建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年8月号〉

寄稿

豊かで安心して暮らせる活力のある地域社会の実現

北海道 釧路土木現業所長 上原 光彦

上原 光彦 うえはら・みつひこ
昭和22年10月生 風連町出身、小樽緑陵高卒
平成 1年小樽土現総務課管財係長
平成 2年小樽土現工事契約課予算係長
平成 4年土木部道路課工事第1係長
平成 6年留萌土現総務課長
平成 8年商工労働観光部商業貿易振興室貿易経済交流課主幹
平成 9年経済部貿易経済交流課主幹
平成10年建設部道路計画課長補佐
平成11年同総務課長補佐兼総務部人事課主幹
平成13年同参事(石狩湾新港管理組合派遣)
平成15年同総務課長
平成16年現職
はじめに
北海道の最東端に位置する釧根地域は、阿寒、知床、釧路湿原の3国立公園と厚岸、野付・風連の2道立自然公園を有し、風光明媚な景勝地と雄大な自然に恵まれた観光、豊かな海域を背景とした水産業、広大な土地を生かした大規模な酪農、空港や港湾を活用した人的・物的交流など、大いなる発展の可能性を秘めた地域です。
近年、主要産業である水産業の不振さらには太平洋炭坑の閉山、大型スーパーの撤退など経済環境は厳しい状況になっておりますが、雄大な自然景観という観光面での優位性を生かし、今後は観光産業が地域のリーディング産業としての役割を担っていくものと期待します。
また、管内は都市間距離が長い広域分散型社会という北海道の特性を一番強く持っている地域であり、地域内及び他地域との交通ネットワークの整備は最重要の課題であり、積極的に推進していかなければならないと思います。
釧路土木現業所では、自然環境の保全を基本とし、管内の雄大な自然と調和した豊かでうるおいのある地域の振興を図るため、関係機関や市町村そして住民との連携を図りながら、人々の生活や産業を支える社会基盤整備を積極的に進めていきます。
▲釧路環状線道路改良工事
▲根室浜中釧路線道路改良工事
▲標津漁港海岸環境整備工事
平成16年度事業について
平成16年度当初の公共事業費は、対前年度比86.5%と減少し、事業費193億6,400万円、箇所数103箇所です。
道路関係では、交通渋滞対策をはじめ、空港や港湾とアクセスする道路の整備、国立公園・道立自然公園の周辺道路や北太平洋シーサイドラインを形成するルートの整備など、交通ネットワークの拡充整備を進めています。さらに、歩道の整備や急カーブ・急勾配の解消などの交通安全、冬道対策、地震・災害に強い安全な道づくりなど、快適で質の高い社会資本整備づくりを推し進めています。
道路系事業としては、事業費113億2,600万円、箇所数69箇所です。
主な事業としては、根室中標津線(別海町中春別地区)では地域高規格道路の整備に向けた環境アセスメントを実施しています。
羅臼町相泊と羅臼町市街地を結ぶ唯一の道路である知床公園羅臼線では、平成6年に発生した北海道東方沖地震による落石のため19日間通行止めするなど住民生活に大きな影響を与えました。
抜本的な安全対策を行い、安全で確実な交通を確保するための道路改築事業が決定され、計画区間内の天狗岩トンネルが今年貫通し、来年度の供用開始を目指して整備を進めています。
根室浜中釧路線は北太平洋シーサイドラインを形成していますが、釧路町内において昆布森トンネルを施工中で、急カーブ・急勾配の区間の改良事業を進めます。
都市内交通の渋滞対策として、釧路環状線武佐工区は地形的に交通網が未発達な釧路市東部地区と釧路町の国道44号線を結ぶ事業として整備を進めています。
釧路空港線は釧路空港へアクセスするウェルカムロード事業として整備を進め、今年度の完成を予定しています。
街路事業では、3・3・13星が浦海岸通は、国道38号線からjr根室本線を交差し釧路西港第4埠頭へアクセスする事業として、平成14年度に着手しました。
治水系事業としては、事業費80億3,800万円、箇所数34箇所です。
河川事業の主な事業としては、釧路川広域基幹改修事業は、ふるさとの川整備事業に指定され、釧路のシンボルにふさわしい市民の憩いの場としての河川空間の整備を目指します。
久著呂川統合河川整備事業は、釧路湿原の河川環境保全に関する提言に基づき、土砂の流出を抑制し湿原の乾燥化を防ぐ自然再生事業として平成15年度に事業着手しました。
ダム事業では、庶路ダムは庶路川総合開発事業の一環として、洪水調節・釧白工業団地への工業用水供給などを目的にした多目的ダムとして整備を進め、現在は試験湛水を終え、平成16年度内の完成を目指しています。
砂防等事業では、雌阿寒岳における火山泥流及び土石流等の災害から住民を守るため、観測局機器整備や通信設備などの火山噴火警戒避難対策事業を進めています。
建設海岸事業では、野付崎海岸では、日本最大の砂嘴であり、道立自然公園にも指定されている野付半島を浸食から守るため、自然に配慮した自然と共生する海岸の整備を進めています。
漁港事業では、標津漁港では「安全」「安心」を原点に衛生管理と周辺環境に配慮した整備を基本方針として事業を進めています。
漁港海岸事業では、標津漁港海岸では、マリンプラザ事業を支援する環境整備事業を行っています。
おわりに
釧根地域が持つ可能性を伸ばし「豊かで安心して暮らせる活力のある地域社会の実現」を目指して、多様なネットワークから発信される様々な意見をふまえ、地域と連携して、「選択」と「重点化」により、良質な基盤を着実に整備していくことが必要だと考えています。

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