建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2005年9月号〉

寄稿

地域の意向を反映した快適で質の高い社会資本整備の実現に向けて

北海道 旭川土木現業所長 長尾 博志

長尾 博志 ながお・ひろし
昭和24年5月26日生
出身 札幌市
学歴 北海道札幌北高等学校卒業
   北海道大学工学部卒業
昭和48年4月北海道庁入庁
平成 6年4月北海道札幌土木現業所道路建設課長
平成 8年4月北海道建設部道路整備課長補佐
平成11年5月北海道札幌土木現業所深川出張所長
平成13年4月北海道旭川土木現業所事業部長
平成14年4月北海道建設部都市環境課長
平成17年4月現職
▲旭川駅周辺整備
◇はじめに
国内経済は景気回復傾向にありますが、北海道においては、ようやく景気持ち直しの動きが見られ始めたものの依然厳しい状況が続いており、道財政も道税収入や地方交付税の大幅な落ち込みなどから深刻な状況にあり、「財政立て直しプラン」において本年度からの3ヵ年を集中対策期間と位置づけ、財政の健全化に取り組むこととしております。
また、公共投資予算に関しましても、国の「三位一体の改革」において、国庫補助負担金削減の方向が示され、厳しい財政状況と相まって今後ますます抑制されることが予想され、道においては「社会資本整備重点化プラン」により、優先的に整備する社会資本を明らかにするため「施策」と「事業」の両面に着目し、社会資本の優先度の導入を図り、より効果的・効率的な事業の実施に努めております。
当所といたしましては、厳しい道財政を踏まえ、限られた予算を有効に活用し、国や市町村との連携を強化しつつ、地域連携会議等の議論を踏まえ、地域の意向や特性が的確に反映された投資効果の早期発現が見込まれる事業や、防災対策など緊急性の高い事業を重視し、「選択と集中」により整備の重点化・効率化を図って参ります。
▲西岡ダム完成予想図 ▲ポン布部川砂防事業
◇平成17年度事業の概要
平成17年度事業予算の総額は、単独事業を含めた総額で311億1千5百万円、対前年度比100.4%となり、このうち公共事業(地方特定含む)については、道路・治水事業、道州制モデル事業費等を合わせて296億4千5百万円、対前年度予算比100.7%、また、単独事業については、道路・公園・河川・砂防事業を合わせ14億7千万円、対前年度予算対比95.5%で、投資効果の早期発現が期待される事業や防災対策等の観点から緊急性の高い事業などを主体に事業促進を図ります。
また国や市町村のプロジェクトとの連携や地域の諸課題などを的確に捉えながら、将来の上川圏に必要な社会資本整備を着実に推進してまいります。
本年度も、都市機能の向上を目指した「北彩都あさひかわ」関連事業、緑豊かで地域住民に親しまれる公園づくりを目指す道立公園「北海道立サンピラーパーク」、治水・利水対策を目的とした生活貯水池としての「西岡ダム」の整備を促進するほか、圈域内外との交流を活発化する広域道路網の整備として夕張新得線「赤岩トンネル」や旭川多度志線「湯内トンネル」、誰もが安心して暮らすことのできる地域社会の形成に向けた十勝岳火山砂防施設の整備を促進するなど、近年の社会状況、多様化する地域課題に的確に対応した社会資本整備を引き続き進めて参ります。
これら事業の実施にあたりましては、建設コストの縮減や、新技術の活用、また間伐材の利用促進を図るなど、時代の要請に的確かつ迅速な対応を行っていくとともに、大量消費・大量廃棄といったこれまでの産業活動・生活様式が見直されていることから、廃棄物の減量化や建設副産物のリサイクルの推進、自然環境と調和した施設整備を行うなど環境にも十分配慮するほか、適切な維持管理により既存施設の長寿命化を図る取り組みも進めて参ります。
今後とも、地域の意向を反映した快適で質の高い社会資本整備を推進して参りますので、皆様のなお一層のご理解、ご協力をお願いいたします。
▲サンピラーパークセンターハウス
「ふるさと交流館」
▲ポン川

HOME