〈建設グラフ2001年4月号〉

寄稿

秋田の夢と未来を結ぶ活力に満ちたふるさとづくり

――地域と共に、自然と共に、明日への礎としてこれからも

国土交通省 東北地方整備局 秋田工事事務所長 近藤 清久 氏

近藤 清久 こんどう・きよひさ
福岡県出身
昭和 59年 京都大学大学院卒
昭和 59年 日本道路公団入社
平成 2年 日本道路公団計画部計画第一課副参事
平成 5年 日本道路公団東京第一建設局横浜工事事務所調査課長
平成 6年 日本道路公団東京第一建設局横浜工事事務所工務課長
平成 7年 建設省道路局高速国道課長補佐
平成 10年 日本道路公団保全交通部保全企画課長代理
平成 11年 建設省東北地方建設局秋田工事事務所長
平成 13年 国土交通省東北地方整備局秋田工事事務所長
はじめに
秋田県は、東北地方の北西部に位置し地形的には、奥羽山脈によって東は岩手県、南は宮城県、北は十和田湖を含む山地によって青森県、南は鳥海山と栗駒山とを結ぶ山地によって山形県とそれぞれ接して、西方は日本海に面している。
秋田県は、昔の出羽(いでは/では)の国の一部であって、その北部を占めた地方である。現在の秋田県となったのは、明治4年(1871年)の廃藩置県からである。
秋田工事事務所は、全国の工事事務所のうち、淀川工事事務所、利根川工事事務所に続いて3番目に長い歴史を有する事務所であり、開設は大正6年9月3日で「雄物川改修土地収用事務所」として設置されたのが始まりである。
21世紀は、国民の一人一人が安全で、快適なくらしを営むために、身近な社会資本の総合的な整備、交通政策、気象業務、海上の安全確保等を目指して、新年1月6日に「北海道開発庁」、「国土庁」、「運輸省」、「建設省」の4省庁が統合し、「国土交通省」となりました。東北地方の出先機関については、運輸省第一港湾局、第二港湾局の一部と、建設省東北地方建設局が統合し、「東北地方整備局」となり、当事務所につきましては、「国土交通省東北地方整備局秋田工事事務所」として新たに出発いたしました。
今、我が国が抱えている大きな問題・課題として、「少子・高齢化、人口減少」、「環境問題」、「国際化」、「高度情報化」、「多様性、自由な個の確立の時代」等が上げられます。この様な課題を、地域のみなさんの声を聞きながら、共に解決し、豊かさが実感出来るような地域づくりを目指して行くことが重要と思っております。
当事務所に於いても、地域活性化のための社会資本整備を尚一層押し進めることはもとより、「よりきめ細かく、より総合的な地域づくり」を推進して参ります。
平成13年度の河川及び道路事業の主な事業の内容を紹介します。
▲雄物川 新屋・割山地区 ▲子吉川 中島・石脇地区
○河川事業
一級河川の、雄物川及び子吉川を管理している。管理延長は、雄物川31.55km、子吉川26.4km(内石沢川分として2.6km)の合計57.95kmとなっている。
△雄物川
「無堤部解消事業」として取り組んできた雄物川下流の雄和町椿川地内の上大部地区に於いて、雄和町の「町づくり事業」と併せ進めるため用地補償の完了を目指します。また、秋田市の「仁井田堤防強化対策事業]として進めている緩傾斜堤防を概成します。
雄物川下流 河川改修事業・椿川地区無堤部解消事業
△子吉川
子吉川については、本荘市街地で事業を進めております大沢川排水機場を概成させ供用 を開始します。また、平成10年度に創設された「直轄河川災害復旧等関連緊急事業」により、平成11年度から事業を進めてきた本荘市石脇地区・田尻地区築堤の完成を目指します。更に、由利町南福田地内で進めている一般国道108号との兼用堤防区間の補強対策を完成させます。また、平成9年度から工事着手してきました、二十六木築堤の未施工区間(延長300m)の完成を図ります。
その他、新規事業として雄物川下流・子吉川下流部の河川堤防に光ファイバー網を順次整備し、洪水管理や河川管理の充実を図ります。
全ての人々への「健康づくり・心身の癒し」を目的とした『癒しの川整備事業』については、癒しの川づくり懇談会の提言並びに地域アンケート調査結果を踏まえて開催している「子吉川癒しの川整備検討会」での、ご意見を反映させながらユニバーサルデザインを取り入れ、事業の完成を目指します。
子吉川 子吉川南福田地区堤防補強対策事業

