建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年9月号〉

寄稿

上川の発展に寄与する社会資本整備を促進

北海道 旭川土木現業所長 五十嵐 真喜

五十嵐 真喜 いがらし・まさき
昭和24年11月生、小樽市出身、北大工卒
昭和61年小樽土現道路建設課舗装係長
平成 1年住宅都市部都市整備課街路技術係長
平成 3年同街路計画係長
平成 5年旭川土現事業第2課長
平成 7年同道路建設課長
平成 9年建設部道路計画課長補佐
平成12年釧路土現事業部長
平成13年建設部都市計画課長
平成14年同道路計画課長
平成16年現
はじめに
我が国においては、少子高齢化社会への進行、環境重視型社会の構築、高度情報化社会への急速な進展など大きな時代の潮流の中、幅広い分野において「官から民へ」「国から地方へ」という構造改革が本格化してきています。
また、国内経済はわずかながらも景気回復の兆しが見えてきましたが、北海道においては、依然厳しい状況が続いています。
こうした状況の中で、公共事業を取り巻く環境も、公共投資予算が国・地方の財政状況、特に北海道においては大変厳しい状況にあり、今後さらに抑制されることが予想され、一段と厳しさを増すものと思われます。
当所としては、厳しい道財政を踏まえ、限られた予算を有効に活用し、国や市町村との連携を強化しつつ、地域連携会議等の議論を踏まえ地域の意向や特性が的確に反映された投資効果の早期発現が見込まれる事業や、防災対策など緊急性の高い事業を重視し、「選択と集中」により整備の重点化・効率化を図っていき、将来の上川圏に必要な社会資本整備を着実に推進していきます。
平成16年度事業について
▲旭川層雲峡自転車道線
▲旭川多度志線 湯内トンネル
▲富良野川3号ダム嵩上
当所における平成16年度事業予算の総額は、単独事業を含めた総額で291億7,700万円、対前年度比95.9%(2定補正後の予算と比較)となり、投資効果の早期発現が期待される事業や防災対策等の観点から緊急性の高い事業などを主体に事業の促進に努めたいと考えています。
道路事業では、広域観光ルートの形成に向けた道路として、吹上上富良野線、麓郷山部停車場線の整備や東山富良野停車場線で道路改良を図るほか、サイクルネットワークの推進として、旭川層雲峡自転車道の整備を促進し、愛別町愛別橋までの供用を図ります。
また、災害に強い道づくりの推進では、夕張新得線の赤岩トンネル及び赤岩大橋(仮称)のほか、和寒幌加内線第三ペオッペ橋の整備促進に取り組みます。十勝岳噴火災害対策における迂回路、避難路として、美馬牛神楽線、美沢上富良野線の整備促進を図ります。
冬期間の安全・快適な道づくりでは、スノーシェルターや防雪柵等の整備を士別滝の上線や三和剣淵線などで促進します。
地域づくりを支援する交通ネットワークの形成では、圏域内外との交流を活発化する広域道路網の整備として、旭川多度志線の湯内トンネルや2号橋などで整備を促進します。また、中核都市旭川市とのネットワーク強化として、雨竜旭川線、和寒鷹栖線の整備促進を図ります。
高規格幹線道路関連では、日東東雲線菊水橋拡幅(仮称:上川インターヘのアクセス)及び夕張新得線で高速道整備に伴う道道付け替えの促進を図ります。
街路事業では、「北彩都あさひかわ」関連事業の促進として、鉄道高架事業(限度額立体交差)で、鉄道高架本体工事を促進するほか、永隆橋通の新永隆橋(仮称)の整備を促進します。
都市内交通の円滑化など交通渋滞の緩和を目的として、環状1号(旭川市)、永山駅前通(旭川市)の整備や金星橋通の金星橋架換(旭川市)を促進するほか、旭町通(旭川市)の完成を目指します。また、観光地の交通渋滞の緩和などと併せて、観光地の景観形成を図るため、環状通(美瑛町)のjr立体交差、富良野駅前広場整備として東5条通(富良野市)の整備を行います。
公園事業では、地域住民参加による道立広域公園「北海道立サンピラーパーク」(名寄市)の整備促進を図ります。
河川・ダム事業では、安全性の高い治水対策の推進として、農地や市街地を流下する河川の流域一帯における治水機能の向上を図るため、富良野川・剣淵川などを重点的に整備します。
また、地域の浸水被害を防止し安全性を高めるため、比布川(比布町)・西達布川(富良野市)・タヨロマ川(士別市)・豊栄川(名寄市)などで事業を促進するほか、新たに雨紛川で着手します。
そのほか、都市化の進展などに対応した都市河川対策で、ポン川(旭川市・東神楽町)・牛朱別川(旭川市外)の整備を図るほか、多角的な防災対策や河川管理に万全を期するため、愛宕新川など旭川市域における情報基盤緊急整備事業を促進します。
また、地域生活に密着した貯留施設による治水・利水対策として、生活貯水池事業で西岡ダムの整備を図ります。
砂防事業では、土石流や十勝岳噴火に伴う火山対策として、富良野川の3号ダム嵩上げ、布部川、ポン布部川砂防工事を促進します。また、十勝岳噴火に伴う土石流や火山泥流に対応した警戒避難に資するため、カメラなど監視機器を設置する十勝岳噴火警戒避難対策事業を推進します。
そのほか、砂防施設の整備では、渓流の保全を図り、下流域を土石流などから守るため、落合二の沢川(南富良野町)・若牛内川(愛別町)・八幡の沢川(名寄市)で整備を図るほか、ピヤシリ川(名寄市)では土砂災害に備えた砂防施設の整備に努めます。
おわりに
事業の実施にあたっては、建設コストの縮減や新技術の活用、また間伐材の利用促進を図るなど、時代の要請に的確かつ迅速な対応を行っていくとともに、大量消費・大量廃棄といったこれまでの産業活動・生活様式が見直されていることから、廃棄物の減量化や建設副産物のリサイクルの推進、自然環境と調和した施設整備を行うなど環境にも十分配慮するほか、適切な維持管理により既存施設の長寿命化を図る取り組みも進めていきます。また、入札・契約制度の改革など透明性や公平性を確保する観点からの取り組みも推進していきます。

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