建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年9月号〉

寄稿

自動車港湾 三河港と港湾整備について

愛知県 三河港務所長 寺島 恵利

寺島 恵利 てらしま・しげとし
生年月日 昭和22年10月8日
本籍地 愛知県
最終学歴 岐阜大学大学院農学研究科 農業工学専攻修士課程
昭和47年4月愛知県採用
平成 9年4月衣浦港務所工務課長
平成10年4月土木部港湾課主幹
平成13年4月建設部港湾課長
平成16年4月現職
はじめに
三河港は、愛知県東部に位置し三河湾奥部にあり蒲郡西浦半島と渥美半島に抱かれた比較的波静かで風光明媚な地形を併せ待つ港湾であり、豊橋市、蒲郡市、田原市、御津町の3市1町の行政区域前面に展開し、昭和39年に重要港湾に昇格し、以来40年を経過した港です。港湾の規模は、周囲約80km、水面積約132km2で広大な港域となっております。特徴としては、昭和の高度経済成長に支えられ、港湾建設と共に臨海部工業用地への自動車物流基地進出に伴い昭和53年から蒲郡地区公共ふ頭で自動車輸出が始まり、昭和56年に田原地区で専用ふ頭における自動車の生産・輸出拠点が稼動し、昭和58年には神野地区公共ふ頭からも国産自動車の輸出、昭和63年から平成14年にかけては、世界的な外国有名自動車企業の輸入基地としての進出など、三河港の地理的優位性により 「自動車港湾」の様相を呈するほどになっております。
自動車港湾としての特徴
三河港の取り扱い貨物量は、平成14年で約2千3百万トンを取り扱い港湾としては、比較的中規模の港湾ですが自動車の取り扱いが約7割を占めており、また、自動車港湾「三河港」と呼称するには理由があり、輸出入に関しての港別データにおいて自動車輸出金額は平成10年から平成15年まで6年連続で全国第1位(約2兆円強/年)、輸出台数においても名古屋港に続いて第2位(約90万台/年)、輸入においても金額(3千億円強/年)、輸入台数(約13万台/年)共に11年連続第1位を記録しています。
▲神野地区
自動車港湾としてのさらなる展望
三河港は自動車港湾を謳い、今後も港発展への取り組みとして、さらなる自動車を対象とした港勢の拡大を目指しております。自動車は、新車、中古車、部品取りなどさまざまな需要ニーズがあります。このことから、新規事業展開として自動車リサイクル産業の三河港への誘導を図るため、三河港の位置づけとしてリサイクルポートの指定を平成15年4月に国土交通省から受けています。現在、地元経済界にて臨海部での産業起こしの検討をしていただいており、特筆するものとして、「国際自動車コンプレックス構想」の実現化を図るべく活動がなされております。また、自動車貨物の船舶への搬出入の迅速化を図り、輸送コストの軽減を期待できる施策として経済構造改革特区申請により三河港は、平成15年5月に国から「国際自動車特区」の認定を受けています。このようにソフト面での施策の充実を種として、既存のふ頭施設の有効活用や上地利用の見直しを行い、使いやすい港づくりを目指していきます。
三河港の整備について
▲豊橋神野地区 8号岸壁位置図
ふ頭整備
平成7年の港湾計画に基づき、現在、整備中の事業は、豊橋神野地区の8号岸壁マイナス12m1バースがあり、平成16年3月末供用を開始しております。岸壁は国土交通省中部地方整備局三河港湾事務所にて施工されており、泊地(暫定マイナス10m)整備も担当されております。県施工としては、岸壁背後の荷捌き用地及び臨港道路の整備を行っております。同じく神野地区では、東海地震対策に対応するため幹線臨港道路の緊急時交通を確保するため橋梁部の耐震工事を平成15年度からスタートしており、国道23号ヘタッチする三河港インターチェンジランプや港大橋の設計・施工に着手しました。田原地区では、マイナス5.5m岸壁があり、静穏度を確保するため姫島西防波堤の継続工事を行っております。

緑地整備
▲バリアフリー浮桟橋
港湾における潤いのある空間づくりとして緑地整備を行っており、重点整備地区の工事を行っています。蒲郡竹島地区は、約3haの規模で、付近には以前脚光を浴びたアメリカズカップチャレンジ基地跡地やまた、蒲郡駅に近接しており観光船の発着場もあり賑わいを見せている地区で、身障者用ヨットクルージング施設であるバリアフリーポンツーンも緑地と接続しており平成15年度に駐車場、植栽を施工し完成するものです。蒲郡大塚地区の海浜緑地は、約10haの規模で下物整備及び突堤・海浜などを終了し、現在、上物施設で駐車場等を整備しております。当周辺地域は、海洋レクリエーションゾーンとして位置づけており、平成6年の国体ヨット会場でもある県営海陽ヨットハーバーや第三セクターで運営しているラグーナ蒲郡があり、早期の一体整備完成が望まれる風光明媚な地区です。御津地区は、整備計画90haで全国でも有数な規模の緑地で現在、野球場及びこの周辺整備を行っております。既に整備した箇所で、日本列島を模した約5haの緑地は、週末には地域の人々の利用があり賑わいのあるゾーンとなっています。
海域環境創造整備
三河港域は、三河湾の奥部にあり閉鎖性水域となっており、赤潮の発生など水質の低下が顕著でこの対策について、平成3年から蒲郡竹島地区を皮切りに覆砂、干潟造成による浄化対策を実施しております。現在、国土交通省が開発保全航路整備の一環で中山水道航路の浚渫を行っており、この良質な砂を利用し三河港域では、蒲郡形原地区、大塚地区において覆砂、干潟造成を実施しております。
これからの三河港
三河港は平成17年に港湾計画の改訂を行います。今後、地域住民の方々も含めた幅広い意見をもとに港湾機能の充実、コンテナターミナルの検討、幹線道路との連携、既存施設の有効活用、国際自動車特区の活用、企業物流の支援、新産業立地、地場産業の支援、低未利用地の活用、循環型社会形成、リサイクルポート、廃棄物対応、風力発電支援、水環境、防災活動拠点、東海地震対策、港湾セキュリティーなど具体的なメニューをより現実的な観点から施策に反映できるように盛り込める計画にし、地域戦略と競争力を併せ持ち近未来での三河港の継続と発展を目指していきます。



【カメラアングル】

愛知県三河港務所

三河港(大塚地区)
海域環境創造工事 覆砂
三谷漁港
漁港水域環境保全対策工事 干潟・覆砂
三河港(大塚地区)
海域環境創造工事 覆砂

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