▲子吉川右支川石沢川(本庄市石沢川地区)
平成2年9月20日
▲子吉川癒しの川整備事業 完成予想パース▲
○道路事業
道路事業としては、一般国道7号、13号、46号の3路線の改築及び維持管理を行っている。3路線の管理延長は、一般国道7号が110.0km、13号が25.5km、46号が55.6kmで、約191kmとなっている。
秋田大橋
△一般国道7号
改築事業として、一般国道の自動車専用道「仁賀保本荘道路(延長十二・五km)」について用地買収に着手します。
又、着工準備箇所である、「象潟仁賀保道路(延長約十三km)」については、事業化に向けた調査を継続します。
昭和9年に架けられ老朽化の著しい「秋田大橋架替事業」については、新橋(l=583.6m)を含む延長1.2kmの完成・供用を図ります。
秋田南バイパスの「(仮称)臨海大橋」については、上部工桁架設を完成させるとともに、臨海大橋前後の改良工事の概成を図ります。
秋田7号 仁賀保本荘道路(高規格道路

仁賀保本荘

▲一般国道7号 本荘市 芦川橋下部工 ▲秋田南バイパス(仮称)臨海大橋
▲国道7号 秋田南バイパス起点より市内方向をのぞむ
△一般国道13号
一般国道13号「河辺拡幅事業」においては、空港入り口交差点関連部0.7km区間について4車化を図ります。
▲秋田南バイパス(仮称)臨海大橋
△一般国道46号
一般国道46号に於いては、地域高規格道路「角館バイパス(延長6.1km)」について、用地取得を継続するとともに工事に着手します。
秋田46号 角館バイパス(地域高規格道路)
終点より起点方向 ▲国道46号 生保内線改良終点より起点方向をのぞむ
△防災事業
日本海の塩害により損傷を受けたPC橋について架替を目的とした一般国道7号「本荘地区橋梁架替事業」で、小屋川橋と親川橋の完成・供用に向けて改良工事等を促進させます。更に、一般国道46号協和町荒川地区の地滑り対策工事を完成させるとともに、法面補修や構造物補修を実施していきます。
▲河川管理
△維持修繕事業
維持修繕事業としては、舗装路面の摩耗・わだちの著しい箇所を重点的に路面補修を実施すると共に、交通量の増大や車両の大型化に伴い、沿道環境の悪化が著しい一般国道7号秋田市内等において低騒音舗装等を実施し、沿道環境の改善を図っていきます。
△交通安全事業
交通安全事業としては、協和町の「道の駅」や、秋田市飯島地区での「電線共同溝」事業に着手します。また、的確な道路情報の提供が実現出来るほか、民間の活用も可能になる光ファイバー等の情報ネットワークを収用する情報box等のit関連道路情報提供装置整備を推進します。
更に、歩道の段差や勾配を解消し、高齢者・身体障害者等にとって歩きやすい歩道空間の形成を図る為、一般国道7号の秋田市川尻地区に於いて、歩道空間のバリアーフリー化を推進します。
△雪寒事業
雪寒事業は、一般国道7号、13号、46号等の重要幹線道路の冬季間の交通確保に努めるため、関係機関等との的確な連携を図りながら車道及び歩道の除排雪作業や路面凍結によるスリップ事故防止のため凍結抑制剤の散布を行うと共に、吹雪による吹き溜まりや視界不良解消のための防風・防雪柵の設置等を行い冬季交通の安全確保に努めていきます。


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