建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年8月号〉

寄稿

豊かな自然と共生し、地域の快適・安全・安心な暮らしを創造

北海道 稚内土木現業所長 神原 一雄

神原 一雄 かんばら・かずお
昭和23年10月生 岩内町出身、北大卒
昭和61年室蘭土現治水課港湾係長
昭和63年土木部空港港湾課主査(石狩湾新港管理組合派遣)
平成 3年水産部漁港課建設係長
平成 5年同漁政課主幹(水産庁防災海洋課災害査定官派遣)
平成 7年4月同漁政課主幹
平成 7年6月土木部空港港湾課主幹(苫小牧港管理組合派遣)
平成 9年水産林務部漁港漁村課長補佐
平成12年函館土現企画調整室長
平成13年室蘭土現事業部長
平成15年建設部砂防災害課長
平成16年現職

平成16年度の稚内土木現業所の公共事業予算は、全体で95箇所、約102億円となった。同所では第3次北海道長期総合計画と連携を図るとともに、平成10年度に策定された「宗谷管内基盤整備計画」に基づき、(1)地域の快適・安心・安全な暮らしの創造、(2)経済基盤強化の支援、(3)交通網の整備、(4)豊かな自然との共生を基本に事業を進める。

▲枝幸音威子府線トンネル建設予定周辺(歌登町・枝幸町)
道路・街路・下水道事業
道路事業は、51箇所、4,541百万円(対前年比0.85)となった。今年度の事業概要としては、枝幸音威子府線(歌登町パンケナイ地区)でトンネルの調査・設計、橋梁下部工の整備を、沓形仙法志鴛泊線(利尻富士町湾内地区)で落石対策のロックシェドの整備を、兵安上頓別停車場線(中頓別町上頓別地区)などで地滑り対策を行い、災害に対する安全性を確保する。また、冬期交通の安全確保のため、豊富中頓別線(知駒地区)でスノーシェルター、礼文島線上泊地区で防雪林、稚内幌延線(稚内市上豊別地区)、沓形仙法志鴛泊線(利尻町仙法志地区)、利尻富士利尻線(利尻富士町栄浜地区)などで地吹雪対策の防雪柵、枝幸音威子府線(歌登町毛登別地区)で新規で雪崩防雪柵の整備を行う。さらに、自動車専用道路・豊富バイパスのアクセス道路としてメナシベツ豊富線(豊富町徳満地区)、豊富浜頓別線(猿払村上猿払地区・浜頓別町オサツナイ地区)で整備を実施する。
街路事業は157百万円(対前年比0.35)となった。今年度は3.4.7オホーツク通(枝幸町幌内保地区)で用地補償の進捗を図るとともに、整備促進を図る。
下水道事業では、過疎地域の下水道整備を市町村に代わって道が行う過疎下水道代行事業で、3箇所281.6百万円(対前年比4.27)となっている。
▲落石事故(平成2年)礼文島線起登臼地区 ▲歌登町旧市街地(平成9年当時) ▲ウエンナイ川(稚内市)
河川・砂防・海岸・漁港事業
河川事業は今年度は8箇所1,480百万円(対前年比0.88)となった。ウエンナイ川や頓別川、猿払川で河畔にある樹木をできるだけ残すなど、「北海道川づくり基本計画」に基づいて治水対策を進める。砂防関係事業では、10箇所で764百万円(対前年比1.07)となった。
今年度は荒廃の著しい利尻島の雄忠志内川やアフトロマナイ川、二股沢川において引き続き砂防事業の促進を図るとともに、砂防情報基盤の整備を進める。また、礼文町元地地区など2箇所で地すべり対策事業、礼文町大備地区や稚内町東浦地区など3箇所で急傾斜崩壊対策事業、猿払知来別地区など2箇所で雪崩対策事業を進める。
建設海岸事業では3箇所190百万円(対前年比1.02)、漁港海岸事業では1箇所160百万円(対前年比0.89)となっている。
建設海岸では猿払村知来別海岸の人口リーフと稚内市富磯海岸の離岸堤施設の整備を継続するとともに、漁港海岸では「魚を育む海岸」として利尻町仙法志海岸離岸堤の整備を進める。
漁港事業では17箇所2,583百万円(対前年比1.02)となっている。本年度は、漁港・漁村などの水産基盤の整備において資源の増殖から生産、流通、加工までの一貫した水産物供給システムの構築により水産物の安定供給を図るため、当所の漁港事業においても漁場や漁村の整備との連携を図りながら進め、広域水産物供給基盤整備事業では頓別漁港(浜頓別町)、浜鬼志別漁港(猿払村)、地域水産物供給基盤整備事業では新規で幌泊漁港(礼文町)、宗谷珊内(稚内市)を含む17漁港で整備を進める。
▲波浪による越波状況 ▲高波に襲われる富磯海岸

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