〈建設グラフ2001年5月号〉

寄稿

大津工事事務所の事業

第二名神高速道路の概要

日本道路公団 関西支社 大津工事事務所長 加藤 英樹 氏

加藤 英樹 かとう・ひでき
岐阜県出身、44歳
1981年 中央大学大学院修士課程(土木工学科)終了
同年 日本道路公団入社
1985年 東京第一建設局東京湾横断道路調査課
1993年 東京第一建設局厚木工事事務所工事長
1995年 本社保全企画課課長代理
1998年 大阪建設局(現関西支社)企画調査課長
2000年 7月1日から現職
はじめに
第二名神高速道路(近畿自動車道名古屋神戸線)は、愛知県名古屋市を起点に愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫の各府県を結び、兵庫県神戸市に至る全長約174kmの高速自動車国道です。21世紀の日本を支える「第二名神」は、現在の名神高速道路と一体となって、第四次全国総合開発計画で提唱されている「交流ネットワーク構想」を推進するための高規格幹線道路網の根幹として将来における一層の高速交通機能を確保するとともに、現名神高速道路との適切な交通分担と高い信頼性を確保し、わが国の産業・文化・社会経済活動の振興に寄与しようとするものです。
事務所の沿革
第二名神高速道路は、平成3年12月に亀山〜城陽間の整備計画決定を受け、同年12月にjhに対し建設省(現国土交通省)から調査指示が出されました。これを受け、第二名神高速道路のうち滋賀県甲賀郡土山町から滋賀県大津市までの本線約50.5kmと名神高速との連絡路約3.6kmの計54.1kmを担当する事務所として、平成4年2月大津調査事務所が設置されました。その後、平成6年2月に大津工事事務所と改称し現在に至っています。
第二名神の効果
現名神が積雪等による通行止めの場合や、その他異常気象、事故、災害、地震などで規制された場合の迂回路として、また緊急車の連絡路としても第二名神はその役割を担っています。これをラダー(はしご)計画といい、大津付近で現名神と連絡する渡り線(連絡路)約3.6kmを計画しています。この連絡路は、第二名神においてはほかにも亀山、高槻付近で計画されています。
第二名神、第二東名が完成した場合、東京〜西宮・神戸間の所要時間が大幅に短縮されます。東京〜西宮間の所要時間は、現状では7時間要します。規制速度で理想的に走ることができたとしても、5時間40分要します。第二名神・第二東名が完成すれば、規制速度を大幅にアップしながら安全・快適に走行することができ、3時間50分と所要時間が現状の半分近くにまで短縮できます。
工事の状況
現在、設計協議、用地買収、工事を進めているところであり、工事の着手率は44%です。
現名神と接続する連絡路の草津JCTでは、平成12年10月3日から13日まで行われた名神高速の夜間通行止めの際に、名神高速を横断する橋梁の大ブロック架設を実施しました。また三重県との県境付近にある土山橋(pc7径間連続箱桁橋)では、昨年1月の下り線に続き、上り線も閉合し日一日と道路としての形が見えつつあります。
新技術・新工法の採用
また、大津工事事務所管内では、新技術・新工法を積極的に採用しています。
@鋼とコンクリートの複合構造の採用
栗東橋では鋼とコンクリートの複合構造を採用しています。引張りに強いという鋼の良さと圧縮に強いというコンクリートの良さを組み合わせることにより鋼とコンクリートの合成の新型の橋を造ります。コンクリートの一部分に鋼材を用いることにより、橋の重さが大幅に軽量化され、施工の合理化、施工期間の短縮、コストの低減が可能となります。また橋の重さが軽くなることから橋脚や基礎の部分のコストも低減されます。
ATBM
栗東トンネルではTBM(トンネルボーリングマシーン)導坑先進拡幅掘削工法を採用しています。この工法は先進導坑を設け拡幅掘削を行うもので、先進導坑掘削には高速掘進が可能なTBMを使用することにより、従来の上半先進工法と比較するとトンネル掘削費のコスト縮減が図れると言われています。また先進導坑により地山の安定、地質の確認を行った上で適正支保が選定できるなど安全で効率的な掘削が可能となります。
BGPSを用いた盛土管理
第二名神の土工工事は大規模工事であり、土山地区ではGPSを用いた盛土管理を行っています。これは転圧機械にGPSならびに送受信機等を設置することによって、転圧機械の施工箇所をリアルタイムで確認でき、転圧軌跡から転圧回数を確実に知ることが面的に可能となります。また転圧機械に地盤反力を利用した自動で締固め度を計測する装置を搭載することにより、オペレータがキャビンに居ながらにして締固め度が計測できることにより、従来のri方法よりも面状連続的にかつ効本的・省力的な品質管理が可能となるものです。

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