〈建設グラフ2001年5月号〉

寄稿

姫路工事事務所の概要

山陽自動車道と中国縦貫自動車道を結ぶ

日本道路公団 関西支社 姫路工事事務所長 永田 孝夫

永田孝夫 ながた・たかお
茨城県出身
昭和27年10月29日生
昭和50年 新潟大学卒
昭和50年4月 日本道路公団入社
平成4年8月〜平成6年10月 本四公団出向
平成6年11月〜平成9年1月 名古屋管理局保全一課長
平成9年2月〜平成11年10月 関西支社茨木管理事務所副所長
平成11年11月〜 関西支社姫路工事事務所長

日本道路公団(JH)姫路工事事務所は昭和47年12月1日に設置され、平成14年には設置後30周年を迎えます。当事務所の主な事業は次のようになっています。

山陽自動車道新宮IC
新宮ICは、テクノポリス法に基づいて承認された播磨科学公園都市への高速交通手段となるもので、山陽自動車道の追加インターチェンジ(ロングランプ)として、平成4年12月10日に施行命令を受けた延長12.6kmです。
路線は既に供用している竜野西ICから西へ約1kmの龍野市揖西町を起点として龍野市の西側を北進し、主要地方道姫路上郡線と交差して相生市に入ります。その後西播磨県立自然公園内を通過し、播磨科学公園都市東端の揖保郡新宮町で主要地方道相生山崎線に連結します。当区間端末IC部は、開発者(兵庫県住宅供給会社)がNTT資金の無利子貸付制度を活用して建設費を負担する、開発IC方式が採用されています。
工事区間の地形及び構造
当工事区間は、西播磨山地と呼ばれる標高300mから500mの比較的急峻な山地部に位置しています。道路規格は第1種3級B、工事は暫定2車線施工(用地4車線)で行っています。全延長12.6kmのうちトンネルが4.1km、橋梁が2.7kmと比較的構造物比率(54%)の高い区間となっています。

工事の概要及び特色
イ、切盛土工
本工事区間で発生する掘削土量は約300万m3で、約70万m3工事区域外に搬出し約230万m3については、工事区域内の盛土に流用しています。そのうち起点側で発生する掘削土約70万m3は本線延長で7km程離れた盛土部まで運搬する計画であり、土運搬路の確保が急務でした。地元並びに沿道住民の協力を得ながら一般道を土運搬路として使用していますが、この秋以降は本線内を土運搬路として使用するべく関連工事の進捗を図つています。
ロ、橋梁工事
施工する橋梁数は、本線橋でPC橋が3橋、鋼橋が6橋、及び波形鋼板ウエブPC橋1橋の合計10橋となっています。このうち鋼橋につきましては、周囲の自然に溶けこますといった景観上の配慮から、橋桁に緑色を基調とした塗装を行っています。
@波形鋼板ウェブPC箱桁橋
波形鋼板ウェブPC箱桁橋は主要地方道姫路上郡線と交差する小犬丸川橋(仮称、橋長約430m)で採用している橋梁型式です。標準断面図に示すとおり、コンクリートと波形鋼板からなる箱桁構造で、橋梁上部工を軽量化させ、下部工の負担を軽減させるとともに、張り出し施工の一施工ブロック長を大きく取ることで、コスト縮減と施工性の向上を図りました。
A合成二主I桁橋
龍野西JCT(仮称)から約4km北上した中谷川橋(仮称、橋長270m)他3橋で探用している橋梁型式です。鋼橋の耐久性の向上とコスト縮減を目的に主桁を二主桁とし、コンクリート床版には橋軸方向・橋軸直角方向ともプレストレスを導入しています。
ハ、その他
本工事は前述した切盛土工、橋梁工事のほかに、三濃山トンネルなど3本のトンネル工事を施工しています。
進捗状況
平成7年7月の設計協議着手以来、設計協議、用地買収交渉を重ねた結果、若干の用地残件は残ってはいるものの、現在までに土工・トンネル・橋梁上下部工事を23件に分割、全ての工事契約を締結完了しています。これらの工事は進捗率(3月現在)が全体で約60%と最盛期を迎えています。
今後の目標としては、残された用地の取得を急ぎ、施工中の工事を順調に進めるとともに、舗装工事、施設関連工事等を発注・施工して当区間の早期完成を目指します。
山陽自動車道新宮IC
当区間は揖保郡新宮町角亀を起点として、県道千種新宮線及び二級河川角亀川と並走、JR姫新線及び国道179号を横過した後に県道相生山崎線及び一級河川栗栖川と並走しながら北上。山間部を主にトンネルで通過した後、山崎町で中国縦貫自動車道と接続する約12kmの高速自動車国道です。
進捗状況
当区間は平成9年に都市計画が決定されました。平成10年12月25日に開催された第31回国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て整備計画が策定され、建設省からの調査指示を受けています。その後、道路概略設計、地表踏査等必要な設計調査を進め、あわせて猛禽類等の動植物の補足生息調査を進めながら、調査結果の報告へ向けて関係機関との協議調整を実施しています。
今後の課題
都市計画時の環境影響評価書によれば、動植物の貴重種である、エビネ、セツブンソウといった植物、クマタカ、オヤニラミの生息が確認されております。当計画のこれら動植物に対する影響に関し、環境影響評価書では環境保全目標を満足するとされているものの、補足調査を行ってきました。今後は計画を進めるなかで、必要に応じた適切な対策を講じていく必要があります。
以上、山陽道新宮ICと中国横断自動車道姫路烏取線は、播磨科学公園都市のアクセス路線としての位置付けとともに、既に供用中である山陽自動車道・中国縦貫自動車道を連結する、効率的信頼性の高いネットワークの充実を図るうえで重要な区間です。姫路工事事務所一同は、このように重要な路線の早期完成を果たし、沿道地域の生活向上と活性化に寄与するため、今後も工事の安全で円滑な進捗に一丸となって努力していきます。

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