〈建設グラフ2000年4月号〉

寄稿

祝 利根かもめ大橋有料道路開通によせて

千葉県道路公社建設部長 鈴木 稔 氏

鈴木 稔 すずき・みのる
昭和16年6月20日生
日本大学理工学部土木工学科卒
昭和42年千葉県庁入庁
51年企業庁臨海事業部建設第1課係長
52年同ニュータウン事業部建設1課係長
56年東葛土木事務所坂川改修課長
60年千葉県道路公社工務課長
平成 3年千葉県警交通規制課補佐
5年印旛土木事務所次長
7年高滝ダム管理事務所長
9年企業庁工業用水部給水課主幹
11年現職
千葉側より利根かもめ大橋を望む 料金自動収受システムを導入した料金所
概要
利根かもめ大橋有料道路は、千葉県銚子市と茨城県鹿島郡波崎町を結び、現銚子大橋の約8km上流に新設される道路です。
利根川下流地域では、地域の発展と共に増加する交通量に対し、河口付近の銚子大橋と利根川大橋(河口堰)の約17km間には利根川を渡河する橋梁がなく、銚子大橋とその周辺街路では、朝夕慢性的な交通渋滞が発生しており、利根川を渡る新たな道路の早期実現が熱望されていました。
本道路の建設は、千葉県東総地域と茨城県鹿行地域を結ぶ道路交通ネットワークの強化を図り、交通混雑の緩和と地域の発展を担う重要な役割が期待されています。
路線名 一般県道銚子波崎線
工事区間 自)千葉県銚子市小船木町
至)茨城県鹿島郡波崎町矢田部
延長 1.7km
道路規格 第3種第2級
車線数 2車線
幅員構成 車道部8.5m、歩道部3.5m
(一般部)
設計速度 60km/h
接続道路 千葉県側:国道356号バイパス
茨城県側:国道124号
事業計画
本事業は、周辺地域の交通事情及び周辺環境の改善を目的とし、将来の社会活動、経済活動に役立つよう計画されています。
事業方式
本事業は、合併施工方式で施工されました。
有料事業を千葉県道路公社が、その他の通常事業を千葉県と茨城県が負担して事業を行ったものです。
橋梁概要
橋の周辺は、史跡が点在すると共に、豊かな自然の残る地域であり、ユリカモメ、カルガモ、ウミウなど多くの水鳥が生息しています。
橋梁は、「人と自然にふれあう躍動感のある橋」をテーマにカモメの羽ばたきをイメージし、自然と調和する橋を目指しました。
デザインは、地元市・町からの有識者も参加した「景観検討委員会」を設け決定されています。
また、銚子新大橋の名称となる「利根かもめ大橋」は、平成11年10月18日に銚子市役所で開催された「銚子・波崎間新橋名称選考委員会」において、一般公募した2,390通のなかから選ばれたものです。
選定理由として、@「かもめ」は、当地になじみ深く、地域の人々に親しまれ、愛されていること。A橋梁は、躍動感のある橋をテーマに「かもめ」の羽ばたきをイメージして設計されており、また景観や自然環境に配慮して建設された橋にふさわしいこと。B西暦2000年という記念すべき節目に関連する橋であり、大空へ飛翔する「かもめ」の姿は、21世紀に向けて、本地域が発展する象徴として表現しうるものであることを挙げております。
橋梁諸元
名称 利根かもめ大橋
橋長 l=1,145m
幅員構成 車道部8.0m、歩道部3.5m
設計荷重 道示(1993)b活荷重
構造 上部工: 3径間連続鋼床版箱桁3連
単純鋼床版箱桁
下部工: 鋼管杭基礎2基(橋台)
鋼管矢板井筒基礎9基(橋脚)
桁下空間 H=8.0m(航路部)
線形 平面線形r=∞(直線)
縦断勾配i=1.7%
横断勾配i=2.0%
道路の通行料金
車種 料金
軽自動車等 150
普通車 200
中型車 200
大型車 300
特大車 550
軽車両等 20
橋で結ばれる銚子市と波崎町>
銚子市と波崎町は、歴史的に古くから人や物の交流が盛んで、文化・社会・経済的に密接に結び付いて発展してきました。
特に、近年は銚子漁港との交流、鹿島臨海工業地帯の開発等に加え、自動車交流の普及によりそのつながりは一層強まっています。
銚子市は、「活力と魅力ある東総の中核都市」を、波崎町は、「新たな活力と文化の創造」を将来目標としています。
本道路は、地域の文化と産業の発展に大いに寄与するものと共に、両市・町の将来目標実現への歩みを更に加速することになります。
渡河地点より茨城側を望む

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