号は、群馬県高崎市を起点に長野県を経由して新潟県上越市に至る総延長約222kmの主要幹線道路で、当事務所ではこのうち中頚城郡妙高高原町〜上越市間の約38qを担当しています。
当事務所が担当する区間は、全国有数の豪雪地帯を通過しており、狭溢な道路幅員による冬期間の除雪障害等からこれまで妙高野尻バイパス(延長約4km:平成9年供用)や上新バイパス(延長約25km:平成3年全線暫定供用)等の整備が進められ、上越地域における道路交通の基幹的な役割を果たしてします。
現在は交通渋滞対策として上新バイバスの4車線化や交差点立体化を進めています。
[写真−妙高野尻バイパス] [写真−上新バイパス三田交差点立体化]
(4)一般国道148号
一般国道148号は、長野県大町市を起点に新潟県糸魚川市に至る総延長約82kmの幹線道路で、当事務所ではこのうち北安曇郡小谷村中土〜同郡同村北小谷間の約5kmを小谷道路として権限代行で担当しています。
現在は姫川に架かる新小谷橋の整備を進めています。
[写真−新小谷橋]

HOME