〈建設グラフ2001年5月号〉

寄稿

京滋工事事務所の概要

京滋バイパス延伸事業が最盛期

日本道路公団 関西支社 京滋工事事務所長 岡 米男 氏

岡 米男 おか・よねお
新潟県出身
昭和 54年 埼玉大学大学院建設基礎工学修士終了
昭和 54年 日本道路公団入社、仙台建設局構造技術課
昭和 57年 仙台建設局大鰐工事事務所
昭和 61年 オハイオ州立大学土木工学科
昭和 63年 試験所コンクリート試験室主任
平成 3年 新潟建設局新潟工事事務所工事長
平成 5年 (財)高速道路調査会研究第二課課長
平成 7年 大阪建設局構造技術課課長
平成 9年 世界銀行南アジア局インフラ整備課
平成 11年 現職
事務所の沿革
京滋工事事務所は、昭和47年に「京滋バイパス工事事務所」として開設され、名神高速道路の追加インターチェンジ(瀬田西、瀬田東)及び京滋バイパス、湖西道路の事業を担当し、追加インターチェンジ及び京滋パイパスを開通させ、また、湖西道路についても全通の見通しの立った昭和63年11月に名称を「京滋工事事務所」として改めて再スタートしました。その後名神高速道路の栗東インターチェンジから瀬田東インターチェンジ間及び京都南インターチェンジから天王山トンネル間(京都府域)の改築事業を担当し、平成10年に改築工事も完成させました。
現在は、京滋バイパスの延伸、名神改築大山崎JCT及び京都丹波道路等の建設、京都第二外環状道路の調査を担当しています。
京滋バイパス延伸、名神大山崎JCT
路線概要
事業が最盛期にあるのが京滋バイパス延伸事業(巨椋IC〜久御山西IC間5km)及び名神改築大山崎JCT(大山崎JCT〜久御山西IC間3km)の新設工事です。
事業は、瀬田東ICから久御山西ICまでの23.9kmを一般有料道路の京滋バイパス事業として、久御山西IC〜大山崎JCTまでの3kmは名神高速道路事業として整備を進めています。
これらは、名神高速の瀬田東ICから大山崎JCTを結び、これにより交通混雑の著しい瀬田東ICから大山崎JCT間の名神高速を2ルート化させます。また京都半環状都市ゾーンを形成する都市軸となって、都市圏の道路交通を便利で快適にするほか、主要幹線道路を横断的につなぐ環状道路として京都市内への自動車交通の円滑な導入と分散を図りつつ、生活道路の渋滞を緩和します。このルートの整備に伴い、沿線の各都市から名神のICまで直接、または京滋ルートの新たなICを経由してアクセスできるようになり、各都市から名神のICまでのアクセス時間が全て20分以内(平均約10分)と、時間的に大幅に近くなり、沿線地域の高速交通サービスが向上します。併せて、地域の道路交通の安全性・快適性が向上し、交通事故の減少も期待できます。
工事の状況
名神改築大山崎JCTは、国土交通省に委託施行区間である八幡市域の約1.2kmを除いてJHが施工しています。工事は、橋梁下部工工事全て発注済みであり、うち8件が既に竣工しています。橋梁上部工工事は鋼橋2件が竣工し、PC上部工1件を含む計7件が下部工の進捗に合わせて、順次工事に着手しており、一部は設計や材料手配などの準備を行っているところです。平成13年度以降に舗装、施設工事に着手していくこととしています。
この地域の特色としては、大山崎JCTを中心として埋蔵文化財が広く点在しています。このため、文化財調査の進捗に合わせて調査が完了したところから順に工事を行っていますが、工程に支障をきたさないようjhとしても文化財調査がスムーズに進むよう関係機関を連携し最大限の努力をしているところです。
代表的な橋梁である桂川橋は、周囲の景観を考慮したV脚を有する鋼連続箱桁橋で、2基のニューマチックケーソンを完了し、現在は上部工の架設中です。
京滋バイパス(巨掠IC〜久御山西IC間)は、橋梁下部工工事全てが発注済みで、うち森橋など6件が既に竣工しており、現在森第三高架橋や中島高架橋など7件の工事を進めているところであります。上部工は鋼僑5件、PC橋5件を発注しており、順次、工事に着手しているところです。平成13年度以降、残る上部工工事、舗装、施設工事に着手していきます。
工事の特色として、巨椋ICから久御山IC付近まで全線にわたり両側に国道が並行しており、特に巨椋ICから国道1号と接続する久御山ICまでの区間は、1号切り替えや迂回路など、交通の確保及び交通安全に万全を期するよう努めているところです。 

京都縦貫自動車道
路線概要
京都縦貫自動車道は、宮津市を起点として綾部市付近を経由し京都市に至る延長約100kmの高規格幹線道路です。京都府の北部と南部を結び、名神高速、舞鶴自動車道と一体となって高規格幹線道路網を形成します。現在、京都丹波道路として沓掛IC〜丹波IC間31.3kmが開通しており、このうち千代川IC〜丹波IC間15.7kmが暫定2車線で開通しています。
千代川IC〜園部IC間9.9kmについては、より一層のサービス向上のため平成11年1月より4車線化に着手しており、併せて南丹PAの新設工事を行っているところです。京都第二外環状道路(大山崎〜沓掛)は名神高速と京都丹波道路を結び京都府を縦貫し、沿線地域の一体化を図る道路としてその早期整備が期待されている道路です。現在、国土交通省において事業が進められているところですが、JHとしても必要な調査を踏まえ早期に事業に着手していくこととしています。
工事の状況
京都丹波道路は、平成11年1月から千代川IC〜園部IC間の4車線化を行っています。工事は土工・橋梁下部工・上部工すべて発注を終え、舗装や施設工事にも着手しています。
千代川IC寄りの拝田、本郷両トンネルは、風化花圏岩、亀裂の発達したチャートを含む極めて脆弱な地盤を含みかつ土被りの小さな難工事でありましたが無事貫通したところです。新たに設置する南丹PAは、谷地形の水がたまりやすい軟弱地盤上に位置することから、DJM工法(深層混合処理)で大規模な改良を施し、引き続き、供用中路線に影響を与えないよう慎重に動態観測しながら本練切土の山を利用し盛土を実施するなど技術的にきわめて難しい工事であり、現在鋭意進めているところです。

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