〈建設グラフ1999年5月号〉

寄稿

大宮国道工事事務所の事業

「彩の国」の未来創造に貢献する道づくりを目指して

建設省関東地方建設局大宮国道工事事務所長 岩立忠夫 氏

岩立忠夫 いわたて・ただお
千葉県出身
昭和55年 4月 建設省入省
平成元年 4月 北陸地方建設局企画部企画課長
平成 2年11月 建設省道路局道路交通管理課長補佐
平成 6年 7月 宮城県土木部道路建設課長
平成 9年 4月 首都高速道路公団計画部渋滞対策事業推進室長
平成10年 7月 現職
1.はじめに
埼玉県内では、道路を通じて豊かな社会が実現できるよう、2つの基本方針のもとで道づくりが進めている。そのひとつの柱が、県内どの市町村からでも主要な都市まで、概ね1時間以内で到達出来るような道路整備であり、もうひとつの柱が人や環境に配慮した道づくりである。
建設省大宮国道工事事務所は、広域的かつ地域間の交流を推進するための円滑な道路交通の実現と、高齢者や障害者等を含め、道路利用者の誰もが安全、安心、快適に通行できる道路空間の確保と、自然環境や沿道の生活環境へ十分配慮しつつ、市町村や地域住民と連携を図りながら道路整備を進めている。
以下に当事務所の主な事業を紹介する。
2.一般国道468号(首都圏中央連絡自動車道)
一般国道468号(圏央道)は、都心から半径約40〜60qに位置し、横浜市、厚木市、八王子市、川越市、つくば市、成田市、木更津市などの主要都市を環状に結ぶ総延長約300qの高規格幹線道路である。この道路は交通の円滑化、環境改善、経済効率の向上など多くの効果が期待されている。
当事務所では、埼玉県内の39.7qを担当し、この内青梅IC〜鶴ヶ島JCT間19.8qを平成8年3月に開通した。
現在、鶴ヶ島JCT〜一般国道254号間においては用地買収を推進しており、一般国道254号以東については順次、測量等の作業を進めている。今後は更に事業の推進を図る。
3.一般国道4号
東京の日本橋を起点とし、埼玉県を経由して青森市に至る延長約860qにも及ぶ我が国最長の国道である。
当事務所では、このうち草加市谷塚上町〜北葛飾郡栗橋町間と、新4号バイパスの越谷市下間久里〜幸手市大字和田間の約60qを担当している。
現在、一級河川・中川の河川改修にともなって、行幸橋の架替えを予定している。
4.一般国道16号
神奈川県横浜市を起点とし、東京都八王子市、埼玉県入間市、大宮市、春日部市、千葉県野田市、木更津市、富津市等及び神奈川県横須賀市を経て横浜市に至る延長約240qの環状道路で首都圏の重要な幹線道路である。
当事務所では、埼玉県入間市二本木〜昭和町間の約50qを担当している。その中で荒川を渡河する
上江橋は平成9年8月20日に完成し、川越拡幅区間については平成10年6月19日に4車線供用となり、西大宮バイパスは平成10年10月12日に供用し、交通渋滞の緩和、移動時間の短縮等の効果に大きく寄与した。
また入間市及び狭山市の一部区間において、現在4車線化を目指し整備に取り組んでいる。
西大宮バイパス宮前IC 西大宮バイパス宝来ランプ
5.一般国道17号
東京都中央区日本橋を起点とし、埼玉県、群馬県を経由して新潟に至る総延長約370qの幹線道路で、埼玉県を南北に縦貫する幹線道路である。当事務所は戸田市戸田橋〜児玉郡上里間の約80qの現道と新大宮バイパス、熊谷バイパス、深谷バイパス、上武道路の60q及び板橋区赤塚〜高島平間約3qの全体で約140qを担当している。
(1)与野大宮道路
与野大宮道路は「さいたま新都心」関連街路の骨格として、2.7qの4車化整備を進める予定で、このうち特に新都心への交通集中が予想される与野大宮大通線から東西中央幹線間の1.2qについて平成6年度事業化され、平成7年から用地取得に着手し、現在4車線化工事を着手したところである。
(2)新大宮バイパス
新大宮バイパスは、練馬区北町から大宮市吉野町に至る延長23.3qのバイパスで、6車線の大規模な道路ある。また、道路中央部には高速埼玉大宮線が与野まで平成10年5月に供用された。
現在、交通渋滞対策として主要地方道浦和・東村山線と交差する田島交差点の立体化と高速埼玉大宮線が供用したことによる新大宮バイパスの「街路整備」「環境対策」が現在進められてる。
さらに、一級河川鴨川の河川改修と合わせて「鴨川大橋」の橋梁架け替え工事を行っている。
新大宮バイパス標準横断図 施工中の鴨川大橋
(3)上尾道路
上尾道路は大宮市宮前で新大宮バイパスと分岐して、一般国道17号と平行する形で北上し、桶川市川田谷で圏央道とのジャンクションを形成し、鴻巣市箕田で17号及び熊谷バイパスに接続する約20.1qのバイパスである。
一般国道17号の通過交通を上尾道路に転換させることにより現道及び周辺道路の主要渋滞箇所の交通渋滞の解消を図るとともに、市内の生活道路に入ってくる通りぬけ車両を排除し、生活環境の改善や通学路の交通安全の向上を図る。 整備によって「移動時間の短縮」、「沿道環境の保全」、「防災空間の創出」等の整備効果が期待されている。
上尾道路標準平面図 上尾道路完成イメージパース
6.ひと・くらし・自然と歩む道づくり
電線などライフラインの地中化を進め、防災にも配慮した道づくりを行う一方、エコロードをはじめ、自然と共生を図った事業、道路に快適な「たまり」空間を創る道の駅の整備などの事業を展開している。
(1)情報BOX、電線共同溝
高度情報社会の早期実現や、電線類の地中化による歩行空間の確保、良好な都市景観の確保等のまちづくりを行うため、道路地下空間を活用して、光ファイバーをはじめとするマルチメディア回線や、ライフラインを収容する情報boxや、電線共同溝の設備を推進している。(写真-6、7)
(2)環境保全対策
自動車の通行に伴う大気汚染・騒音・振動に対して、沿道の土地利用や地域状況に応じて環境施設帯、遮音壁の設置、低騒音舗装の導入を行うなど、良好な環境を守る対策を行っている。
電線共同溝整備前と整備後
7.おわりに
当事務所では、これら事業のほか、埼玉県内の国道4号、16号、17号の3路線約250qを道路利用者や沿道の方々が安全で安心して利用できるように、道路をいつも良好な状態に保つため道路の維持・修繕を行っている。また、交通事故多発地点や主要渋滞ポイントにおいては、交差点改良や歩行者の安全を確保するため、横断歩道橋の設置、自転車歩行者道の設置を行っている。さらに、沿道に公共施設や医療施設が多い箇所においては高齢者等の交通弱者が安心して歩ける歩道のバリアフリー化も推進している。

