建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年10月号〉

寄稿

道南地域における住み良い環境づくりを目指して

北海道 函館土木現業所長 山本 克己

山本 克己 やまもと・かつみ
赤平市出身、北海学園短大卒
昭和60年釧路土現舗装
昭和62年函館土現道路各係長
平成 1年道路課高速道室主査
平成 2年同市町村道室市町村道第2係長
平成 4年稚内土現事業課長
平成 6年帯広土現管理課長
平成 8年土木部管理課主幹
平成 9年建設情報課長補佐
平成10年岩見沢出張所長
平成12年留萌土現事業部長
平成14年建設部都市計画課長
平成16年現職
▲主要道道函館南茅部線・新川汲トンネル
▲北檜山大成線・帆越山トンネル開通式の様子
▲広域基幹河川改修事業・鮫川工区
▲梨の木東沢川砂防工事
▲地域水産物供給基盤(静狩漁港)整備工事
はじめに
函館土木現業所は、渡島支庁と檜山支庁管内を所管しており、管内の総面積は、6,565km2で北海道全体の約8%になり、東京都の約3倍の面積に匹敵します。地形は、山地が海岸まで迫る急峻な地形が多いため、変化に富んだ美しい自然に恵まれていることから、大沼国定公園や4ヶ所の道立自然公園があります。
気候は、積雪寒冷な北海道の中で、北上する対馬暖流の影響により、寒暖の差が少なく比較的温暖で、積雪量も山間部の一部を除いて少なく、道内でも最も恵まれた地域ですが、冬期間は季節風が強く道内でも有数の強風地帯となっています。
また、函館市や松前町、江差町などは、北海道開拓の第一歩を踏み出した歴史的な地域で、特に今年は、nhkの大河ドラマ「新撰組」が放映されて、新撰組の中心的な役割を果たした土方歳三ゆかりの地であることから、その足跡を訪ねて観光客も多くなって来ています。
平成16年度事業について
函館土木現業所の平成16年度補助事業の当初予算は、道の厳しい財政状況などから対前年比4.2%減の369億5,400万円となりましたが、北海道として初めてのpfi事業で工事を開始した「道立公園噴火湾パノラマパーク」、奥尻空港整備事業の第二期工事及び駒ヶ岳火山砂防事業の整備促進等に重点的に取り組んでいます。
道路事業では、函館市と水産業の町として知られる南茅部町・砂原町等噴火湾周辺町村を結ぶ主要道道函館南茅部線において、平成14年度から交通連携事業を着手し、また昨年度交流ふれあいトンネル事業として選定された「新川汲トンネル」工事が本格的になります。また、道道北檜山大成線の「帆越山トンネル」は今年7月に完成し、8月3日に大成町の多くの地元関係者の皆様方とともに、永年の悲願でありました開通式を迎えられたことは、事業主体者として大きな喜びです。
街路事業では、北海道戦略プロジェクト「歴史を生かすまちづくり」事業として始めた江差町の「いにしえ街道」の事業が完成し、歴史的建造物や史跡を活かした街並みが完成されます。
空港整備事業では、奥尻空港において、平成11年度から滑走路延長事業(800mから1,500m)を実施しており、平成17年度全面供用開始に向けて、整備促進を図っています。
公園事業では、基本テーマを「津軽海峡を望むロマンの丘」として、函館市北部の丘陵地において平成10年度より事業を実施している「道南四季の杜公園」が今年度の全面完成に向け事業を促進しています。また、今年度からは、八雲町において北海道で初めてのpfi事業として「道立公園噴火湾パノラマパーク」の建築工事等が開始され、平成18年6月の一部オープンを目指しています。
河川事業では、鮫川(函館市)や天野川(上ノ国町)の広域基幹河川改修事業の今年度完成を目指すほか、太櫓川(北檜山町)、久根別川(大野町ほか)、厚沢部川(厚沢部町)の整備促進を図ります。
砂防関係事業では、駒ヶ岳火山砂防事業である梨の木東沢川砂防工事(砂原町)及び松葉沢川砂防工事(砂原町)の今年度完成を目指すほか、警戒避難に資する情報伝達設備のソフト対策の充実を図るなど一層の防災対策を進める予定です。
急傾斜地崩壊対策事業では、南茅部臼尻3(南茅部町)、上ノ国汐吹1-1(上ノ国町)の完成を目指し、戸井瀬田来3-1(戸井町)、瀬棚本町1地区に新規着手します。
漁港関係事業では、元和漁港機能高度化事業に新たに着手するほか、小島漁港機能高度化事業の完成を目指すと共に、吉岡、静狩の各漁港の整備促進を図り、また鹿部漁港広域水産物供給基盤整備事業に新規着手します。
また、建設海岸事業では、東風泊海岸高潮対策事業の完成を目指します。
おわりに
今後の事業実施については、地域の課題、ニーズに即しながら「選択と集中」の観点から、限られた財源を有効に活用し、安全安心な社会資本整備に努めて参りたいと考えています。

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