【主な工事】

指扇側道改良工事(2工区)
工  期:H9.8.9〜H10.8.31
工事概要:本工事は、西大宮バイパスの宝来から指扇間における側道改良工事である。
工事内容:施工延長740m、道路土工、地盤改良工、擁壁工、小型水路工、付属施設工、情報ボックス工、構造物撤去工
古谷高架橋遮音壁設置その2工事
工  期:H10.3.27〜H11.1.22
工事場所:埼玉県川越市古谷上地先
工事内容:@遮音壁工(土工部)隠蔽式吸音板、鋼管杭基礎、(土工部)透光板、鋼管杭基礎、(橋梁部)隠蔽式吸音板、穿孔式アンカーボルト基礎
宝来歩道橋設置工事
工  期:H10.8.6〜H11.3.31
工事場所:大宮市宝来地先
工事概要:本工事は、一般国道16号線を横断する歩道橋の設置工事である。
工事内容:橋長36.021m、幅員(主構部)3.000m、(斜路階段部)2.600m、(階段部)2.000m
指扇高架橋遮音壁設置その6工事
工  期:H10.2.25〜H10.6.30
工事場所:埼玉県大宮市宝来〜埼玉県大宮市指扇
工事概要:本工事は、西大宮バイパスの指扇高架橋における遮音壁設置工事である。
工事内容:遮音壁支柱本体工
宮前インター舗装工事
工  期:H9.10.4〜H10.8.10
工事場所:埼玉県大宮市宮前町地先
工事概要:本工事は、西大宮バイパス(国道16号)の宮前インターにおける新設舗装工事である。
工事内容:道路土工、地盤改良工、舗装工、道路付属施設工、橋梁付属物工、区画線設置工
戸田立体舗装改修工事
工  期:H10.8.6〜H11.2.26
工事場所:埼玉県戸田市笹目6丁目〜笹目5丁目地先
工事内容:舗装工(排水性)、路面切削工、舗装打換工、排水工、道路付属施設工
宮前インター植栽工事
工  期:H10.9.26〜H11.3.31
工事場所:埼玉県大宮市宮前町地先
工事内容:@道路植栽工(高木植栽)(中木植栽)(低木植栽) (地被植栽)(防草処理)
別所電線共同溝その1工事

工  期:H10.2.7〜H11.3.13
工事場所:浦和市別所2丁目〜浦和市別所3丁目
工事概要:本工事は、一般国道17号電線類地中化のための浦和市内における電線共同溝工事である。
白幡電線共同溝その4工事

工  期:H10.3.4〜H11.2.26
工事場所:浦和市辻3丁目〜浦和市白幡4丁目
工事概要:本工事は、一般国道17号電線類地中化のための浦和市内における電線共同溝工事である。
戸田電線共同溝その2工事

工  期:H10.3.6〜H11.3.30
工事場所:戸田市上戸田2丁目〜戸田市上戸田1丁目
工事概要:本工事は、一般国道17号電線類地中化のための蕨市内における電線共同溝工事である。

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